自動販売機の設置手数料に消費税はかかる?土地賃貸借・印紙税の取扱いを税理士が解説
こんばんは!代表の安田です。
会社の事務所や工場、店舗などに、自動販売機を設置しているケースは珍しくありません。
自動販売機を設置すると、飲料メーカーや自動販売機の運営会社から、
設置手数料
場所代
販売手数料
電気代相当額
などの名目で会社へ金銭が支払われることがあります。
ここで経理担当者が迷いやすいのが、「この自動販売機の設置手数料に消費税はかかるのか」という点です。
結論からいうと、自動販売機の設置手数料は、一般的には場所の提供、電気の使用、故障時の連絡などのサービスに対する対価として、消費税の課税対象になるケースが多いと考えられます。
一方、契約内容と実態から、純粋に「土地の貸付け」に対する賃料と認められる場合には、消費税上の取扱いが異なる可能性があります。
さらに、設置契約書について印紙税が必要かどうかも、土地の賃貸借なのか、施設の利用契約なのかなどによって変わります。
本日は、自動販売機の設置手数料について、消費税、印紙税、外形標準課税の基本的な考え方を税理士が解説します。
自動販売機の設置手数料とは
会社が自動販売機の設置を認める場合、単に床や土地の一部分を貸すだけとは限りません。
例えば会社側が、
自動販売機の設置スペースを提供する
電源を利用させる
電気代を負担する
故障や商品切れの際に運営会社へ連絡する
従業員や来訪者が利用できる環境を提供する
といった対応を行なうことがあります。
その対価として、運営会社等から一定額や売上高に応じた手数料を受け取るケースがあります。このような設置手数料について、何に対する対価なのかによって税務上の取扱いが異なることが重要なポイントとされています。
自動販売機の設置手数料は原則として消費税の課税対象
消費税では、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡・貸付けや役務の提供などが課税対象になります。
自動販売機の設置手数料について、
場所の提供
電気代
故障時の連絡サービス
などに対する対価と考えられることから、一般的には消費税の課税対象になると整理されています。
<基本的な考え方>
設置手数料の内容 | 消費税上の考え方 |
設置スペースの提供+各種サービス | 原則として課税を検討 |
電気代等を含む設置手数料 | 原則として課税を検討 |
売上高等に応じた手数料 | 取引実態を確認 |
純粋な土地の貸付けの対価 | 非課税となる可能性 |
「自動販売機の設置料」という名称だけで、課税・非課税を決めることはできません。
土地の貸付けなら非課税になる可能性
一方で、消費税では土地の貸付けについて非課税とされる取扱いがあります。
そのため、自動販売機の設置契約が、「この土地の一定部分を自動販売機設置用として貸します」という純粋な土地賃貸借契約であり、受け取る金銭も土地の貸付けに対する対価であれば、消費税の課税対象に含まれない可能性があります。
契約書に「土地賃貸借」と書けば非課税になるわけではない
ここが今回の最も重要なポイントです。
契約書のタイトルを、「土地賃貸借契約書」としておけば、自動的に消費税が非課税になるわけではありません。
契約上は土地の賃貸借としていても、
設置場所
取引内容
電気代の負担
売上との関係
などの実態により、消費税上の取扱いが変わるとされています。
例えば
実態 | 考え方 |
屋外の土地の一部分を純粋に貸す | 土地貸付けとして非課税の可能性 |
建物内の一角を提供 | 単純な土地貸付けとは異なる可能性 |
電気代も会社負担 | サービス対価として課税の可能性 |
売上に応じて設置手数料を受領 | 販売・サービスとの関係を確認 |
故障対応等も会社が行う | 役務提供の対価を含む可能性 |
判断の中心となるのは、契約の名称ではなく実際の取引内容です。
「場所代」と「設置手数料」は同じとは限らない
会社側では、自動販売機の運営会社から受け取る金額を、場所代として経理していることがあります。
しかし、名称が「場所代」であっても、実際には、
電気代の補填
自動販売機利用者への利便性提供
管理サービス
売上に連動した報酬
などが含まれている場合があります。
したがって、「場所代という名称だから土地賃貸で非課税」とは判断できません。
契約書や精算明細を確認し、何の対価として金銭を受け取っているのかを整理する必要があります。
自動販売機の設置契約と印紙税
自動販売機の設置では、消費税だけでなく印紙税も問題になる場合があります。
自動販売機の設置契約が土地の賃貸借契約に該当する場合には、「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」として、印紙税の課税文書となる場合があるとされています。
一方、屋内への設置などで施設の賃貸借と整理されれば不課税文書となる場合もあります。
<印紙税の考え方>
契約の内容 | 印紙税上の取扱いの方向性 |
土地の賃借権の設定等 | 課税文書となる場合あり |
建物・施設内のスペース利用 | 不課税文書となる場合あり |
名称と実態が一致しない | 実際の契約内容から判断 |
ここでも重要なのは「自動販売機設置契約書」というタイトルではなく、契約によってどのような権利を設定しているのかです。
消費税と印紙税は別々に判断する
実務では、「消費税が非課税なら、印紙税もかからない」と誤解しないよう注意が必要です。
消費税と印紙税は別の税金であり、それぞれ異なる基準で判断します。
税金 | 主な判断ポイント |
消費税 | 何に対する対価なのか |
印紙税 | 契約書がどの課税文書に該当するか |
外形標準課税 | 受取賃借料等に該当するか |
一つの契約について、それぞれ個別に確認する必要があります。
外形標準課税では「受取賃借料」になる場合も
自動販売機の設置手数料について、外形標準課税の付加価値割の計算上、基本的には受取賃借料として控除できます。
外形標準課税の付加価値割では、「支払賃借料-受取賃借料」によって純支払賃借料を計算するため、外形標準課税の対象法人では、自動販売機の設置料収入についても確認が必要になる場合があります。
<税目別の整理>
税目 | 主な論点 |
消費税 | 課税取引か土地貸付けの非課税か |
印紙税 | 契約書が課税文書か |
外形標準課税 | 受取賃借料に該当するか |
経理担当者は、単に「雑収入」として会計処理するだけでなく、それぞれの税務上の区分を確認するとよいでしょう。
具体例① オフィス内に自動販売機を設置
会社のオフィス内に飲料用自動販売機を設置し、運営会社から毎月一定額の設置手数料を受け取っているとします。
さらに、
会社の電源を利用
電気料金は会社負担
故障時には総務担当者が運営会社へ連絡
という契約です。
この場合、単なる土地貸付けというより、設置場所や電気等を含むサービス提供への対価
という性格が強くなり、一般的には消費税の課税取引として検討することになります。
具体例② 敷地の一角を自販機用地として賃貸
会社が所有する敷地の一角について、
自動販売機設置部分を明確に区画
土地部分だけを貸し付ける
電気等も運営会社側で手配
賃料は土地使用の対価
という契約になっているとします。
この場合には、純粋な土地の貸付けとして、消費税が非課税となるかを検討することになります。ただし、最終的には契約書だけではなく、実際の利用状況を含めて確認する必要があります。
自動販売機の設置収入を経理するときのチェックリスト
チェック項目 | 確認内容 |
設置場所 | 屋内か屋外か |
契約内容 | 土地賃貸か、場所・サービス提供か |
電気代 | 誰が負担するか |
手数料算定 | 固定額か売上連動か |
管理業務 | 会社側が何らかのサービスを行うか |
消費税 | 課税・非課税を確認 |
印紙税 | 契約書の文書区分を確認 |
外形標準課税 | 受取賃借料に該当するか |
証憑 | 契約書・精算書を保存しているか |
「雑収入」で処理して終わりにしない
自動販売機の設置料は金額がそれほど大きくないことも多く、会計処理では「雑収入」にして終わることがあります。
しかし、会計上の勘定科目が雑収入だからといって、
消費税が対象外になる
印紙税の確認が不要になる
外形標準課税に影響しない
というわけではありません。
税務上は取引の中身を見る必要があります。
特に複数の事業所・工場へ自動販売機を設置している企業では、契約形態が拠点ごとに異なる可能性もあるため、一度契約書を整理しておくとよいでしょう。
よくある疑問
Q. 自動販売機の設置手数料は消費税の課税売上ですか?
A. 場所の提供、電気代、故障時の連絡サービス等の対価と考えられる場合には、一般的に消費税の課税対象になるとされています。
Q. 土地賃貸借契約にすれば非課税ですか?
A. 契約上土地の貸付けであれば非課税となる可能性がありますが、契約の名称だけでなく設置場所や取引内容などの実態によって判断します。
Q. 自動販売機の設置契約書に収入印紙は必要ですか?
A. 土地の賃借権設定等に該当すれば課税文書となる場合がある一方、施設の賃貸借として不課税文書となる場合もあるとされています。具体的な契約内容の確認が必要です。
まとめ
会社が受け取る自動販売機の設置手数料については、契約の名称だけで消費税や印紙税の取扱いを判断することはできません。
今回のポイントは次のとおりです。
自動販売機の設置手数料は一般的には消費税の課税対象
場所の提供、電気代、管理サービス等の対価と考えられることが多い
純粋な土地貸付けの対価であれば、消費税が非課税となる可能性がある
契約書に「土地賃貸借」と書いてあるだけでは判断できない
実際の設置場所や取引内容を確認する必要がある
印紙税も土地賃貸借か施設利用かなどによって取扱いが異なる
外形標準課税の対象法人では受取賃借料の確認も必要
最も重要なのは、「自動販売機の設置手数料が、実際には何に対する対価なのか」
を確認することです。
経理処理を行なう際には、請求・入金明細だけでなく契約書も確認し、消費税・印紙税・外形標準課税をそれぞれ適切に判定しましょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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