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2026年9月に「KSK2」へ移行|e-Taxの停止期間や通知書・申告書様式の変更点を税理士が解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
23 時間前
読了時間: 11分

こんばんは!代表の安田です。


2026年9月24日、国税庁は、国税の申告・納付・還付・税務調査などを支える基幹システムを、現行の「KSKシステム」から新しい「KSK2」へ移行する予定です。


KSK2は主に国税職員が利用する内部システムであるため、納税者が普段利用しているe-Taxの操作方法が全面的に変わるわけではありません。


一方で、移行作業に伴うe-Taxの長時間停止や、税務署から送付される通知書の電子化、申告書・納付書の様式変更など、納税者や企業の経理担当者にも関係する変更があります。


本記事では、KSK2への移行によって何が変わるのか、企業や個人事業主が注意すべきポイントを税理士の視点から分かりやすく解説します。


KSKシステムとは?

KSKとは、「国税総合管理システム」の略称です。


税務署に提出された申告書や届出書、納税状況、還付金などの情報を一元的に管理するためのシステムで、2001年の全国導入以降、国税行政の中心的なインフラとして利用されてきました。


例えば、次のような業務でKSKシステムが使用されています。

  • 法人税・所得税・消費税などの申告情報の管理

  • 申請書・届出書の受付、処理

  • 国税の納付状況の管理

  • 還付金の管理、処理

  • 税務調査や滞納整理に必要な情報の管理


KSK2への移行は、単なるシステムの更新ではありません。

これまでの書面を中心とした事務処理から、データを中心とした税務行政へ移行するための大規模な基盤整備と位置付けられています。


【図解】KSKからKSK2への主な変化


KSK2では、独自の大型コンピューターであるメインフレームから、よりオープンで柔軟なシステムへ移行します。


また、書面申告された資料についてもAI-OCRを利用してデータ化し、原則として端末画面上で処理する仕組みに変わります。


KSK2への移行によって期待される効果

1.課税・徴収事務の効率化

従来のKSKでは、職員が帳票を印刷し、書面を確認しながら処理する業務が多く残っていました。

KSK2では、申告書や申請書の情報が幅広くデータ化されるため、画面上で確認・処理することが基本となります。

書類の印刷や転記、保管などの作業が減ることで、税務署内部の事務処理の効率化が期待されています。


2.AI・データ分析の活用拡大

データ化される情報が増えることで、国税庁がAIやデータ分析に利用できる情報も増加します。

例えば、過去の申告内容や取引情報などを分析し、申告漏れの可能性が高い案件を抽出する際の精度向上が期待されています。

今後は、単に申告書の数字を確認するだけでなく、複数年度の推移や他の提出資料との不整合などを、これまで以上にデータに基づいて分析する税務行政が進むと考えられます。


3.納税者とのやり取りのデジタル化

KSK2への移行後は、税務署から送付される処分通知等について、e-Taxで電子交付できる対象が大幅に増加します。

また、税務署から届く「お尋ね文書」などについても、書面を郵送するだけでなく、Web上から回答できる仕組みが整備される予定です。


2026年9月はe-Taxが利用できない期間に注意

KSK2への移行作業に伴い、次の期間はe-Taxが利用できなくなる予定です。

停止期間

利用できない主な機能

2026年9月19日(土)0時~9月24日(木)8時30分

申告・申請・納税手続、ログイン、メッセージボックスの確認など

2026年9月26日(土)0時~24時

e-Taxの各種機能

特に注意したいのが、9月19日から24日までの停止です。

この期間は単に電子申告ができないだけでなく、e-Taxへのログイン自体ができません。そのため、税務署から届いた受信通知やメッセージボックスの内容も確認できなくなります。


企業・経理担当者が事前に行なうべきこと

  • 9月中に提出期限を迎える申告書・届出書を確認する

  • ダイレクト納付やインターネットバンキング納付の予定日を確認する

  • 必要な受信通知や納付情報を事前に確認・保存する

  • 顧問税理士へ提出する資料を早めに準備する

  • 給与の源泉所得税など、期限の近い手続を確認する

提出期限の直前に慌てないよう、通常よりも早めに申告・納付手続を進めることが大切です。


KSK2移行後に変わる8つのポイント

変更点の一覧

項目

主な変更内容

実務上の注意点

e-Taxのメンテナンス

2026年9月に長時間停止

申告・納付・メッセージ確認を前倒しする

申告書等の様式

AI-OCR対応のレイアウトへ変更

書面提出時は最新様式を使用する

通知書の番号

「記号・番号」から13桁の「お問い合わせ番号」へ変更

税務署への照会時に番号を伝える

納付書等の様式

整理番号欄などのレイアウト変更

古い納付書の使用に注意する

提出年月日の表示

申告書画像のヘッダーに提出年月日を表示

閲覧サービス等で提出日を確認できる

旧字体等の表示

一部の文字が標準的な字形へ置換

税務署発行文書の氏名表示が変わる場合がある

e-TaxのIPアドレス

固定IPから動的IPへ変更

IP指定で接続している企業は設定を見直す

通知書の電子交付

対象が約9通知から約1,000通知へ拡大予定

e-Taxで一括同意の手続が必要

書面で提出する申告書・届出書の様式が変わる

KSK2では、書面で提出された申告書や届出書をAI-OCRで読み取ります。

そのため、一部の申告書、申請書、届出書、法定調書について、AI-OCRで読み取りやすいレイアウトに変更される予定です。


古い様式を使い続けないよう注意

税務ソフトやe-Taxを利用している場合は、基本的に最新の様式へ更新されるため、大きな影響はないと考えられます。


一方、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 以前印刷した申告書や届出書を保管している

  • 国税庁ホームページから過去にダウンロードした様式を使っている

  • 社内の共有フォルダに古いPDFやExcel様式を保存している

  • 手書き用の用紙をまとめてストックしている


書面で提出する場合は、提出時点における最新の様式を国税庁ホームページ等で確認しましょう。


なお、今回のAI-OCR対応様式は、書面提出用の変更です。e-Taxによる電子申告の操作自体に直接影響するものではありません。


税務署から届く文書には13桁の「お問い合わせ番号」が記載される

KSK2への移行後、税務署から届く通知書などには、従来の「記号・番号」に代えて、13桁の「お問い合わせ番号」が記載されます。


税務署へ電話で問い合わせる際に、この番号を伝えることで、職員が対象文書を特定しやすくなります。


通知書を受け取ったときのポイント


税務署から届いた文書について相談する際は、文書全体を手元に用意したうえで、お問い合わせ番号を確認するとよいでしょう。


納付書・所得税徴収高計算書のレイアウトも変更

税金の納付に使用する納付書や、源泉所得税の納付に使用する所得税徴収高計算書についても、KSK2への移行に伴い一部レイアウトが変更されます。


例えば、従来の「整理番号」欄が「お問い合わせ番号」欄に変わる予定です。

古い様式が直ちに使用できなくなるかどうかは書類ごとに確認が必要ですが、移行後は可能な限り最新の納付書を使用することが安全です。


また、日常的に源泉所得税を納付している企業は、ダイレクト納付やe-Taxによる電子納税へ切り替えることで、納付書の様式変更による影響を受けにくくなります。


旧字体の氏名が税務署の文書では異なる字形になる場合がある

KSK2では、JIS X 0213で定義された漢字や記号を使用します。

そのため、税務署から送付される文書や納税証明書などでは、従来使用されていた旧字体や異体字が、一般的な字形に置き換えられる場合があります。


例として、次のような変更が想定されています。

従来使用されることがある文字

KSK2上で表示される可能性がある文字

𠮷

これはシステム上の文字表示に関する取扱いであり、申告書を提出する際に旧字体を使用できなくなるという意味ではありません。


氏名の字形が異なって表示されたからといって、直ちに申告や納税の内容が無効になるわけではありませんが、金融機関や他の証明書と表記が異なる場合には、提出先へ事前に確認すると安心です。


e-TaxのIPアドレスを指定している企業は設定確認が必要

KSK2への移行に伴い、e-TaxのIPアドレスは、固定IPアドレスから動的IPアドレスへ変更される予定です。


一般的な利用者がブラウザや税務ソフトからe-Taxへ接続する場合、大きな影響はないと考えられます。


ただし、セキュリティ対策として、社内ネットワークやファイアウォールでe-Taxの接続先IPアドレスを限定している企業は注意が必要です。


今後は、IPアドレスではなくURLを用いて接続を許可する設定へ変更する必要があります。

該当する可能性がある場合は、社内の情報システム部門やシステム保守会社へ早めに確認しましょう。


処分通知等の電子交付が約1,000通知へ拡大

KSK2への移行により、e-Tax上で電子交付できる処分通知等の範囲が大幅に拡大します。

従来は9種類程度だった対象が、移行後は約1,000種類に広がる予定です。


電子交付を利用することで、次のようなメリットがあります。

  • 紙の通知書を保管する負担が減る

  • 郵送を待たずに内容を確認できる

  • 通知書が届いたことをメールで把握できる

  • 税理士と通知書を共有しやすくなる

  • 紛失や開封漏れのリスクを抑えられる


電子交付には「一括同意」が必要

従来は、申請や手続の都度、電子交付に同意する「個別同意」の方式が採用されていました。

KSK2への移行後は、あらかじめ電子交付全体に同意する「一括同意」の方式へ変更されます。

注意したいのは、これまで個別同意により電子交付を受けていた人も、改めて一括同意の手続が必要になる点です。

電子交付を希望する場合は、2026年9月24日以後、e-Tax上で一括同意の手続を行いましょう。


KSK2移行前のチェックリスト

企業や個人事業主は、2026年9月までに次の項目を確認しておきましょう。

チェック項目

対応

9月19日から24日の間に申告・納付期限がないか

年間スケジュールを確認する

e-Taxのメッセージボックスに重要な通知がないか

停止前に確認する

書面用の古い申告書・届出書を保管していないか

最新様式へ差し替える

納付書をまとめて保管していないか

移行後の使用可否を確認する

e-Taxへの接続をIPアドレスで制限していないか

情報システム担当者へ確認する

通知書の電子交付を希望するか

9月24日以後に一括同意する

税務署から届く書類の管理担当者が決まっているか

社内の受領・共有ルールを整備する

KSK2への移行で税務調査は変わる?

KSK2の導入によって、直ちに税務調査の方法が全面的に変わるわけではありません。


しかし、申告書や届出書などのデータ化が進み、AI・データ分析に利用できる情報が増えることで、申告内容の比較や異常値の検出は、これまで以上に精緻になる可能性があります。


企業側としては、単に税務申告書を期限内に提出するだけでなく、次のような点がより重要になります。

  • 会計帳簿と申告書の数字を一致させる

  • 消費税申告と法人税申告の売上額の差異を説明できるようにする

  • 法定調書や給与支払報告書との整合性を確認する

  • 前年度から大きく変動した勘定科目について資料を残す

  • 取引内容を説明できる契約書、請求書、証憑を保存する

データ分析が進んでも、最終的に重要なのは、帳簿や申告内容について合理的に説明できることです。


まとめ

KSK2は、国税庁内部の業務を紙中心からデータ中心へ切り替えるための新しい基幹システムです。


納税者にとって特に重要なのは、次の点です。

  • 2026年9月19日から24日までe-Taxが利用できない

  • 9月26日も終日メンテナンスが予定されている

  • 書面申告用の申告書や届出書の様式が変わる

  • 税務署の文書に13桁の「お問い合わせ番号」が記載される

  • 納付書や所得税徴収高計算書のレイアウトが変わる

  • e-TaxのIPアドレスが動的IPへ変更される

  • 電子交付の対象が約1,000通知へ拡大する

  • 電子交付を希望する場合は一括同意が必要になる


特に2026年9月は、e-Taxの停止期間を踏まえ、申告や納付を通常より早めに進めることが重要です。


企業の経理担当者や個人事業主は、税理士や情報システム担当者とも連携し、申告スケジュールやe-Taxの利用環境を事前に確認しておきましょう。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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