税務調査はオンラインで受けられる?メール・Teams・PrimeDrive利用時の注意点を税理士が解説
おはようございます!代表の安田です。
国税庁では、税務調査などについて対面での実施を基本としつつ、必要に応じて、メール、Microsoft Teams、PrimeDriveなどのオンラインツールを活用する取扱いを進めています。
オンラインで資料を提出したり、Teamsで税務署の担当者と面談したりできれば、税務署への訪問や紙資料の受け渡しを減らせるため、納税者や企業にとって便利です。
一方で、一般的なオンライン会議とは異なる厳格なルールがあります。
例えば、Teamsによる面談では、原則として関与税理士以外の第三者は参加できません。また、録音・録画、チャット、文字起こし、画面撮影なども禁止されています。
本記事では、税務調査等でメール、Teams、PrimeDriveを利用する場合の手続きと注意点について、税理士が分かりやすく解説します。
税務調査は全面的にオンライン化されるのか
国税庁は、全税目に関する税務調査等において、対面による実施を基本としています。
したがって、税務調査がすべてオンラインで完結する制度に変わったわけではありません。
必要に応じて、次のような場面でオンラインツールが利用されます。
税務署担当者とのメール連絡
Teamsを利用した面談
画面共有による資料説明
PrimeDriveを利用した大容量データの提出
税務署からのデータ受領

オンラインツールは、あくまで税務調査等を円滑に行うための補助的な手段として位置付けられています。
税務署とのメールはいつまで利用できる?
税務調査等でメールを利用する場合、納税者や企業のメールアドレスは、税務署側のホワイトリストに登録されます。
ただし、そのメールアドレスをいつまでも利用できるわけではありません。
次のような場合には、原則としてメールの利用が終了します。
メール利用が終了する主な事由 | 内容 |
税務調査等が終了した | メール連絡の必要がなくなった場合 |
納税地の管轄が変わった | 本店移転などで別の税務署の管轄になった場合 |
納税者が終了を申し出た | メール利用を希望しなくなった場合 |
その他 | 税務署が利用終了を必要と判断した場合 |
利用を終了する際は、税務署の担当者から、今後メールの送受信ができなくなる旨の連絡があり、原則として電話等でも説明が行なわれます。
その後、対象のメールアドレスがホワイトリストから削除され、税務署とのメール送受信ができなくなります。
複数のメールアドレスを登録している場合
複数のメールアドレスを登録している場合には、原則として、それぞれのメールアドレスについて連絡が行なわれます。
税務調査の終了後も、過去に使用した税務署のメールアドレスへ継続して資料を送らないよう注意しましょう。
送受信したメールは税務署で保存される?
税務調査等の担当者は、保存が必要なメールや添付データを保存します。
保存されたデータは、国税庁が定める行政文書管理規則等に従って管理され、保存期間が満了した後は、規則に基づいて消去されることとされています。
企業側でも、税務署とのやり取りについて、次の資料を保存しておくことが望ましいでしょう。
税務署から受信したメール
税務署へ送信したメール
添付した資料
送付日時が分かる記録
税務署からの回答
面談日程等の調整記録
税務調査の進行状況や提出資料の範囲を後から確認できるよう、案件ごとにフォルダを作成して管理すると便利です。
税理士のメールアドレスは調査終了後も利用される
納税者や企業のメールアドレスと関与税理士のメールアドレスでは取扱いが異なります。
税務調査等への関与に伴い登録された税理士のメールアドレスは、原則として、その税務署の課税部門で継続して利用できるよう、税理士専用のホワイトリストに登録されます。
したがって、税務調査が終了しても、通常はホワイトリストから削除されません。
登録者 | 調査終了後の取扱い |
納税者・企業 | 原則としてホワイトリストから削除 |
関与税理士 | 原則として税理士専用ホワイトリストに継続登録 |
ただし、税理士が削除を希望した場合には、ホワイトリストから削除されます。
登録したメールアドレスは変更できる?
税務調査等で利用するメールアドレスは変更できます。
変更を希望する場合は、税務署の担当者へ申し出たうえで、改めて登録手続きを行います。
再登録が完了すると、変更前のメールアドレスはホワイトリストから削除されます。
<変更が必要になりやすいケース>
担当者が退職した
税務調査専用のメールアドレスへ切り替える
会社のメールドメインが変わった
情報漏洩等の懸念からアドレスを変更した
経理担当者から代表者へ連絡先を変更した
個人の担当者だけが利用するメールアドレスでは、退職や異動によって確認できなくなる可能性があります。
可能であれば、税務調査用または経理部門用の共有メールアドレスを利用することも検討するとよいでしょう。
本店移転で管轄税務署が変わった場合
本店移転や納税地の変更により、管轄税務署が変わった場合には、移転後の税務署で再度登録が必要です。
登録フォームから、移転後の納税地を管轄する税務署を選択し、メールアドレス等を登録することで、引き続きオンラインツールを利用できます。

旧管轄税務署での登録が、そのまま新しい税務署に引き継がれるわけではない点に注意が必要です。
Teamsによる税務調査面談の流れ
Teamsで面談を行なう場合、税務署の担当者と日程を調整したうえで、次の情報がメールで送られます。
ミーティングリンク
会議ID
パスコード
日程調整の段階で、税務署側の出席者と、納税者側の参加者が確認されます。

通常の社内会議とは異なり、参加者や利用機能に厳しい制限があります。
関与税理士以外の第三者は原則として参加できない
Teamsによる税務調査等の面談には、原則として、次の者が参加できます。
納税者本人
企業の担当者など、あらかじめ確認された参加者
関与税理士
税務署の担当者
一方、関与税理士を除く第三者は参加できません。
また、面談の当初から、納税者と関与税理士以外の第三者が参加することが予定されている場合には、Teams会議自体を利用しない取扱いとされています。
参加に注意が必要な者の例
顧問税理士ではない外部コンサルタント
システム会社の担当者
取引先の担当者
親会社や子会社の関係者
許可されていない従業員
家族や同居人
これらの者に説明を依頼したい場合には、事前に税務署や関与税理士へ相談しておく必要があります。
Teams面談を実施する場所
Teams面談は、自宅や事業所などで実施できます。
ただし、第三者に税務調査の内容が聞かれたり、画面を見られたりしない場所で行わなければなりません。
適切な場所の例は、次のとおりです。
個室の会議室
ドアを閉められる事務室
他の家族が立ち入らない自宅の個室
周囲から隔離されたスペース
反対に、次のような場所は避けるべきでしょう。
オープンスペースの事務所
カフェや飲食店
コワーキングスペースの共用部
電車や車内など、不特定の者がいる場所
他の従業員が自由に出入りする部屋
情報漏洩のおそれがあると税務署側に判断された場合、Teams会議は直ちに中止されることがあります。
Teams面談ではカメラをオンにする
Teams面談では、カメラ機能をオンにしたうえで本人確認が行われます。
また、事前に確認した参加者以外の者が周囲にいないことも確認されます。
第三者の参加が疑われる場合には、税務署担当者から、カメラを動かして室内全体を映すよう求められることがあります。
面談開始前に、次の事項を確認しておきましょう。
事前確認 | 内容 |
カメラ | 正常に起動するか |
マイク | 音声が明瞭に聞こえるか |
通信環境 | 面談中に切断しないか |
室内 | 第三者がいないか |
背景 | 機密情報が映り込まないか |
資料 | 画面共有するファイルを整理したか |
通知 | メールやチャット通知をオフにしたか |
画面共有時に、他の顧客情報、従業員情報、個人情報などが映り込まないよう注意が必要です。
Teamsで禁止されていること
Teamsによる税務調査等の面談では、次の機能や行為が禁止されています。
禁止される機能・行為 | 内容 |
録音 | 面談音声の保存 |
録画 | 面談映像の保存 |
チャット | Teamsのメッセージ機能 |
文字起こし | トランスクリプション機能 |
ホワイトボード | 共同編集機能 |
画面撮影 | スクリーンショット等 |
配信 | 面談内容の外部配信 |
スマートフォンなど別の機器を使って画面や音声を記録する行為も、禁止される画面撮影や録音等に含まれると考え、行わないようにしましょう。

関与税理士以外の第三者の参加や、禁止機能の利用が判明した場合には、Teams会議が即座に中止されることがあります。
Teamsで画面共有はできる?
Teamsでは、画面共有機能を利用できます。
例えば、次のような説明に利用できます。
会計ソフトの画面を見せる
総勘定元帳を表示する
取引の流れをExcelで説明する
契約書や請求書を画面上で示す
売上管理システムの操作を説明する
ただし、画面全体を共有すると、税務調査に関係のない情報が表示される可能性があります。可能であれば、デスクトップ全体ではなく、対象となるウインドウやファイルだけを共有する方が安全です。
<画面共有前のチェック>
関係のないファイルを閉じる
メールソフトを閉じる
チャット通知を停止する
他社や他の顧客の資料を表示しない
個人番号やパスワードを非表示にする
共有対象のファイルを事前に開いておく
Teams会議の終了後は、税務署担当者により会議室が削除されます。
PrimeDriveとは
PrimeDriveは、税務署と納税者等との間で、大容量のデータを送受信する場合に利用されます。例えば、次のような場合です。
メールに添付できない大量のPDFを提出する
会計データを提出する
ExcelやCSVをまとめて提出する
税務署から大容量資料を受け取る
スキャンした証憑を一括で提出する

データとパスワードを同じメールで送らず、別の手段で伝える仕組みになっています。
税務署からPrimeDriveでデータを受け取る場合
税務署担当者から納税者等へPrimeDriveを利用してデータを送る場合には、ファイルにパスワードが設定されます。
パスワードは、原則として電話等の別の方法で連絡されます。
データを受け取った場合には、次の点に注意しましょう。
ダウンロード期限を確認する
指定されたパスワードを安全に管理する
ダウンロード後のファイルを適切に保存する
社内共有時にアクセス権限を設定する
不審なURLや送信元ではないか確認する
税務署を装ったフィッシングメール等との区別も必要です。受信した内容に不審な点があれば、メールに返信するのではなく、把握している税務署の電話番号へ確認することが安全です。
PrimeDriveで申告書を提出しても正式な提出にはならない場合がある
PrimeDriveは、税務調査等における資料の送受信に利用されます。
ただし、法令上、書面またはe-Taxによる提出が求められている申告書等をPrimeDriveで送っても、正式な提出として取り扱われないことがあります。
この場合、改めて書面またはe-Taxで提出するよう求められます。
提出するもの | PrimeDriveの取扱い |
税務調査で求められた会計資料 | 利用できる場合あり |
大容量のPDF・Excel資料 | 利用できる場合あり |
法定申告書 | 原則として書面またはe-Taxで提出 |
法令上提出方法が定められた届出書等 | 指定された方法で再提出が必要な場合あり |
「税務署へデータを送ったので申告が完了した」と誤認しないよう注意してください。
オンライン税務調査に備えた社内チェックリスト
税務調査等でオンラインツールを利用する場合は、事前に次の事項を確認しておきましょう。
チェック項目 | 確認内容 |
メールアドレス | 継続して確認できるアドレスか |
参加者 | 税務署と事前に調整済みか |
税理士 | 関与税理士の参加日程を確保したか |
実施場所 | 第三者に内容が漏れない個室か |
カメラ・マイク | 正常に作動するか |
録音等 | 禁止機能をオフにしているか |
画面共有 | 関係のない情報が表示されないか |
提出資料 | 提出範囲を税理士と確認したか |
PrimeDrive | ファイルとパスワードを分けて送るか |
申告書等 | 正式な提出方法を確認したか |
保存 | 送受信メールや提出資料を保管したか |
オンラインでも税理士への事前相談が重要
オンラインツールを利用すると、資料の提出や面談を迅速に行える一方、準備不足のまま大量のデータを提出してしまうリスクがあります。
税務署から資料提出を求められた場合には、提出前に次の点を確認することが重要です。
依頼された資料の範囲
対象期間
資料に含まれる個人情報
税務調査に関係のない情報の有無
会計データと申告書の整合性
説明が必要な取引の有無
提出方法がPrimeDriveでよいか
書面やe-Taxでの提出が必要な書類ではないか
データは一度提出すると、後から「必要のない資料まで送ってしまった」と気づいても、簡単には取り戻せません。関与税理士と提出範囲を確認したうえで対応することが望ましいでしょう。
まとめ
国税庁では、税務調査等について対面実施を基本としながら、必要に応じてメール、Teams、PrimeDriveなどのオンラインツールを利用しています。
Teams面談では、カメラをオンにして本人確認が行われ、関与税理士を除く第三者の参加は原則として認められません。また、録音・録画、チャット、文字起こし、ホワイトボード、画面撮影、配信などは禁止されています。
PrimeDriveは、大容量の資料を安全に送受信するために利用されます。ただし、申告書や届出書など、法令上、書面またはe-Taxによる提出が求められる書類をPrimeDriveで送っても、正式な提出とはならない場合があります。
オンラインであっても税務調査の内容や重要性は変わりません。
企業は、参加者、実施場所、画面共有、資料の提出範囲、情報漏洩対策などを事前に確認し、関与税理士と連携して対応することが重要です。
神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
<あわせて読みたい>
【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






コメント