大胆な投資促進税制の確認書はいつ発行される?申請から約1か月・適用期限を解説
こんにちは!代表の安田です。
2026年7月31日から、「大胆な投資促進税制」の申請受付が開始されています。
この制度を利用するためには、改正産業競争力強化法に基づく「特定生産性向上設備等投資計画」について、経済産業大臣の確認を受ける必要があります。
そこで設備投資を予定している企業にとって重要になるのが、
「申請してから確認書が発行されるまで、どのくらいの期間がかかるのか」
という点です。
経済産業省が2026年8月7日に公表したパンフレットによると、申請から確認書の発行までは1か月程度を要するとされています。
そのため、大型設備投資を予定している企業は、投資計画だけでなく、確認申請に必要となる期間も織り込んでスケジュールを組むことが重要です。
本日は、大胆な投資促進税制の確認書発行までの期間、確認を受けることができる期間、投資額・ROIの主な基準について税理士が整理します。
大胆な投資促進税制とは
今回資料で取り上げられている「大胆な投資促進税制」は、正式には特定生産性向上設備等投資促進税制とされています。
制度の適用に当たっては、改正産業競争力強化法に基づく投資計画について、経済産業大臣の確認を受ける必要があります。主な基準は次のとおりです。
項目 | 主な基準 |
投資計画 | 特定生産性向上設備等投資計画 |
確認者 | 経済産業大臣 |
ROI | 15%以上 |
投資額 | 原則35億円以上 |
中小企業者等の投資額 | 5億円以上 |
確認を受ける期間 | 2026年7月31日~2029年3月31日 |
確認書発行まで | 申請から約1か月 |
比較的大規模な投資を対象とする制度であることが分かります。
確認書の発行には「1か月程度」
経済産業省のパンフレットでは、確認申請を行なってから確認書が発行されるまで、「1か月程度」の期間を要するとされています。
<スケジュールのイメージ>
時点 | 手続 |
申請準備 | 投資計画を作成 |
申請日 | 確認申請を提出 |
約1か月 | 経済産業省による確認 |
その後 | 基準を満たせば確認書発行 |
例えば、9月1日に申請した場合、単純な目安としては10月ごろの確認書発行を想定して、設備投資全体のスケジュールを管理する必要があります。
ただし、「1か月程度」はあくまで標準的な目安です。
申請内容や補正の有無によって具体的にどの程度変動するかまでは示されていません。
確認書が必要になる理由
大胆な投資促進税制では、単に企業が一定額以上の設備投資を行えば自動的に適用されるわけではありません。
投資計画が一定の基準に適合していることについて、経済産業大臣の確認を受けることが必要です。主な基準として、
ROI15%以上
投資額35億円以上
中小企業者等については投資額5億円以上
が挙げられています。
つまり、税務申告だけで完結する制度ではなく、投資計画段階で経済産業省関係の確認手続が必要になる制度という点が重要です。
ROI15%以上が必要
資料では、確認基準の一つとしてROI15%以上が示されています。
ROIは一般に「投資利益率」を意味し、投資した金額に対してどの程度の収益を生み出すかを見る指標です。
具体的なROIの計算式までは示されていません。
そのため、実際の申請における算定方法については、経済産業省の申請資料や最新のパンフレット等を確認する必要があります。
投資額は35億円以上、中小企業者等は5億円以上
投資額についても一定の基準があります。
「原則:35億円以上、中小企業者等:5億円以上」です。
<投資額基準>
企業区分 | 投資額基準 |
原則 | 35億円以上 |
中小企業者等 | 5億円以上 |
中小企業者等については一般の企業より投資額要件が低く設定されていますが、それでも5億円以上の投資が必要となるため、通常の小規模な設備更新ではなく、大型の設備投資を想定した制度といえます。
確認を受けられる期間にも期限がある
大胆な投資促進税制を適用する場合、投資計画について経済産業大臣の確認を受ける期間も定められています。2026年7月31日から2029年3月31日までの間に確認を受ける必要があります。
<制度の期間>
項目 | 日付 |
制度開始 | 2026年7月31日 |
確認申請受付開始 | 2026年7月31日 |
確認を受ける期限 | 2029年3月31日 |
したがって、「2029年3月31日に申請すればよい」と単純に考えるのは注意が必要です。
資料上求められているのは、その期間内に確認を受けることだからです。
さらに、確認書発行までには1か月程度の期間を要するとされています。
この2点を合わせると、実務上は制度期限ぎりぎりではなく、余裕を持って申請準備を進める必要があります。
【重要】「申請期限」と「確認期限」を混同しない
今回の資料を読むうえで、特に注意したいポイントです。2026年7月31日から2029年3月31日までの間に、投資計画について経済産業大臣の確認を受けることが必要とされています。
つまり、少なくとも「2029年3月31日までに申請すればよい」と解釈はできません。
<考え方>
誤解しやすい考え方 | 資料で確認できる内容 |
2029年3月31日までに申請すればよい | その記載はない |
2029年3月31日までに確認を受ける必要がある | 資料に記載あり |
確認には約1か月かかる | 資料に記載あり |
実際の最終申請時期は、経済産業省が公表する受付期限や申請要領を確認する必要があります。
大型設備投資ではスケジュール管理が重要
大型設備投資では、通常、
設備の選定
投資採算の検討
取締役会等での意思決定
資金調達
見積取得
発注
納品
稼働開始
など、複数の工程があります。
大胆な投資促進税制を検討する場合には、これらに加えて、「投資計画の確認申請」
をスケジュールへ組み込む必要があります。
<実務上の管理イメージ>
段階 | 確認事項 |
投資検討 | 投資額基準を確認 |
採算検討 | ROI15%以上の基準を確認 |
計画策定 | 投資計画を作成 |
申請 | 確認申請を行う |
審査期間 | 約1か月を見込む |
確認 | 確認書を取得 |
その後 | 制度適用に必要な対応を進める |
特に、申請から確認までに約1か月かかることは、投資計画策定時から意識しておいた方がよいでしょう。
「1か月」をぎりぎりで見込まない
確認書発行までの標準処理期間は「1か月程度」です。
したがって、実務上は、制度期限のちょうど1か月前に申請すれば必ず間に合うと考えない方が安全です。
申請内容の補正、追加資料の提出、混雑状況などによる処理期間への影響は不明です。
そのため、具体的なスケジュールについては最新の申請要領等を確認し、十分な余裕を持って対応することが重要です。
中小企業でも5億円以上なら検討対象に
「大胆な投資促進税制」という名称から、大企業だけの制度という印象を持つかもしれません。
しかし、中小企業者等について、投資額5億円以上という基準が示されています。
そのため、例えば大規模な生産設備や工場関連投資など、数億円規模の設備投資を予定している中小企業者等では、制度の検討対象となる可能性があります。
設備を購入してから検討するのではなく、計画段階で確認を
今回の資料から実務上読み取れる重要な点は、税制の利用に投資計画の確認が必要であり、その確認にも一定の時間がかかることです。
したがって、設備を取得した後、決算時に初めて税制を検討するという進め方ではなく、
設備投資の計画段階から制度適用を検討することが重要です。
特に数億円から数十億円規模の設備投資では、税制の適用有無によるキャッシュ・フローへの影響も大きくなる可能性があります。
<申請前に整理しておきたい項目>
事前に整理しておきたいポイントは次のとおりです。
確認項目 | 内容 |
投資額 | 35億円以上か、中小企業者等なら5億円以上か |
ROI | 15%以上の基準を満たすか |
投資計画 | 特定生産性向上設備等投資計画を作成する |
申請時期 | 確認書発行まで約1か月を見込む |
制度期限 | 2029年3月31日までに確認を受ける |
最新資料 | 経済産業省のパンフレット・申請要領を確認 |
よくある疑問
Q. 大胆な投資促進税制の確認書は申請後すぐ発行されますか?
A. 経済産業省のパンフレットでは、申請から確認書の発行まで1か月程度かかるとされています。
Q. 2029年3月31日までに申請すればよいですか?
A. 今回の資料では、「2029年3月31日までに投資計画について経済産業大臣の確認を受けることが必要」とされています。
単に同日までに申請すればよいとの記載ではありません。
Q. 中小企業でも利用できますか?
A. 資料では、中小企業者等について投資額5億円以上という基準が示されています。
ただし、その他の適用要件や中小企業者等の具体的範囲は、今回の資料だけでは確認できません。
Q. ROIは何%必要ですか?
A. 資料では、ROI15%以上が確認基準として示されています。具体的な計算方法については、今回の資料では記載されていません。
まとめ
大胆な投資促進税制について、2026年7月31日から確認申請の受付が開始されています。
今回の資料から確認できる重要なポイントは次のとおりです。
申請から確認書発行までは約1か月
投資計画について経済産業大臣の確認が必要
確認を受ける期間は2026年7月31日から2029年3月31日
ROI15%以上が基準の一つ
投資額は原則35億円以上
中小企業者等は投資額5億円以上
制度期限ぎりぎりではなく、確認期間を考慮した申請が重要
特に重要なのは、2029年3月31日までに「申請」ではなく「確認」を受ける必要があるという点です。
さらに確認書の発行まで約1か月を要するため、大型設備投資を予定している企業は、投資計画の早い段階から制度の適用可否と申請スケジュールを確認しておきましょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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