神社で購入するお神酒に消費税はかかる?お札・お守りとの違いを税理士が解説
こんにちは!代表の安田です。
新年の挨拶や商売繁盛の祈願などで、会社が「お神酒」を購入することがあります。
例えば、
取引先への新年の贈答品としてお神酒を購入する
商売繁盛を祈願して神社でお神酒を購入する
会社行事で使用するために日本酒を購入する
といったケースです。
このとき経理担当者が迷いやすいのが、「神社への支払いだから、寄附金のように消費税の対象外ではないのか」という点です。
結論からいうと、お神酒の購入は原則として消費税の課税取引です。
一般の酒店から購入する場合はもちろん、神社から購入する場合も、通常は商品であるお神酒の販売として扱われるため、消費税上は課税仕入れとなります。
一方、同じ神社で購入するものであっても、お札やお守りについては取扱いが異なります。
本記事では、お神酒の購入に係る消費税と、お札・お守りとの違いについて税理士が解説します。
お神酒を購入した場合は消費税の課税仕入れ
お神酒の購入について、消費税の課税取引であり、課税仕入れとして仕入税額控除の対象となると整理されています。
例えば会社が酒店で日本酒を購入し、取引先へ贈答した場合を考えてみましょう。
この場合、酒店が商品である酒を販売し、会社がその対価を支払っています。
一般の商品購入と同じ構造であるため、消費税が課されることに違和感はないでしょう。
<基本的な整理>
購入内容 | 消費税上の基本的な考え方 |
酒店からお神酒を購入 | 課税取引 |
神社からお神酒を購入 | 原則として課税取引 |
お札を授与してもらう | 原則として対価性のない取引 |
お守りを授与してもらう | 原則として対価性のない取引 |
ポイントは、購入先が神社かどうかではなく、その支払いが商品等の対価なのかどうかです。
なぜ神社から買っても課税取引になるのか
神社へ支払うお金というと、
お賽銭
初穂料
玉串料
寄附金
などをイメージし、「消費税がかからないのでは」と考えることがあります。
しかし、お神酒については一般の酒店でも販売されています。
宗教法人が、宗教法人以外の者でも販売できる物品を販売する場合には、法人税上の収益事業である「物品販売業」に該当するという考え方を参考に、お神酒の販売を整理しています。
つまり、神社へお金を支払ったから寄附なのではなく、商品であるお神酒を受け取るために代金を支払っていると考えるわけです。
「寄附」と「商品の購入」の違い
消費税を考えるうえでは、支払いと何らかの商品・サービスとの間に対価関係があるかが重要です。
例えば次のように整理できます。
支払い | 受け取るもの | 対価関係 |
酒店で日本酒を購入 | 日本酒 | あり |
神社でお神酒を購入 | お神酒 | 原則あり |
神社へお賽銭を入れる | 特定の商品・サービスなし | 通常なし |
神社へ純粋な寄附をする | 特定の商品・サービスなし | 通常なし |
お神酒については、一定の金額を支払うことによって具体的な商品を受け取っています。
そのため、純粋な寄附とは性質が異なります。
お札・お守りはお神酒と取扱いが異なる
同じ神社で受け取るものであっても、お札やお守りはお神酒と同じ処理ではありません。
お寺や神社が行うお札・お守りの販売については、法人税上、一般に非収益事業とされ、消費税についても「喜捨金」と考えられるため、対価性のない取引として原則不課税と整理されています。
<お神酒とお守りの比較>
項目 | お神酒 | お札・お守り |
一般の事業者でも販売できるか | できる | 通常は宗教活動に関連 |
支払いの性質 | 商品購入の対価 | 喜捨的な性格 |
消費税 | 原則課税 | 原則として対価性のない取引 |
経理上の注意 | 課税仕入れを検討 | 課税仕入れとしない取扱いを検討 |
経理処理では、「神社への支払い」とひとまとめにせず、何に対して支払ったのかを確認することが重要です。
具体例で確認
<例1:取引先への新年挨拶用にお神酒を購入>
会社が酒店で5,000円のお神酒を購入し、取引先へ贈答したケースです。
この場合、商品の購入であるため、消費税上は課税仕入れとして扱うことになります。
会計上の勘定科目については、会社の会計方針や支出目的に応じて交際費などを検討しますが、勘定科目と消費税区分は分けて考えることが重要です。
<例2:神社で商売繁盛祈願のお神酒を購入>
会社が神社を参拝し、お神酒を購入したケースです。
「神社への支払い」という理由だけで消費税対象外にするのではなく、お神酒という物品の購入であることから、資料では課税取引として整理されています。
<例3:神社でお守りを受け取った>
神社で会社用の商売繁盛のお守りを受け取ったケースです。
この場合は、お神酒とは異なり、資料では喜捨金の性格を持つものとして、原則として対価性のない取引とされています。
会計上の勘定科目と消費税区分は別問題
実務上よくある間違いが、
交際費だから消費税は課税
寄附金だから必ず消費税対象外
と、勘定科目だけで消費税区分を決めてしまうことです。
しかし、法人税上の勘定科目と消費税の課税区分は別の問題です。
例えば、お神酒の購入費を交際費として処理した場合でも、消費税上は課税仕入れとなり得ます。
反対に、神社への純粋な寄附を雑費や交際費で処理したとしても、対価性がなければ消費税の課税仕入れにはなりません。
<経理で確認する順番>
何に対して支払ったのか
商品・サービスの対価なのか
消費税の課税取引か
その後、会計上の勘定科目を判断する
「支払先」や「勘定科目」だけで判断しないことが重要です。
神社への支払いを経理するときのチェックポイント
会社が神社へ支払いを行った場合には、次のように内容を確認するとよいでしょう。
確認項目 | 内容 |
支払先 | 神社・寺院等 |
支払内容 | お神酒、お札、お守り、寄附等 |
受領物 | 具体的な商品等を受け取ったか |
対価性 | 支払いと受領物が対応しているか |
消費税 | 課税取引か対価性のない取引か |
証憑 | 領収書等を保存しているか |
勘定科目 | 交際費・雑費等を目的に応じて判断 |
特に、お神酒・お守り・祈祷料などを同時に支払っている場合には、一括して同じ消費税区分で処理せず、内容を分けて確認した方がよいでしょう。
「神社だから消費税がかからない」は誤り
実務上の重要なポイントは、宗教法人との取引だから消費税がかからないわけではないということです。
神社や寺院であっても、一般の事業者と同様の商品販売を行えば、その取引が課税取引となることがあります。
一方で、宗教活動そのものに関連するお札やお守りの授与、純粋な喜捨などは、物品販売とは異なる考え方になります。
したがって、判断基準は、「誰から買ったか」ではなく、「何の対価として支払ったか」です。
よくある疑問
Q. 神社で買ったお神酒は消費税の課税仕入れですか?
A. 添付資料では、神社がお神酒を販売する取引について、一般の物品販売と同様に対価性があるものとして、消費税の課税取引になると整理されています。
Q. お守りも同じように課税仕入れですか?
A. お札・お守りについては、お神酒とは異なり「喜捨金」と考えられ、原則として対価性のない取引として扱うとされています。
Q. お賽銭は課税仕入れになりますか?
A. 「喜捨」の例として言及されています。特定の商品やサービスの対価として支払うものではない点で、お神酒の購入とは性質が異なります。
まとめ
会社がお神酒を購入した場合、その支払先が酒店であっても神社であっても、原則として商品であるお神酒を購入する課税取引として扱います。
今回のポイントをまとめると次のとおりです。
お神酒の購入は原則として消費税の課税取引
神社から購入しても、一般の物品販売と同様に考える
「神社への支払い=すべて消費税対象外」ではない
お札・お守りは、お神酒とは異なり、原則として対価性のない取引として扱う
消費税区分は勘定科目だけで判断しない
重要なのは「何に対する支払いなのか」を確認すること
新年や会社行事では、神社への支払いを経理処理する機会があります。
その際には、「神社への支払い」という括りで一律処理するのではなく、お神酒の購入、お札・お守り、寄附など支払いの内容ごとに消費税区分を確認しましょう。
神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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