免税店のリファンド方式は2026年11月開始|新様式の許可申請書・既存免税店の経過措置を解説
おはようございます!代表の安田です。
外国人旅行者などに対する免税販売の仕組みである「輸出物品販売場制度」が、大きく変わります。令和7年度税制改正により、2026年11月から免税販売は「リファンド方式」へ移行します。
これに伴い、免税販売手続や免税店の区分、許可要件等も見直されます。リファンド方式開始後に新たに免税店の許可を受ける場合には、新しい様式の「輸出物品販売場許可申請書」を提出することになります。
新様式は2026年9月中に公表予定で、10月1日から受付を開始するとされています。
一方、すでに免税店の許可を受けている事業者については、一定の場合を除き、新しい申請書を改めて提出する必要はありません。
本日は、2026年11月から始まる消費税のリファンド方式について、新規免税店の申請、添付書類、既存免税店の経過措置などを解説します。
2026年11月から免税販売は「リファンド方式」へ
令和7年度税制改正により、輸出物品販売場制度は2026年11月からリファンド方式へ移行します。
これに伴い、現在の免税販売制度について、
免税販売の手続
免税店の区分
免税店の許可要件
購入記録情報の提供方法
などが見直されます。
免税販売を行なっている小売事業者や、今後免税店の開設を予定している事業者は、2026年秋に向けて新制度への対応を確認しておく必要があります。
免税店の区分も変更される
現行制度では、輸出物品販売場は主に次のように区分されています。
一般型輸出物品販売場
手続委託型輸出物品販売場
自動販売機型輸出物品販売場
リファンド方式開始後は、一般型免税店と手続委託型免税店が統合され、「一般型免税店」となる予定です。
<免税店区分のイメージ>
現行制度 | リファンド方式開始後 |
一般型免税店 | 一般型免税店へ |
手続委託型免税店 | 一般型免税店へ統合 |
自動販売機型輸出物品販売場 | 別途制度上の取扱い |
制度上の区分が整理される一方、実際の免税販売手続を自社で行うのか、外部へ委託するのかによって、申請時の添付書類は変わります。
一般物品と消耗品の区分も廃止
リファンド方式への移行に伴い、一般物品と消耗品の区分も廃止されます。
また、消耗品に係る購入上限額も廃止されるとされています。
<主な制度変更>
項目 | 変更内容 |
免税方式 | リファンド方式へ |
一般型・手続委託型 | 一般型免税店へ統合 |
一般物品・消耗品 | 区分を廃止 |
消耗品の購入上限 | 廃止 |
店舗側の販売管理や免税システムにも影響する可能性があるため、対象事業者はシステム対応状況も確認しておくとよいでしょう。
新しい免税店許可申請書は10月1日から受付
2026年11月以降のリファンド方式に対応した一般型免税店の許可を新たに取得する場合には、新様式の輸出物品販売場許可申請書を提出します。
新様式の公表:2026年9月中予定
申請受付開始:2026年10月1日
とされています。
<スケジュール>
時期 | 内容 |
2026年9月中 | 新様式の申請書を公表予定 |
2026年10月1日 | 新様式による申請受付開始 |
2026年11月 | リファンド方式開始 |
これから免税店を新規開設する事業者は、旧様式ではなく、新制度対応の申請書を使用することになります。
申請書はどこへ提出する?
リファンド方式開始後の一般型免税店の許可を受ける場合、新様式の輸出物品販売場許可申請書を、納税地の所轄税務署長へ提出します。
また、申請書だけではなく、
免税店に関する書類
購入記録情報の提供等の方法に関する書類
も併せて提出します。
ここで重要なのが、免税販売手続等を自社で行なうか、外部事業者へ委託するかによって必要書類が異なるという点です。
免税販売手続を自社で行う場合の添付書類
まず、自社で免税販売手続を実施する場合です。
書類区分 | 主な添付書類 |
免税店に関する書類 | 免税販売に必要な事務の概要を記載した書類 |
具体例 | 免税販売手続マニュアル等 |
購入記録情報の提供等 | 使用する情報システムの内容を記載した書類 |
具体例 | 事務マニュアル、端末操作要領等 |
つまり、自社で手続を行う事業者は、「店舗でどのように免税販売を行うのか」「購入記録情報をどのシステムで処理するのか」を説明できる資料を準備する必要があります。
外部事業者へ委託する場合の添付書類
免税販売手続や購入記録情報の提供を外部へ委託する場合には、委託契約関係の書類が中心となります。
委託する内容 | 主な添付書類 |
免税販売手続 | 承認免税手続事業者への委託契約書の写し |
購入記録情報の提供等 | 承認送受信事業者への委託契約書の写し |
資料では、免税販売手続の委託に関する契約書や、購入記録情報の提供等に係る事務の委託契約書などが例示されています。
自社実施と委託を整理
実務上分かりやすく整理すると、次のようになります。
業務 | 自社で実施 | 外部へ委託 |
免税販売手続 | 手続マニュアル等 | 委託契約書 |
購入記録情報の提供 | システム説明資料・操作要領等 | 委託契約書 |
したがって、「免税店の許可申請書だけを出せばよい」わけではありません。
新規申請を予定している場合には、実際の店舗オペレーションやシステム、委託契約まで含めて準備する必要があります。
新様式は「KSK2」に対応
新しい輸出物品販売場許可申請書は、2026年9月24日から稼働する「KSK2」に対応した様式になる予定です。AI-OCRで文字や数字を読み取れる様式になる予定とされています。
事業者側の税務処理そのものを大きく変える話ではありませんが、国税庁側の申請処理についてもデジタル化が進められていることが分かります。
既存の免税店は原則として再申請不要
今回、すでに免税店を運営している事業者にとって特に重要なのが経過措置です。
2026年10月31日以前に、一般型免税店または手続委託型免税店の許可を受けている事業者については、一定の場合を除き、11月1日以後も新しい申請書を提出する必要はありません。
リファンド方式開始後の一般型免税店の許可を受けたものとみなされます。
<既存免税店の取扱い>
2026年10月31日時点 | 2026年11月以降 |
一般型免税店の許可あり | 原則として新制度の一般型免税店とみなされる |
手続委託型免税店の許可あり | 原則として新制度の一般型免税店とみなされる |
新規で免税店を開始 | 新様式で許可申請が必要 |
既存事業者が全員一斉に新規申請し直す制度ではない点は重要です。
「再申請不要」でも制度対応は必要
もっとも、申請不要だから何もしなくてよいという意味ではありません。
リファンド方式開始によって、
免税販売手続
購入記録情報
店舗オペレーション
システム
外部委託契約
などが変わる可能性があります。
許可の再申請が不要であることと、新制度への実務対応が不要であることは別問題として考えた方がよいでしょう。
新規免税店を予定している場合の実務フロー
2026年11月以降に新たな免税店を運営したい事業者は、次のような流れで準備すると分かりやすいでしょう。
免税販売を自社で行なうか委託するか決める
購入記録情報の提供方法を決める
必要なシステム・端末を準備する
自社実施なら手続マニュアル等を作成する
委託する場合は契約書を準備する
新様式の輸出物品販売場許可申請書を作成する
所轄税務署へ提出する
特に委託方式の場合には、申請前に契約関係を整理しておく必要があります。
10月31日までに許可を受けるかどうかも重要
今回の経過措置では、2026年10月31日以前に許可を受けているかがポイントになります。
そのため、現在免税店の開設準備をしている事業者については、
現行制度で許可を受けるのか
リファンド方式開始後の新制度で申請するのか
をスケジュールも含めて検討する必要があります。
免税店事業者が確認しておきたいチェックリスト
チェック項目 | 確認内容 |
現在の許可 | 一般型・手続委託型の許可があるか |
許可時期 | 2026年10月31日以前か |
新規申請 | 10月1日以降の新様式が必要か |
免税手続 | 自社か委託か |
購入記録情報 | 自社システムか委託か |
マニュアル | 自社実施の場合に準備できているか |
委託契約 | 契約書を準備しているか |
システム | リファンド方式へ対応できるか |
商品管理 | 一般物品・消耗品区分廃止への対応 |
スケジュール | 2026年11月開始に間に合うか |
よくある疑問
Q. リファンド方式はいつから始まりますか?
A. 令和7年度税制改正により2026年11月から輸出物品販売場制度がリファンド方式へ移行するとされています。
Q. 新しい免税店許可申請書はいつから提出できますか?
A. 新様式は2026年9月中に公表予定で、10月1日から受付開始とされています。
Q. 現在すでに免税店ですが、新しい申請書を出す必要がありますか?
A. 2026年10月31日以前に一般型免税店または手続委託型免税店の許可を受けている事業者については、一定の場合を除き、申請書等を提出せずに新制度の一般型免税店の許可を受けたものとみなされます。
Q. 新規申請では申請書だけ提出すればよいですか?
A. いいえ。免税店に関する書類や、購入記録情報の提供等に関する書類も提出します。自社実施か委託かによって必要書類が異なります。
まとめ
輸出物品販売場制度は、2026年11月からリファンド方式へ移行します。
今回のポイントをまとめると次のとおりです。
2026年11月から免税販売がリファンド方式へ移行
一般型免税店と手続委託型免税店は「一般型免税店」へ統合
一般物品と消耗品の区分を廃止
消耗品の購入上限額も廃止
新しい免税店許可申請書は2026年10月1日から受付
自社で免税手続をする場合はマニュアル等が必要
外部へ委託する場合は委託契約書等が必要
新様式はKSK2・AI-OCRに対応予定
2026年10月31日以前から一定の免税店許可がある事業者は原則再申請不要
特に既存免税店については、「新しい許可申請が不要」という経過措置が設けられている点が重要です。
一方、許可の再申請が不要でも、新しいリファンド方式に合わせた販売手続や購入記録情報、システム等への対応は別途検討する必要があります。
免税店を運営している事業者や新規出店を予定している事業者は、2026年11月の制度開始に向けて、現在の許可状況と免税手続の運用方法を早めに確認しておきましょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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