【e-Tax不具合】贈与税申告書が他人に閲覧可能に|203人分の個人情報に影響、国税庁の対応を解説
こんばんは!代表の安田です。
2026年10月2日、国税庁は、電子申告・納税システム「e-Tax」のマイページにおいて、本人以外の贈与税申告書等を閲覧できる不具合が発生していたことを公表しました。
今回の不具合は、2026年9月24日と25日の一部の時間帯に発生したものです。
国税庁によると、79人分の贈与税申告書等について、本人以外の19人が閲覧した可能性があるとされています。
さらに、贈与税申告書等には申告者本人だけでなく、贈与者や関与税理士の住所・氏名なども記載されているため、合計203人分の個人情報が閲覧された可能性があることが明らかになりました。
すでに不具合は解消され、e-Taxの機能は利用可能な状態に復旧しています。
本日は、今回のe-Taxの不具合について、発生状況、原因、閲覧された可能性のある個人情報の範囲、国税庁の対応、納税者や税理士が注意したい点を解説します。
e-Taxで発生した不具合の概要
今回の不具合は、e-Taxのマイページに設けられている「贈与税関係情報」に関する機能で発生しました。
通常、この機能では、本人が過去に提出した贈与税申告書等の情報を確認できます。
しかし、システムの不具合によって、本来閲覧できないはずの別の納税者の贈与税申告書等が表示される状態となっていました。
<不具合の概要>
項目 | 内容 |
公表日 | 2026年10月2日 |
発生期間 | 2026年9月24日・25日の一部時間帯 |
対象システム | e-Taxマイページ |
対象機能 | 贈与税関係情報 |
閲覧された可能性がある申告書等 | 79人分 |
本人以外で閲覧した可能性がある人 | 19人 |
閲覧された可能性がある個人情報 | 203人分 |
原因 | システム改修に伴う不具合 |
復旧状況 | 解消済み |
ここで重要なのは、79人・19人・203人という3つの数字の意味が異なる点です。
79人は申告書等の対象となる申告者の人数、19人は本人以外の情報を閲覧した可能性がある人の人数です。
そして203人は、贈与者や関与税理士なども含めた、個人情報が閲覧された可能性のある人数となります。
なぜ79人分の申告書で203人分の個人情報が対象になる?
贈与税の申告書には、申告する本人以外の情報が記載される場合があります。
例えば、親から子どもへ財産を贈与した場合、贈与税申告書には財産を受け取った子どもだけでなく、財産を贈与した親に関する情報も記載されます。
また、税理士が申告書の作成に関与した場合には、その税理士に関する情報も含まれます。
<贈与税申告書に記載される関係者>
関係者 | 役割 | 記載される個人情報の例 |
受贈者(申告者) | 財産を受け取り、贈与税を申告する人 | 氏名・住所等 |
贈与者 | 財産を贈与した人 | 氏名・住所等 |
関与税理士 | 贈与税申告に関与した税理士 | 氏名・住所等 |
今回の不具合では、こうした申告者以外の関係者の情報も含めて、合計203人分の個人情報が閲覧された可能性があるとされています。
つまり、自分自身が贈与税の申告をしていなくても、贈与者や関与税理士として申告書に記載されていれば、今回の対象となる可能性があったということです。
なお、実際にどの申告書のどの項目が閲覧されたかについては、個別に確認する必要があります。
不具合の原因は9月24日のシステム改修
国税庁によると、今回の不具合は、2026年9月24日に実施したe-Taxマイページのシステム改修に伴って発生しました。
この改修は、贈与税関係情報の機能を充実させるために実施されたものです。
e-Taxでは、電子申告の利便性向上のため、利用者がオンラインで確認できる情報や機能の拡充が進められています。
今回も、こうした機能追加・改善のためのシステム改修が原因となりました。
<今回の発生経緯>
日付 | 出来事 |
2026年9月24日 | 贈与税関係情報の機能を拡充するシステム改修 |
9月24日~25日 | 一部の時間帯に本人以外の申告書等が閲覧可能に |
不具合の発覚後 | 利用制限・システムの修正対応 |
2026年10月2日 | 国税庁が不具合を公表 |
公表時点 | 不具合は解消し、機能の利用が可能 |
今回の事象は、納税者が誤った操作をしたために発生したものではなく、国税庁側のシステム改修に伴う不具合とされています。
国税庁の基幹システム「KSK2」への移行とは関係なし
2026年9月24日には、国税庁の基幹システムについても大きな変更がありました。
従来の国税総合管理システム「KSK」が、新たな「KSK2」へ刷新されています。
KSKは、税務署や国税局で税務情報を管理するために利用される基幹システムです。
そのため、同じ日に発生した今回の不具合について、KSK2への移行が原因ではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、国税庁は、今回のe-Taxマイページの不具合とKSK2への移行には関連性がないと説明しています。
<2つのシステム変更を整理>
項目 | 内容 | 今回の不具合との関係 |
e-Taxマイページの改修 | 贈与税関係情報の機能充実 | 不具合の原因 |
KSKからKSK2への移行 | 国税庁の基幹システム刷新 | 関連性なし |
今回の問題は、国税庁全体の基幹システム刷新によるものではなく、e-Taxマイページの特定機能の改修に伴うものと整理されています。
現在は不具合が解消し、e-Taxの機能が利用可能
国税庁によると、今回の不具合はすでに解消されています。
e-Taxマイページの機能についても、利用可能な状態に復旧しています。
したがって、今回の不具合が発生したからといって、すべてのe-Tax利用者が申告方法を変更する必要があるというわけではありません。
また、公表された内容では、贈与税申告書の内容が書き換えられたり、過去の申告が無効になったりしたという事実は示されていません。
今回確認されているのは、本来の閲覧権限を持たない人が、他人の申告書等を閲覧できる状態になっていたという問題です。
ただし、今後新たな事実が公表される可能性もあるため、国税庁の最新情報を確認することが重要です。
個人情報が閲覧された可能性のある人には個別連絡
今回、国税庁は個人情報が閲覧された可能性のある人に対して、個別に連絡する対応を進めています。
具体的には、国税局または税務署の職員が、対象者に対して経緯を説明し、謝罪することとされています。
<連絡対象者と対応>
対象者 | 国税庁の対応 |
贈与税の申告者 | 個別連絡、経緯の説明・謝罪 |
贈与者 | 個別連絡、経緯の説明・謝罪 |
関与税理士 | 個別連絡、経緯の説明・謝罪 |
本人以外の申告書等を閲覧した可能性がある人 | 個別連絡、情報の秘密保持・消去を依頼 |
今回の対応では、申告者本人だけでなく、申告書に記載されていた贈与者や関与税理士も連絡対象とされています。
贈与税申告に関係する複数の当事者の個人情報が影響を受けた点が、今回の不具合の特徴です。
他人の申告書を閲覧した人には情報の消去を依頼
国税庁は、本人以外の贈与税申告書等を閲覧した可能性がある19人に対しても、個別に連絡しています。
その際、情報の秘密保持や消去を依頼しています。
この対応は、閲覧できてしまった情報が第三者へ広がることを防ぐためのものです。
ただし、申告書等を閲覧できた可能性があることと、その情報が実際に保存・転送・悪用されたことは別の問題です。
今回の情報だけで、203人分の個人情報が不正利用されたと判断することはできません。
閲覧の可能性と実際の情報流出・不正利用の有無は、区別して考える必要があります。
贈与税の申告者は何を確認すればよい?
今回の不具合について、贈与税の申告者が全員一律に申告書を再提出したり、特別な手続を行なったりする必要があるとは公表されていません。
まずは、国税庁からの個別連絡の有無を確認することが基本になります。
<対応の考え方>
状況 | 確認したいこと |
国税局・税務署から連絡があった | 対象となった情報や説明内容を確認する |
連絡がない | 国税庁の公表情報を確認する |
不審な電話・メールが届いた | 公式の連絡先で真偽を確認する |
申告内容について不安がある | 関与税理士や所轄税務署へ相談する |
特に注意したいのは、今回の不具合に便乗した不審な連絡です。
税務署職員を名乗る電話やメールを受けた場合でも、すぐに個人情報やログイン情報を伝えるのではなく、必要に応じて国税庁の公式サイトに掲載されている税務署の電話番号へ確認するとよいでしょう。
関与税理士にとっても重要な問題
今回の不具合では、納税者や贈与者だけでなく、申告書の作成に関与した税理士の氏名・住所等も閲覧された可能性があるとされています。
税理士は、顧客の税務申告を代理する立場として、申告書に含まれる個人情報を適切に取り扱う必要があります。
そのため、今回のような行政側のシステム不具合であっても、顧客から問い合わせを受けた場合には、発生状況や国税庁の対応を正確に説明できるようにしておくことが望ましいでしょう。
<税理士事務所で確認したいこと>
確認事項 | 内容 |
国税庁からの連絡 | 事務所や関与税理士が対象となっていないか |
顧客への連絡 | 顧客から問い合わせがあった場合の対応 |
事実関係 | 閲覧の可能性と流出・不正利用を区別する |
申告書管理 | 事務所内での個人情報管理を継続する |
最新情報 | 国税庁の追加公表を確認する |
今回の不具合は、税理士事務所が利用する会計ソフトや申告ソフトの操作ミスによって発生したものではありません。
そのため、今回の事象をもって、特定の税理士事務所の個人情報管理に問題があったと判断することは適切ではありません。
e-Taxマイページではどのような情報を確認できる?
e-Taxマイページは、電子申告に関する各種情報をオンラインで確認できるサービスです。
例えば、次のような情報を確認できます。
納税者本人の登録情報
所得税に関する一定の情報
消費税に関する一定の情報
過去の贈与税申告情報
NISAに関する情報
また、一定の委任関係が登録されている税理士については、委任を受けた納税者の情報を確認できる仕組みも設けられています。
このような機能は、納税者や税理士にとって便利な一方、税務情報には個人の所得や資産に関係する機密性の高い情報が含まれます。
したがって、システムの利便性だけでなく、本人確認や閲覧権限が適切に管理されていることが重要になります。
電子申告の利便性と情報管理の重要性
今回の不具合から、電子申告システムの運用について考えておきたい点があります。
電子申告の利用が広がることで、納税者や税理士には次のようなメリットがあります。
税務署へ出向かずに申告できる
過去の申告情報を確認しやすい
申告・納税に関する手続をオンラインで行なえる
書類の管理や再確認を効率化できる
一方、システム上で大量の税務情報を管理する以上、閲覧権限の設定やシステム改修時の動作確認が重要になります。
今回の事象では、贈与税関係情報の機能を拡充するための改修に伴って、本人以外の情報が閲覧できる状態となりました。
これは、機能を追加する際には、想定どおりの情報を表示するかだけでなく、本来表示してはいけない情報が表示されないかを確認することも重要であることを示しています。
今後も電子申告の機能拡充が進むと考えられるため、国税庁には、利便性の向上とともに個人情報保護の徹底が求められます。
よくある質問
Q. e-Taxで他人の贈与税申告書が見られる不具合はいつ発生しましたか?
A. 2026年9月24日と25日の一部の時間帯に発生しました。国税庁が10月2日に不具合を公表しています。
Q. 何人分の個人情報が閲覧された可能性がありますか?
A. 贈与税申告書等は79人分で、本人以外の19人が閲覧した可能性があります。申告者だけでなく、贈与者や関与税理士を含めると、203人分の個人情報が閲覧された可能性があるとされています。
Q. 不具合は現在も続いていますか?
A. いいえ。国税庁によると、不具合はすでに解消されており、e-Taxの機能は利用可能な状態に復旧しています。
Q. KSK2への移行が原因ですか?
A. いいえ。国税庁は、今回の不具合について、2026年9月24日のKSK2への移行との関連性はないと説明しています。
Q. 個人情報が閲覧された人には連絡が来ますか?
A. 国税庁は、閲覧された可能性がある申告者、贈与者、関与税理士などに対し、国税局または税務署の職員が個別に連絡し、経緯の説明と謝罪を行っています。
Q. e-Taxで提出した贈与税申告書を再提出する必要がありますか?
A. 今回の公表内容では、申告書等の閲覧に関する不具合が報告されているものであり、申告書の再提出が一律に必要とはされていません。個別に国税庁から連絡があった場合には、その説明に従って対応することになります。
Q. 今回の不具合で個人情報が悪用されたのですか?
A. 今回の公表では、個人情報が本人以外に閲覧された可能性があることが説明されています。一方、閲覧された情報が実際に不正利用されたかどうかについては、今回確認した内容だけでは判断できません。
まとめ
国税庁は2026年10月2日、e-Taxマイページで本人以外の贈与税申告書等が閲覧できる不具合が発生していたことを公表しました。
今回のポイントは次のとおりです。
不具合は2026年9月24日・25日の一部時間帯に発生
対象はe-Taxマイページの「贈与税関係情報」
79人分の贈与税申告書等が本人以外に閲覧された可能性
本人以外の19人が閲覧した可能性
贈与者や関与税理士を含めて203人分の個人情報が対象
原因は贈与税関係情報の機能拡充に伴うシステム改修
国税庁の基幹システムKSK2への移行とは無関係
不具合はすでに解消し、機能は利用可能
対象者に対して国税局・税務署から個別に連絡
本人以外の情報を閲覧した可能性がある人には秘密保持・消去を依頼
特に重要なのは、贈与税申告書には、申告者本人だけでなく贈与者や関与税理士の個人情報も含まれているため、申告者の人数を上回る個人情報が影響を受けたという点です。
税務申告の電子化は、納税者・税理士双方の事務負担を軽減する便利な仕組みです。
その一方で、今回の事象は、税務情報を取り扱うシステムにおいて閲覧権限の管理がいかに重要であるかを示しています。
今後もe-Taxを安心して利用するためには、国税庁による再発防止への取組と、利用者側の適切な情報管理の両方が重要になるでしょう。
神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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