top of page

KSK2とは?2026年9月24日から国税庁のシステム変更で何が変わるかを税理士が解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
12 時間前
読了時間: 12分

おはようございます!代表の安田です。


2026年9月24日から、国税庁の基幹システムである「KSKシステム」が刷新され、新しいKSK2へ移行します。


KSKは、国税の申告・納税、課税・徴収などに関する情報を一元的に管理する「国税総合管理システム」です。


今回の変更は国税庁内部のシステム更改という側面が大きいものの、納税者や企業の経理担当者にも無関係ではありません。


例えば、

  • 税務署からの通知書の電子交付が大幅に拡大

  • 電子交付への同意方法が変更

  • 一部の紙の申告書がAI-OCR対応様式へ変更

  • 紙の申告書の「控用」が廃止

  • 納付書等の「整理番号」が13桁の「お問い合わせ番号」へ変更

  • e-Taxのメンテナンスに伴う利用停止

など、実務上確認しておきたい変更があります。


本記事では、KSK2とは何か、2026年9月24日以降に納税者側で何が変わるのかを税理士が整理します。


KSK2とは?

KSKとは「国税総合管理システム」のことで、国税の申告・納税をはじめ、課税や徴収に関する情報を一元的に管理する国税庁の基幹システムです。


一方、納税者がインターネット上で申告・納税などを行なうための仕組みがe-Taxです。

システム区分上、e-TaxもKSK2に統合される方向とされています。


<国税庁の主なシステム>

システム

主な役割

KSK・KSK2

国税の申告・課税・徴収情報等を一元管理

e-Tax

納税者が電子申告・納税等を行なう

確定申告書等作成コーナー

所得税等の申告書を作成

法人番号システム

法人番号情報を管理・公表

適格請求書発行事業者公表システム

インボイス登録情報を公表

KSK2への移行そのものは国税庁側のシステム変更ですが、その結果として納税者との情報のやり取りも変わります。


KSK2では「書面中心」から「データ中心」へ

KSK2の大きなコンセプトは、書面中心の税務行政から、データ中心の税務行政への移行です。


従来のKSKでは、書面を出力し、紙を前提として処理・決裁する業務が多くありました。

KSK2では、端末上で事務処理を行い、電子決裁を利用する仕組みに変わります。


さらに、独自の大型コンピューターを中心としたシステムから、より一般的でオープンなシステムへ刷新し、保守性を高めることも目的とされています。


AI・データ活用による税務行政の高度化も

KSK2では、AI-OCRなどを利用し、紙に記載された情報をデータとして取り込む仕組みも拡充されます。


データとして管理できる情報が増えることで、

  • 申告漏れの可能性が高い納税者の判定

  • 滞納者への有効な接触方法の予測

  • 国税当局が保有する各種資料のデータ登録

  • 地図情報を活用した調査業務

など、AI・データを活用した課税・徴収事務の高度化が想定されています。


納税者から見ると直接操作する機能ではありませんが、税務行政そのものが今後さらにデータベース化されるという方向性は押さえておくとよいでしょう。


最大の変更点① 税務署の通知書が約1,000種類まで電子交付可能に

納税者にとって特に大きいのが、税務署から送られる処分通知等の電子交付の拡大です。

現在e-Taxで電子交付可能な通知は9種類ですが、KSK2移行後は約1,000種類まで大幅に拡大します。


例えば、従来から対象だった、

  • 住宅ローン控除証明書

  • 予定納税額等通知書

などに加え、

  • 更正又は決定通知書

  • 更正決定等をすべきと認められない旨の通知書(いわゆる是認通知)

なども電子交付できるようになります。


<電子交付のイメージ>

項目

KSK2移行後

電子交付対象

約1,000種類へ拡大

受領場所

e-Taxメッセージボックス

確認方法

e-Taxへログイン

税理士との共有

e-Tax上の委任関係登録により可能

税務署から重要な通知が紙ではなくe-Taxに届く機会が大きく増えることになります。


「お尋ね」もWebで回答可能に

税務署から届く「お尋ね」についても変更があります。


これまでは、税務署から書面でお尋ねが届き、書面で回答するケースが一般的でした。

KSK2移行後は、Web(e-Tax)上から回答することも可能になります。


企業の経理担当者にとっては、郵送や書面作成の負担が減る可能性があります。


最大の変更点② 電子交付は「都度同意」から「事前の一括同意」へ

2026年9月24日から、通知書等の電子交付への同意方法も変わります。

従来は、電子交付を受ける際に、申請・届出ごとに同意する仕組みでした。

KSK2移行後は、事前に一括して電子交付へ同意する方式に変わります。


<改正前後>

項目

従来

KSK2移行後

電子交付の同意

申請等の都度

事前に一括同意

手続

個別

e-Tax上で設定

通知の受領

一部のみ

対象が大幅拡大

電子交付を希望する場合は、2026年9月24日以後にe-Tax上で一括同意を行うことになります。


一括同意にはメールアドレスとワンタイム認証が必要

電子交付の一括同意について、e-Taxへログインし、「通知書等の受領方法」の画面で「電子(e-Tax)」を選択する方法が示されています。


その際、

  • メールアドレスの登録

  • ワンタイム認証

が必要とされています。


なお、「国税還付金振込通知書」については、従来どおり申告・申請ごとの同意が必要です。


顧問税理士と通知書を共有できる

企業にとって便利なのが、税理士との情報共有です。

納税者と税理士がe-Tax上で委任関係を登録することで、電子交付された通知書等をe-Tax上で税理士と共有できるとされています。


従来は、

税務署から郵便が届く → 会社が内容を確認 → スキャンして税理士へ送付

という作業が必要になることもありました。


KSK2移行後は、対象となる通知書であれば、e-Tax上での情報共有によって事務負担を減らせる可能性があります。


最大の変更点③ 紙の申告書がAI-OCR対応様式へ

書面で提出する一部の申告書等については、AI-OCRで文字や数字を読み取れるよう、レイアウトが変更されます。


そして、今回の変更で目立つのが、「控用」の廃止です。


<書面申告の主な変更>

項目

変更

一部申告書

AI-OCR対応様式へ

レイアウト

読取りを前提に変更

「控用」

廃止

提出

原則として最新様式を使用

古い申告書を保管している場合は、そのまま利用せず、国税庁ホームページで最新様式を確認した方がよいでしょう。


古い様式は一切使えなくなる?

ベンダーソフトから非AI-OCR様式が出力される場合などについては、非AI-OCR様式でも提出可能とされています。

また、過年分については、AI-OCR様式に変わっていないものもあります。


つまり、9月24日以降は旧レイアウトなら一切受け付けてもらえないというわけではありません。


ただし、紙で提出する場合には最新様式を確認して利用するのが基本です。


最大の変更点④ 「整理番号」が13桁の「お問い合わせ番号」へ

税務署から届く文書や納付書などで使われる番号も変わります。

従来の8桁の「整理番号」に代わり、KSK2では13桁の「お問い合わせ番号」が使用されます。


<番号の変更>

項目

従来

KSK2

名称

整理番号

お問い合わせ番号

桁数

8桁

13桁

税務署へ問い合わせる際、この「お問い合わせ番号」を伝えることで、職員が送付文書の内容や対応状況をシステム上で検索しやすくなります。


お問い合わせ番号は「納税者番号」ではない

ここは誤解しやすいところです。

13桁のお問い合わせ番号は、納税者ごとに固定された番号ではありません。

税務署から送付される文書ごとに番号が付番されます。


つまり、A社のお問い合わせ番号は常に「1234567890123」という仕組みではありません。


税務署から届いた文書を問い合わせる際には、その文書に記載されたお問い合わせ番号を確認することになります。


納付書・源泉所得税の納付書も変更

KSK2への移行に伴い、

  • 国税の納付書

  • 所得税徴収高計算書

のレイアウトも変更されます。


いずれも、整理番号8桁 → お問い合わせ番号13桁へ変更されます。 

ただし、当分の間、古いレイアウトの納付書や所得税徴収高計算書も使用可能とされています。


したがって、会社に旧様式の納付書が残っているからといって、直ちにすべて処分する必要があるわけではありません。


税務署窓口の所得税徴収高計算書はA4用紙へ

給与・税理士報酬などの源泉所得税を納付する際に使用する「所得税徴収高計算書」についても変更があります。


税務署窓口で交付されるものや税務署から個別郵送されるものは、複写式の日銀OCR用 → A4用紙へ変更されます。

電子納税を利用していない会社では、見慣れた納付書の様式が変わるため注意しておきましょう。


税務署から届く文書の漢字が変わることも

KSK2移行後は、税務署から送付される文書や納税証明書等で使用できる文字が、JIS第1水準から第4水準までを基本とする取扱いになります。


そのため、一部の特殊な漢字や記号は字形が置き換えられる場合があります。

例として、

  • 「𠮷」→「吉」

  • 「髙」→「高」

といった変更が考えられます。


税務署から届いた書面で氏名等の字体が従来と違っていても、KSK2への移行に伴うシステム上の文字の取扱いが原因となっている可能性があります。


申告書の「収受日付印」はどうなる?

申告書等閲覧サービスや申告書等情報取得サービス、開示請求においては、申告書等の提出年月日はヘッダーへ印字され、収受日付印の押印は行なわれないとされています。


KSK2は書面中心からデータ中心へ移行するシステムであり、この点もその方向性の一つといえるでしょう。


e-Taxはいつ使えなくなる?

KSK2へのデータ移行作業に伴い、e-Taxには利用できない期間があります。

停止期間は次のとおりです。 

期間

e-Tax

2026年9月19日(土)0時~9月24日(木)8時30分

利用不可

2026年9月26日(土)0時~24時

利用不可

申告・届出・電子納税などを予定している場合には、停止期間と重ならないよう注意が必要です。


特に9月末が申告・納付期限となる法人や、各種届出を予定している会社では事前にスケジュールを確認しておいた方がよいでしょう。


e-TaxへIPアドレス指定で接続している企業は注意

KSK2移行に伴い、e-TaxのIPアドレスについても変更があります。


従来の固定IPアドレスから、接続するたびに変わる動的IPアドレスへ変更され、e-TaxのIPアドレスは非公開になります。


そのため、社内ネットワーク等で、特定IPアドレスだけを許可してe-Taxへ接続しているような設定をしている場合には注意が必要です。


資料では、IPアドレスではなくURLで接続することになるとされています。


企業・個人事業主への影響をまとめると

KSK2移行による主な影響を整理すると次のとおりです。

項目

2026年9月24日以降の主な変更

税務署の通知

電子交付対象が約1,000種類へ拡大

電子交付の同意

都度同意から事前一括同意へ

税理士との共有

e-Tax上で通知書共有が可能

税務署へのお尋ね

Web回答が可能

紙申告書

一部AI-OCR対応様式へ

申告書の控用

廃止

整理番号

13桁の「お問い合わせ番号」へ

納付書

レイアウト変更

所得税徴収高計算書

レイアウト変更、一部A4化

税務署の文書

一部の漢字の字体が変更される場合あり

e-Tax

移行時に利用停止期間あり


9月24日までに確認しておきたいこと

企業側の実務としては、次の事項を確認しておくとよいでしょう。

チェック項目

確認内容

e-Tax

利用停止期間に申告・届出予定がないか

電子交付

今後電子交付を利用するか

メールアドレス

e-Taxに適切なアドレスを登録しているか

税理士との連携

委任関係登録を確認するか

紙申告

最新AI-OCR様式を使用しているか

納付書

新旧様式の違いを把握しているか

社内ネットワーク

e-Taxへの接続をIP制限していないか

税務署文書

お問い合わせ番号を保存する運用にするか

特に、税務署からの通知を電子受領する場合には、e-Taxのメッセージボックスを誰が確認するのかを社内で決めておくことが実務上重要になると考えられます。


「税務署から郵便が来るまで待つ」運用は見直しが必要になる可能性

電子交付対象が約1,000種類まで増えると、今後は、税務署から重要な書類は必ず郵便で届くという前提で管理することが適切でなくなる可能性があります。


電子交付に一括同意した企業では、e-Taxに通知が届いていないか定期的に確認する運用が必要になります。


税理士へ通知書を共有する手間も減る可能性

税務署から届く通知書は、内容によっては顧問税理士へすぐ共有した方がよいものがあります。


例えば、

  • 更正・決定通知

  • 是認通知

  • 各種税務手続に関する通知

などです。


KSK2移行後はe-Tax上で委任関係を登録することで、電子交付された通知書を税理士と共有可能になります。


経理担当者が紙をスキャンしてメール送付する作業を減らせる可能性があり、顧問税理士との情報共有も効率化できます。


よくある疑問

Q. KSK2はいつから始まりますか?

A. 国税庁は2026年9月24日から現行のKSKシステムを刷新し、KSK2へ移行するとされています。


Q. e-Tax自体がなくなるのですか?

A. なくなるという内容ではありません。システム区分上、e-TaxがKSK2に統合されるとされていますが、納税者は引き続きe-Taxを利用して電子申告・納税等を行ないます。


Q. 税務署からの通知はすべて電子になりますか?

A. 電子交付できる処分通知等の対象が現在の9通知から約1,000通知へ拡大するとされています。ただし、電子交付を希望する場合にはe-Tax上で一括同意を行なう仕組みです。


Q. 旧様式の納付書はもう使えませんか?

A. レイアウト変更後も当分の間は旧様式を使用可能とされています。


Q. e-Taxが使えない期間はありますか?

A. あります。2026年9月19日0時から9月24日8時30分までと、9月26日0時から24時まで利用できないとされています。


まとめ

2026年9月24日から、国税庁の基幹システムがKSKからKSK2へ移行します。


国税庁内部のシステム更改ではありますが、企業や個人事業主にも次のような影響があります。

  • 税務署からの電子交付通知が約1,000種類へ拡大

  • 電子交付への同意方法が「都度」から「事前一括同意」へ

  • e-Tax上で顧問税理士へ通知書を共有可能

  • 税務署からのお尋ねにWebで回答可能

  • 紙の申告書の一部がAI-OCR対応様式へ変更

  • 申告書等の「控用」を廃止

  • 8桁の整理番号が13桁の「お問い合わせ番号」へ変更

  • 納付書・所得税徴収高計算書のレイアウトも変更

  • e-Taxにはシステム移行に伴う停止期間あり


特に重要なのは、税務署とのやり取りが「郵便・紙」から「e-Tax・データ」へ大きく移行していくことです。


電子交付を利用する企業では、通知の見落としを防ぐため、e-Taxの確認担当者や顧問税理士との共有方法をあらかじめ整理しておくとよいでしょう。



神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!


【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page