インボイスの登録番号はどう確認する?取引先への対応と管理方法を税理士が解説
おはようございます!代表の安田です。
インボイス制度が始まり、事業者にとって重要になっているのが「取引先の登録番号」の確認です。
仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書発行事業者が発行したインボイスを保存する必要があります。そのため、請求書や領収書に記載されている登録番号が正しいか、取引先が適格請求書発行事業者として登録されているかを確認する場面が増えています。
一方で、実務では次のような悩みも少なくありません。
取引先の登録番号は、こちらから聞くべきなのか
請求書に登録番号が書いてあれば、それで足りるのか
登録番号をどのように管理すればよいのか
個人事業主の登録番号も調べられるのか
登録番号が分からない取引先への対応はどうすればよいのか
本日は、インボイス制度における登録番号の確認方法と、取引先への実務対応について解説します。
インボイスの登録番号とは
インボイスの登録番号とは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者に付される番号です。
インボイス制度では、売手が買手に対して一定の事項を記載した請求書等を交付し、買手はそのインボイスを保存することで、原則として仕入税額控除を受けることができます。
登録番号は、インボイスに記載すべき重要な項目の一つです。
登録番号が記載されていない請求書や、登録番号が誤っている請求書では、インボイスとしての要件を満たさない可能性があります。そのため、取引先から受け取った請求書等について、登録番号の有無や正確性を確認することが重要です。
登録番号の収集は法律で義務付けられているのか
取引先の登録番号を事前に一覧表として収集すること自体について、法令上、明確な義務が定められているわけではありません。
しかし、実務上は多くの会社が、仕入税額控除の可否を判断するために、取引先の登録番号を確認・管理しています。
たとえば、次のような目的です。
取引先が適格請求書発行事業者か確認するため
受け取った請求書の登録番号が正しいか確認するため
会計システムや販売管理システムに登録するため
免税事業者との取引を把握するため
消費税申告時の確認作業を効率化するため
つまり、登録番号の収集は、形式的な義務というよりも、インボイス制度に対応するための実務上の管理として行われるものと考えるとよいでしょう。
登録番号はどこで確認できる?
登録番号は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。
このサイトでは、登録番号を入力することで、その番号が有効なものか、登録を受けている事業者の名称などを確認できます。
ただし、注意したいのは、公表サイトは「手元にある登録番号が正しいか」を確認するために利用するのが基本という点です。
取引先の名称だけをもとに、登録番号を直接収集する用途には限界があります。そのため、まずは取引先から登録番号を教えてもらい、その番号が正しいかを公表サイトで確認する、という流れが実務上は分かりやすいでしょう。
法人の登録番号は「T+法人番号」
法人の場合、インボイスの登録番号は、原則として「T+法人番号13桁」で構成されています。
法人番号は、国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。法人名や所在地などをもとに検索すれば、法人番号を確認できるため、法人の取引先については、法人番号をもとに登録番号を推測し、公表サイトで照合することが可能です。
たとえば、法人番号が「1234567890123」であれば、登録番号は「T1234567890123」という形式になります。
ただし、法人番号が分かったとしても、その法人が適格請求書発行事業者として登録されているとは限りません。
そのため、法人番号から登録番号の形式を確認したうえで、必ず適格請求書発行事業者公表サイトで登録の有無や有効性を確認することが大切です。
個人事業主の登録番号は法人番号から確認できない
法人の場合は「T+法人番号」という仕組みがあるため、比較的確認しやすいといえます。
一方、個人事業主の場合は法人番号がありません。そのため、法人のように法人番号公表サイトから登録番号を確認することはできません。
個人事業主の登録番号を確認する場合は、基本的に次のような方法になります。
請求書や領収書に記載された登録番号を確認する
取引先本人に登録番号を確認する
契約書や取引先登録票に記載してもらう
受け取った登録番号を公表サイトで照合する
個人事業主の取引先が多い場合には、登録番号の確認漏れが起きやすいため、取引開始時のチェックリストや取引先マスターの項目に「登録番号」を追加しておくとよいでしょう。
取引先への登録番号確認はどう行なう?
取引先の登録番号を確認する方法としては、主に次のようなものがあります。
取引先にメールで確認する
取引先登録票に記載してもらう
請求書や領収書に記載された番号を確認する
取引先のホームページを確認する
契約更新時に登録番号を確認する
業界団体等が公表している登録番号一覧を参考にする
すべての取引先に一斉に確認依頼を送る方法もありますが、件数が多い場合にはかなりの手間がかかります。
そのため、実務上は、継続取引がある取引先、金額が大きい取引先、消費税の仕入税額控除への影響が大きい取引先から優先して確認する方法が現実的です。
また、すでに請求書に登録番号が記載されている取引先については、その番号を公表サイトで確認し、取引先マスターへ登録しておくとよいでしょう。
業界団体の登録番号台帳を参考にできる場合もある
一部の業界では、取引先の登録番号を確認しやすいように、業界団体が登録番号の一覧や台帳を公表している場合があります。
たとえば、卸売業や小売業など、取引先数が多い業界では、各社が個別に登録番号を確認する負担が大きくなります。そのため、業界団体が会員企業等の登録番号を取りまとめて公表しているケースがあります。
取引先が特定の業界団体に所属している場合には、その団体が登録番号に関する情報を公表していないか確認してみるのも一つの方法です。
ただし、業界団体の台帳を利用する場合でも、最終的には適格請求書発行事業者公表サイトで登録番号の有効性を確認することが望ましいでしょう。
登録取消や失効などがある可能性もあるため、古い情報をそのまま使い続けないよう注意が必要です。
登録番号を確認したら取引先マスターで管理する
登録番号は、一度確認して終わりではありません。
確認した登録番号は、会計ソフト、販売管理システム、仕入先マスター、取引先一覧表などで管理しておくことが重要です。
管理しておきたい項目としては、次のようなものがあります。
取引先名
法人番号
インボイス登録番号
登録番号の確認日
確認方法
適格請求書発行事業者かどうか
免税事業者等の場合の取扱い
登録取消や変更の確認日
担当部署、担当者
特に、取引先名が似ている会社や、グループ会社が複数ある取引先では、登録番号の取り違えに注意が必要です。
請求書の発行主体が親会社なのか、子会社なのか、店舗運営会社なのかによって、登録番号が異なる場合があります。請求書に記載された名称と登録番号が一致しているかを確認しておきましょう。
登録番号がない請求書を受け取った場合の対応
取引先から受け取った請求書に登録番号が記載されていない場合、まずはその取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認する必要があります。
考えられるケースは、主に次のとおりです。
取引先が適格請求書発行事業者だが、記載漏れがある
取引先が免税事業者であり、登録番号を持っていない
請求書の様式がインボイス制度に対応していない
取引先が適格請求書発行事業者であるにもかかわらず登録番号の記載がない場合には、修正した請求書の再発行や、不足事項を補う対応を依頼することが考えられます。
一方、取引先が免税事業者である場合には、原則としてインボイスの交付を受けることはできません。この場合、経過措置の適用や会計処理、取引条件の見直しなどを検討する必要があります。
登録番号確認の実務フロー
登録番号の確認は、次のような流れで進めると整理しやすくなります。
継続取引先や主要取引先をリストアップする
請求書や契約書に登録番号が記載されているか確認する
記載がない場合は取引先へ確認する
法人の場合は法人番号公表サイトも活用する
取得した登録番号を公表サイトで照合する
確認結果を取引先マスターに登録する
請求書受領時に登録番号と取引先名を確認する
定期的に登録状況を見直す
このような流れを社内でルール化しておくことで、経理担当者ごとの判断のばらつきを防ぐことができます。
登録番号確認で注意したいポイント
登録番号を確認する際には、単に番号の有無だけを見るのではなく、次の点にも注意しましょう。
番号の桁数や形式が正しいか
登録番号と取引先名が一致しているか
請求書の発行者と実際の取引先が一致しているか
登録年月日や失効日がないか・支店名や店舗名だけで判断していないか
個人事業主の場合、屋号と登録情報の関係を確認しているか
会計ソフトの取引先マスターが最新か
インボイス制度では、登録番号が記載されていれば自動的に安心というわけではありません。登録番号が正しいか、有効な登録番号か、請求書の発行者と対応しているかを確認することが大切です。
まとめ
インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、適格請求書発行事業者が発行したインボイスの保存が重要になります。そのため、取引先の登録番号を確認し、適切に管理することは、経理実務において欠かせない作業です。
登録番号の収集自体が法令で明確に義務付けられているわけではありませんが、仕入税額控除の判断や請求書確認をスムーズに行うためには、実務上、取引先マスター等で管理しておくことが望ましいでしょう。
法人の登録番号は「T+法人番号13桁」で構成されるため、法人番号公表サイトと適格請求書発行事業者公表サイトを活用することで確認しやすくなります。一方、個人事業主の場合は法人番号から確認できないため、請求書への記載や本人への確認が必要です。
また、業界団体が公表する登録番号台帳を参考にできる場合もありますが、情報の更新状況には注意し、必要に応じて公表サイトで照合しましょう。
インボイス対応では、登録番号を集めることそのものが目的ではありません。大切なのは、取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認し、仕入税額控除に必要な書類を適切に保存・管理することです。
登録番号の確認方法や取引先対応に不安がある場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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