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SCS国際と如水監査法人が合併へ|監査先10社・社員16人の新法人と報酬依存度15%ルールを解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
11 分前
読了時間: 14分

おはようございます!代表の安田です。


2026年10月13日、SCS国際有限責任監査法人と如水監査法人が合併することを公表しました。


合併予定日は2026年12月1日で、SCS国際有限責任監査法人を存続法人、如水監査法人を消滅法人とする吸収合併です。


合併後の名称は、「有限責任SCS如水監査法人」となる予定です。


両監査法人はそれぞれ上場会社5社の監査を担当しており、合併後は上場会社10社の監査を担当する、社員16人、売上高約5億円の監査法人となる見込みです。


さらに、3年後には上場会社の監査先20社、売上高10億円を目指す方針が示されています。

今回の合併で注目したいのは、単なる監査法人の規模拡大ではありません。


近年、日本公認会計士協会(JICPA)は、上場会社の監査を担う監査法人について、人的体制の充実や監査品質の向上を重視しています。


また、SCS国際有限責任監査法人については、特定の監査先に対する報酬依存度が15%を超えていたことも注目されていました。


ただし、同法人は合併前の時点で報酬依存度15%以下となっており、今回の合併はその問題を解消するためのものではないと説明しています。


本日は、SCS国際有限責任監査法人と如水監査法人の合併概要、監査法人の規模、報酬依存度15%ルール、監査業界の再編が進む背景について、公認会計士が解説します。


SCS国際有限責任監査法人と如水監査法人の合併概要

今回の合併は、SCS国際有限責任監査法人を存続法人とする吸収合併です。

2026年10月13日に合併が公表され、同年12月1日付で新たな名称となる予定です。


<合併の概要>

項目

内容

合併公表日

2026年10月13日

合併予定日

2026年12月1日

存続法人

SCS国際有限責任監査法人

消滅法人

如水監査法人

合併後の名称

有限責任SCS如水監査法人

合併方式

吸収合併

合併後の上場会社監査数

10社

合併後の社員数

16人

合併後の売上高規模

約5億円

3年後の目標

上場会社監査20社、売上高10億円

今回の合併では、両法人が持つ異なる強みを組み合わせることが重視されています。


SCS国際有限責任監査法人は、日本発のグローバルネットワークを有しており、そのネットワークには約500人が在籍しています。


一方、如水監査法人は九州の企業との関係に強みを持っています。

両法人の特徴を生かすことで、海外事業を展開する企業や、今後海外進出を予定する地方企業への監査サービスを強化する方針です。


合併前の監査法人の規模を比較

今回の資料では、合併前の両監査法人の規模について、上場会社監査数、社員数、売上高が紹介されています。


<SCS国際有限責任監査法人と如水監査法人の比較>

項目

SCS国際

如水

合併後

上場会社監査数

5社

5社

10社

社員数

7人

9人

16人

2025年度売上高

約2.5億円

約2.3億円

約4.8億円

特徴

グローバルネットワーク

九州の企業との関係

両法人の強みを統合

※合併前の数値は2026年10月26日時点の資料に基づきます。合併後の売上高約4.8億円は両法人の2025年度売上高の単純合算であり、合併後の確定売上高ではありません。


合併後の規模は、上場会社監査数・社員数の両面で、中小規模の監査法人の中でも比較的大きなものとなる見込みです。


ここで注意したいのは、SCSのグローバルネットワークに在籍する約500人と、合併後の監査法人の社員16人は異なる数字であるという点です。


前者はグローバルネットワークの規模、後者は日本の監査法人の社員数を表しています。


なぜ監査法人の合併が進んでいるのか?

今回の合併の背景には、監査法人の監査品質を確保するための体制強化という課題があります。


監査法人では、監査業務を担当する公認会計士の人数だけでなく、品質管理、監査業務の審査、専門的な会計・監査上の判断を支援する体制などが重要です。


また、上場会社の監査では、会計処理の複雑化、海外子会社への対応、ITシステムを利用した取引など、専門的な知識が求められる場面もあります。


小規模な監査法人がこれらに対応する場合、限られた人員で監査業務と品質管理業務を担う必要があります。


そのため、監査法人の合併や経営統合によって人材や専門知識を集約することは、監査品質を高めるための一つの選択肢となります。


ただし、監査法人の規模が大きくなったことだけで、監査品質の向上が保証されるわけではありません。


人員の増加に加え、品質管理体制を適切に整備し、実際に機能させることが重要です。


JICPAは上場会社監査の人的体制要件の引上げを検討

2026年1月、日本公認会計士協会(JICPA)は、上場会社の監査に対する信頼性の向上に向けた取組方針を公表しました。


この背景には、AI開発企業オルツの会計不正問題などがあります。

JICPAは、上場会社の監査を行う監査法人等について、モニタリングの強化や、監査を担う人的体制の要件の見直しなどを進める方針を示しています。


特に注目されるのが、上場会社の監査を行う監査法人の社員数など、人的体制に関する要件を引き上げる方向で検討が進められていることです。


<JICPAが重視する主な論点>

論点

主な内容

社員数

上場会社監査に必要な人的体制の確保

監査経験

監査責任者等の知識・経験

品質管理

品質管理体制の整備・運用

モニタリング

監査業務の実施状況等の確認

専門性

複雑な事業や新しい取引に対応する能力

現時点で、検討中の社員数要件などがすべて確定しているわけではありません。

しかし、こうした監査品質向上に向けた取組が、中小規模監査法人による合併・経営統合の検討を促す要因の一つになっていると考えられます。


2026年は監査法人の合併・経営統合が相次ぐ

今回のSCS国際有限責任監査法人と如水監査法人の合併は、2026年に入ってから公表された監査法人の主な再編案件の一つです。


最近では次のような動きもあります。

監査法人

再編の内容

仰星監査法人・三優監査法人

合併方針を公表

監査法人アヴァンティア・えひめ有限責任監査法人

経営統合

SCS国際有限責任監査法人・如水監査法人

2026年12月1日付の合併を公表

このように、監査法人の規模拡大や経営統合を目指す動きがみられます。


もっとも、各案件の目的や統合形態は同じではありません。

今回のSCS国際と如水の合併については、監査品質の向上に必要な規模の確保に加え、両法人の強みを組み合わせることが重視されています。


SCS国際の「監査報酬依存度15%ルール」とは?

今回の合併では、SCS国際有限責任監査法人の報酬依存度も注目されています。


報酬依存度とは、簡単にいえば、監査法人等の収入が特定の監査先にどの程度依存しているかを示す割合です。

例えば、ある監査法人の収入の大部分が特定の上場会社から得られている場合、その上場会社との関係が監査人の独立性に影響するおそれがあります。


監査法人は、監査先の経営者から独立した立場で財務諸表を監査することが求められます。

そのため、特定の監査先への経済的な依存が過度に高まることは、監査人の独立性を確保するうえで重要な問題になります。


報酬依存度15%を超えるとどうなる?

JICPAの倫理規則では、社会的影響度の高い事業体(PIE)の監査において、特定の監査先への報酬依存度が一定の水準を超える場合に関する規定が設けられています。


2022年7月の倫理規則改正では、主に次のような取扱いが導入されました。


<報酬依存度15%ルールの概要>

状況

主な取扱い

報酬依存度が15%を超える

独立性への影響を適切に評価する必要がある

2年連続で15%を超える

所定の開示や独立性確保のための対応が必要

5年連続で15%を超える

原則として監査人の辞任に関する規定が適用される

※上表は制度の概要です。具体的な適用には倫理規則上の要件があり、例外的な取扱いも定められています。


このルールの目的は、特定の監査先への報酬依存が長期間続くことによって、監査人の独立性が損なわれるリスクを抑えることです。


報酬依存度15%の計算例

例えば、ある監査法人について、次のような状況を仮定します。

  • 監査法人の年間総収入:4億円

  • 特定の監査先からの年間報酬:7,200万円


この場合、報酬依存度は次のようになります。

7,200万円 ÷ 4億円 × 100 = 18%

項目

金額

監査法人の年間総収入

4億円

特定の監査先からの報酬

7,200万円

報酬依存度

18%

15%基準との比較

15%を超過

※上記は説明のための仮定例であり、SCS国際または如水監査法人の実際の数値ではありません。実際の報酬依存度の計算では、倫理規則等に従って報酬の範囲や計算対象を判断する必要があります。


このような状態が継続すると、監査人の独立性の確保という観点から、追加的な対応が必要になる場合があります。


SCS国際は合併前に15%ルールを解消済み

今回の資料によると、SCS国際有限責任監査法人では、以前、特定の監査先からの報酬依存度が15%を超えていました。


しかし、同法人は取材に対して、最新の状況ではSCS単独で報酬依存度が15%以下となっていると説明しています。


そのため、今回の合併は、報酬依存度15%の問題を解消するために行ったものではないとのことです。


ここは、今回の合併を理解するうえで重要な点です。

監査法人の合併によって収入規模が大きくなれば、特定の監査先への報酬依存度が低下する可能性はあります。


しかし、SCS国際については、合併前に単独で15%以下となっていたと説明されています。


したがって、今回の合併を、15%ルールへの抵触を回避するための合併と捉えることは適切ではありません。


合併で監査品質はどう変わる?

監査法人の合併によって、監査品質にどのような影響があるのでしょうか。


一般的に、監査法人の規模拡大には次のようなメリットが考えられます。

項目

合併によって期待される効果

監査人員

人的リソースの拡充

専門知識

各監査法人が保有する知見の共有

品質管理

品質管理業務に必要な人員の確保

審査体制

監査業務の審査体制の充実

海外対応

国際的な監査ネットワーク等の活用

人材育成

研修や実務経験の機会の拡充

ただし、これらは合併によって期待される一般的な効果であり、実際に監査品質が向上したことを示すものではありません。


監査法人が合併した場合には、監査手法、品質管理に関する社内規程、人事・評価制度などの統合も重要になります。


例えば、合併前の両法人で監査の進め方や品質管理の運用方法が異なる場合には、新法人として統一したルールを整備する必要があります。


また、ルールを整備するだけでなく、それが現場で適切に運用されていることが重要です。


九州の企業との関係とグローバルネットワークを組み合わせる

今回の合併では、両監査法人の強みが異なることも特徴です。


SCS国際有限責任監査法人は、約500人が在籍する日本発のグローバルネットワークを有しています。一方、如水監査法人は、九州の企業との関係に強みを持っています。


両法人は、こうした強みを組み合わせることで、地方を拠点としながら海外展開を行っている企業や、今後海外進出を予定している企業の監査を受嘱していく方針です。


海外子会社を保有する企業の監査では、日本国内の財務諸表だけでなく、海外子会社の財務情報や、連結決算の作成・監査への対応が必要となる場合があります。


また、海外の監査人とのコミュニケーションなど、国際的な監査対応が重要になるケースもあります。


今回の合併では、地方企業とのネットワークと国際的な監査対応力を組み合わせることが、事業展開上の重要な狙いと考えられます。


3年後には上場監査20社・売上高10億円を目指す

合併後の経営目標として、両法人は3年後に規模を約2倍へ拡大する方針を示しています。

具体的には、上場会社の監査数を20社、売上高を10億円とすることを目指しています。


<合併後の規模と3年後の目標>

項目

合併時の規模

3年後の目標

上場会社監査数

10社

20社

売上高

約5億円

10億円

社員数

16人

ー

上場会社監査数については10社から20社へ、売上高については約5億円から10億円へ拡大する計画です。


ただし、いずれも将来の目標であり、達成が確定しているわけではありません。

また、社員数について3年後の具体的な数値目標は示されていません。


合併後3年間は追加の合併を行なわない方針

今回の合併では、今後の成長方法についても方針が示されています。

SCS国際の代表者は、合併後3年間について、さらなる監査法人の合併は考えていないと説明しています。


規模拡大については、新たな合併によるものではなく、新規採用、人材育成、社員への昇格などを通じて進める方針です。


この点は、監査法人の成長戦略を考えるうえで注目されます。

監査法人の規模を大きくする方法には、ほかの監査法人との合併のほか、監査人員の採用や育成による成長があります。


今回のSCS国際と如水の合併では、まず両法人の組織統合を進めたうえで、人的体制を充実させながら上場会社の監査受嘱を増やす方針といえます。


上場会社にとって監査法人の合併はどのような意味がある?

監査法人の合併は、監査法人側だけでなく、監査を受ける上場会社にも関係します。


例えば、監査法人が合併して名称や組織体制が変わる場合、被監査会社では必要に応じて、監査契約、監査人の情報、社内手続、適時開示の要否などを確認する必要があります。


また、新たに監査法人を選定する上場会社にとっては、監査法人の規模や専門性、品質管理体制が重要な判断材料になります。


<上場会社が監査法人を選ぶ際の確認事項>

項目

確認したい内容

監査品質

品質管理体制が適切に整備・運用されているか

監査人員

必要な人員を確保できるか

専門性

自社の事業や会計上の論点に対応できるか

海外対応

海外子会社・連結監査に対応できるか

独立性

報酬依存度を含め、独立性に問題がないか

監査報酬

監査内容に照らして適切な報酬水準か

継続性

安定的に監査を受けられる体制があるか

監査法人の選定では、監査報酬の金額だけでなく、企業の事業規模や事業内容に応じた監査を継続的に実施できるかが重要になります。


特に上場準備企業では、上場後も安定的に監査を受けられる体制があるかという点も検討する必要があります。


監査法人の合併が今後さらに進む可能性

今回の合併を含め、2026年には複数の監査法人再編が公表されています。


今後、JICPAによる人的体制の要件見直しが具体化した場合には、監査法人によって対応が必要となる可能性があります。


特に、規模の小さい監査法人では、必要な人員や専門性を確保するために、採用・育成、外部専門家の活用、ほかの監査法人との連携や合併など、さまざまな選択肢を検討することが考えられます。


一方、監査法人の合併には、組織文化の違いや品質管理体制の統一など、実務上の課題もあります。


そのため、監査法人の再編が進むかどうかだけでなく、再編によって実際の監査品質がどのように改善するかを継続的に確認することが重要です。


今回の合併のポイントを一表で整理

論点

内容

合併する監査法人

SCS国際有限責任監査法人・如水監査法人

合併公表日

2026年10月13日

合併予定日

2026年12月1日

合併後の名称

有限責任SCS如水監査法人

存続法人

SCS国際有限責任監査法人

上場会社監査数

合併後10社

社員数

合併後16人

売上高

約5億円規模

3年後の目標

上場会社監査20社、売上高10億円

SCSの報酬依存度

合併前に15%以下へ低下

合併の主な狙い

監査品質の向上、強みの相互補完、規模拡大

今後の成長方針

採用・人材育成・社員昇格等

追加の合併

今後3年間は予定しない方針

まとめ

2026年10月13日、SCS国際有限責任監査法人と如水監査法人が、同年12月1日付で合併することを公表しました。


合併後は「有限責任SCS如水監査法人」となり、上場会社10社の監査を担当する、社員16人、売上高約5億円規模の監査法人となる見込みです。


今回の合併について、特に重要なポイントは次のとおりです。

  • SCS国際有限責任監査法人を存続法人とする吸収合併

  • 合併予定日は2026年12月1日

  • 合併後の名称は有限責任SCS如水監査法人

  • 上場会社監査数は10社、社員数は16人

  • 売上高は約5億円規模

  • SCSのグローバルネットワークと如水の九州における強みを組み合わせる

  • 3年後には上場会社監査20社、売上高10億円を目指す

  • SCSの報酬依存度15%超の問題は合併前に解消済み

  • 合併後3年間はさらなる合併を考えていない

  • 今後は新規採用・人材育成等による成長を目指す


今回の合併の背景には、上場会社監査の品質確保に必要な体制を強化するという課題があります。


JICPAでは、上場会社の監査を担当する監査法人について、人的体制の要件の引上げやモニタリングの強化などを検討しています。


そのため、今後も監査法人の規模や品質管理体制が、上場会社の監査人選定において重要になると考えられます。


また、監査法人の経営においては、特定の監査先への報酬依存度を抑え、監査人としての独立性を確保することも重要です。


ただし、今回のSCS国際と如水の合併については、SCS国際が単独で報酬依存度15%以下となっており、報酬依存度の問題が合併の要因ではないと説明されています。


今回の合併が、監査人員の確保や専門性の向上に加え、実際の監査品質の向上につながるか、今後の動向が注目されます。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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