top of page

【2027年から】源泉所得税の納付書が郵送停止に!対象法人・スケジュール・e-Taxへの切替方法を解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
5 時間前
読了時間: 14分

こんにちは!代表の安田です。


国税庁は、2027年(令和9年)11月から、源泉所得税の納付に使用する「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の用紙について、税務署からの送付を段階的に取りやめる方針を明らかにしました。


これまで多くの企業では、毎年11月頃になると、翌年分の源泉所得税の納付書が税務署から郵送されていました。


しかし、2027年11月以降は、一部の法人から順次、この納付書が届かなくなります。

さらに、2029年(令和11年)11月からは、法人税や消費税をキャッシュレス納付している法人についても、源泉所得税の納付書の送付が停止される予定です。


そのため、現在は紙の納付書を使って源泉所得税を納付している企業でも、今後はe-Taxやダイレクト納付への対応を検討する必要があります。


ただし、今回の変更は、あくまで税務署からの納付書の送付を停止するというものです。

源泉所得税の納付義務がなくなるわけでも、紙の納付書による納付が全面的に禁止されるわけでもありません。


本日は、源泉所得税の納付書の送付停止について、対象法人と時期、e-Taxによる納付方法、紙の納付書を利用したい場合の取扱いなどを解説します。


源泉所得税の納付書はいつから郵送されなくなる?

国税庁は、税務行政のデジタル化を進める取組の一環として、源泉所得税の納付書の送付を段階的に取りやめます。


今回の変更では、すべての企業について同じ時期に郵送を停止するわけではありません。

法人の区分などによって、送付停止の時期が異なります。


<源泉所得税の納付書の送付停止スケジュール>

送付停止時期

対象となる源泉徴収義務者

送付されなくなる様式

2027年11月

特官所掌法人・地方公共団体

2028年分

2028年11月

金融機関

2029年分

2029年11月

法人税や消費税をキャッシュレス納付している法人

2030年分

※2026年10月時点で公表されている予定です。


最初の2027年11月は、国税局の調査部特別国税調査官が所掌する法人や地方公共団体などが対象です。


その翌年には金融機関へ対象が広がり、2029年11月からは、法人税や消費税についてキャッシュレス納付を利用している法人も対象となる予定です。


なお、2029年11月にすべての法人への納付書送付が一律に終了する、と公表されているわけではありません。あくまで現時点で示されている対象区分を確認する必要があります。


中小企業は2029年11月からの変更に注意

今回の送付停止で、多くの中小企業に影響する可能性があるのが、2029年11月からの取扱いです。


対象となるのは、法人税や消費税をキャッシュレス納付で納付している法人です。


例えば、次のような会社を考えます。

  • 法人税はダイレクト納付を利用

  • 消費税もキャッシュレス納付を利用

  • しかし、給与の源泉所得税は紙の納付書で納付


このような会社では、法人税や消費税の納付方法によって、源泉所得税の納付書の送付停止の対象となる可能性があります。


<税目ごとに納付方法が異なる場合>

税目

現在の納付方法

今後の対応

法人税

ダイレクト納付

継続利用

消費税

キャッシュレス納付

継続利用

源泉所得税

紙の納付書

電子納付への移行を検討

重要なのは、源泉所得税自体をキャッシュレス納付しているかどうかだけで、送付停止の対象を判断するわけではないという点です。


法人税や消費税の納付状況も確認しておく必要があります。

特に税理士事務所に法人税や消費税の電子申告・納付を依頼している企業では、自社の源泉所得税の納付方法についても確認しておくとよいでしょう。


2026年11月には従来どおり納付書が送付される?

2027年から送付停止が始まると聞くと、2026年の年末調整時期から納付書が届かなくなるのではないかと心配する方もいるでしょう。


しかし、2026年11月については、原則として翌2027年分の納付書が税務署から送付される予定です。


ただし、すでに納付書の送付を希望していない源泉徴収義務者については、原則として送付されません。


<納付書の送付時期を整理>

送付時期

主な取扱い

2026年11月

原則として2027年分を送付

2027年11月

一部法人等について2028年分から送付停止

2028年11月

金融機関について2029年分から送付停止

2029年11月

法人税・消費税をキャッシュレス納付する法人について2030年分から送付停止予定

なお、2026年11月に納付書が届いたとしても、必ずその納付書を使用する必要はありません。


納付書が手元にある場合でも、e-Taxを利用したキャッシュレス納付は可能です。

そのため、送付停止が始まる前から、電子納付に切り替えることができます。


そもそも所得税徴収高計算書とは?

所得税徴収高計算書とは、会社などの源泉徴収義務者が、給与や一定の報酬などから源泉徴収した所得税等を納付する際に使用する書類です。


例えば、会社が従業員に給与を支払う場合、一定の所得税等を源泉徴収します。

その源泉徴収した税額を国に納付する際、給与の支給人員や支給額、源泉徴収税額などを記載するのが所得税徴収高計算書です。


主な記載項目には、次のようなものがあります。

記載項目

内容

納期等の区分

給与等を支払った年月

給料・手当等

支給人員、支給額、税額

賞与

支給人員、支給額、税額

退職手当等

支給人員、支給額、税額

税理士等の報酬

所定の報酬に関する人員、支給額、税額

合計額

納付する源泉所得税等の合計額

今回の送付停止は、主にこの「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の用紙に関するものです。


年末調整で従業員へ交付する「給与所得の源泉徴収票」とは、別の書類です。

源泉徴収票の作成・交付義務が今回の送付停止によってなくなるわけではありません。


源泉所得税の納付期限は変わらない

納付書の送付方法が変わっても、源泉所得税の納付期限は原則として変わりません。


通常、給与などから源泉徴収した所得税等は、給与などを支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。


例えば、2027年5月に支払った給与から源泉徴収した所得税等は、原則として2027年6月10日までに納付します。


ただし、一定の要件を満たす源泉徴収義務者については、納期の特例を利用できます。


<源泉所得税の納付期限>

区分

納付期限

原則

給与等を支払った月の翌月10日

納期の特例・1月~6月分

7月10日

納期の特例・7月~12月分

翌年1月20日

※納期限が土日祝日等に当たる場合は、原則として翌開庁日となります。


納期の特例は、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、税務署への申請によって利用できる制度です。


ただし、すべての源泉所得税が納期の特例の対象になるわけではありません。給与・退職金や税理士等の一定の報酬などが対象です。


今回の納付書の送付停止によって、納期の特例が廃止されるわけではありません。


納付書が届かなくなったらe-Taxでどう納付する?

源泉所得税をキャッシュレス納付する場合、基本的にはe-Taxで所得税徴収高計算書を作成・送信した後、納付手続を行ないます。


通常は、次のような流れです。


<e-Taxによる納付の基本的な流れ>

手順

内容

①

e-Taxにログインする

②

所得税徴収高計算書の種類を選択する

③

給与支給額や源泉徴収税額等を入力する

④

所得税徴収高計算書データを送信する

⑤

受信通知等を確認する

⑥

ダイレクト納付などで納付手続を行う

⑦

納付完了を確認する

e-Taxでは、通常の毎月納付用の「一般分」と、納期の特例の承認を受けている場合に使用する「納期特例分」の両方を作成できます。


また、源泉所得税の徴収高計算書データの送信では、電子署名は不要とされています。

なお、徴収高計算書を送信することと、税金の納付が完了することは別の手続です。

データの送信後、実際に納付できているかを確認する必要があります。


ダイレクト納付なら口座引落しで納付できる

源泉所得税のキャッシュレス納付では、ダイレクト納付が便利です。


ダイレクト納付とは、e-Taxによって申告書等を送信した後、あらかじめ登録した預貯金口座から口座引落しによって国税を納付する方法です。


利用に当たっては、事前にe-Taxの利用開始手続と、ダイレクト納付利用届出書の提出などが必要です。


<ダイレクト納付の主な特徴>

項目

内容

納付方法

登録した預貯金口座から引落し

税務署・銀行への訪問

原則不要

納付日時

即時または所定の期日を指定

納付手数料

不要

事前手続

必要

納付完了の確認

e-Taxのメッセージボックス等

領収証書

発行されない

特に毎月源泉所得税を納付する企業では、納付書の記載や金融機関への持参といった事務を減らすことができます。


ただし、ダイレクト納付では、口座残高が不足していると引落しができません。

納付手続を行った後も、納付完了通知を確認することが重要です。


また、法人がダイレクト納付を利用する場合、原則として所定の届出書を書面で提出する必要があります。


利用開始までの手続を考慮し、余裕を持って準備するとよいでしょう。


インターネットバンキングなどの納付方法もある

源泉所得税のキャッシュレス納付には、ダイレクト納付以外にも複数の方法があります。

納付方法

主な特徴

ダイレクト納付

登録口座から引落し。手数料不要

インターネットバンキング等

対応する金融機関のサービスから納付

クレジットカード納付

カード決済による納付。決済手数料あり

スマホアプリ納付

対象となる納付金額等の条件あり

企業の経理実務では、継続的な納付が発生することから、ダイレクト納付やインターネットバンキング等による納付が選択肢となります。


なお、クレジットカード納付やスマホアプリ納付については、所定の手数料や利用限度額などの条件があるため、実際の利用時に確認する必要があります。


紙の納付書は完全になくなるの?

今回の変更について、特に誤解しやすいのがこの点です。

結論として、納付書の郵送が停止された後でも、紙の納付書による納付が直ちにできなくなるわけではありません。


引き続き紙の納付書を利用したい場合には、最寄りの税務署に相談し、納付書の用紙を入手することが可能とされています。


<郵送停止後の対応>

状況

対応

e-Tax・ダイレクト納付を利用する

紙の納付書は不要

インターネットバンキング等を利用する

キャッシュレス納付に対応

紙の納付書を引き続き使用したい

税務署に相談して用紙を入手

納付書が届かない

納付義務・納期限は変わらない

ただし、納付書が届かないからといって、過去の納付書をコピーして使用することは避ける必要があります。


紙の納付書を使用する場合には、税務署が交付する所定の用紙を利用しましょう。


すでにキャッシュレス納付している会社はどうなる?

すでに源泉所得税についてキャッシュレス納付を利用している企業では、所得税徴収高計算書をe-Taxで送信する際に、用紙の送付を希望しない設定をしている場合があります。


このような源泉徴収義務者については、今回の段階的な送付停止より前から、原則として納付書の用紙が送付されていません。


したがって、今回の変更によって初めて納付書が届かなくなる企業だけでなく、すでに納付書を使用していない企業もあるということです。


特に税理士事務所を通じてe-Taxを利用している法人では、源泉所得税についても電子納付を行なっているか、確認しておくとよいでしょう。


納付税額が0円の場合も徴収高計算書は必要?

年末調整による還付税額が大きい場合など、源泉所得税の納付税額が0円となることがあります。


この場合、実際の納付は発生しませんが、所得税徴収高計算書の提出は必要です。

e-Taxでも、納付税額が0円の所得税徴収高計算書データを送信できます。


したがって、「納付する税額がないから、何も手続をしなくてよい」というわけではありません。


特に、年末調整を行なった後の12月分や、納期の特例を利用している企業では、納付税額が0円となる場合の取扱いにも注意が必要です。


経理・給与担当者が確認しておきたいチェックリスト

今後、源泉所得税の納付書の送付停止に備えて、企業の経理担当者は次の事項を確認しておくとよいでしょう。

確認項目

内容

送付停止時期

自社がどの対象区分に該当するか

法人税の納付方法

キャッシュレス納付を利用しているか

消費税の納付方法

キャッシュレス納付を利用しているか

源泉所得税の納付方法

紙の納付書か、電子納付か

e-Tax

利用者識別番号などを管理しているか

ダイレクト納付

利用届出書の提出が必要か

納期の特例

一般分・納期特例分を正しく区分しているか

納付期限

毎月納付・納期特例の期限を管理しているか

納付完了

引落し結果などを確認できるか

税理士との役割分担

データ送信と納付操作の担当者を決めているか

特に税理士へ源泉所得税の徴収高計算書の作成を依頼している場合には、「税理士がe-Taxでデータを送信するのか」「会社側がダイレクト納付を実行するのか」といった役割分担を明確にしておくことが重要です。


電子申告やキャッシュレス納付では、データの送信と納付手続が別々になるため、担当者間の認識違いによる納付漏れを防ぐ必要があります。


よくある質問

Q. 2027年11月からすべての法人に源泉所得税の納付書が届かなくなりますか?

A. いいえ。2027年11月から送付停止となるのは、特官所掌法人や地方公共団体などです。

その後、2028年11月には金融機関、2029年11月には法人税や消費税をキャッシュレス納付している法人へ対象が広がる予定です。


Q. 中小企業の納付書はいつから届かなくなりますか?

A. 中小企業であっても、法人税や消費税をキャッシュレス納付している場合には、2029年11月から送付停止の対象となる可能性があります。自社の納付方法を確認することが重要です。


Q. 源泉所得税の納付書が届かなくなったら、現金納付はできませんか?

A. いいえ。最寄りの税務署に相談して所定の用紙を入手すれば、引き続き紙の納付書を使用した納付が可能です。


Q. キャッシュレス納付は義務になるのですか?

A. 今回公表されたのは、納付書の送付停止に関する取扱いです。キャッシュレス納付への移行が推奨されていますが、今回の変更だけで、すべての法人についてキャッシュレス納付が一律に義務化されるわけではありません。


Q. e-Taxで徴収高計算書を送信すれば納付も完了しますか?

A. いいえ。原則として徴収高計算書データの送信後、ダイレクト納付などによる納付手続を行なう必要があります。


Q. 源泉所得税の納期の特例も廃止されますか?

A. いいえ。納期の特例は引き続き利用できます。所定の要件と承認を満たす場合には、源泉所得税等を年2回にまとめて納付することができます。


Q. 2026年11月に送られてくる2027年分の納付書は使えますか?

A. はい。従来どおり送付された納付書を使用できます。また、納付書が届いていても、e-Taxによるキャッシュレス納付を選択することができます。


まとめ

国税庁は、2027年11月から「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の用紙の送付を段階的に停止する予定です。


今回の重要なポイントは次のとおりです。

  • 2027年11月から特官所掌法人・地方公共団体への送付を停止

  • 2028年11月から金融機関への送付を停止

  • 2029年11月から法人税や消費税をキャッシュレス納付している法人への送付を停止

  • 2026年11月は原則として2027年分の納付書が送付される

  • 納付書の送付停止後も、源泉所得税の納付義務・納期限は変わらない

  • e-Taxで徴収高計算書を送信し、ダイレクト納付などで納付できる

  • 紙の納付書を希望する場合は税務署で入手できる

  • キャッシュレス納付への移行は推奨されるが、今回の変更だけで一律に義務化されるわけではない


今回の変更は、源泉所得税の納付事務のデジタル化を進めるための取組です。

特に注意したいのは、法人税や消費税をすでにキャッシュレス納付している企業でも、源泉所得税については紙の納付書を使用している場合があるという点です。


今後は、税目ごとの納付方法を確認し、必要に応じてe-Taxやダイレクト納付への移行を検討するとよいでしょう。


源泉所得税は毎月または年2回など、継続的に納付手続が発生する税金です。

納付書の送付停止を機に電子納付へ移行することで、経理・給与担当者の事務負担の軽減にもつながると考えられます。



神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!


【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page