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カタログやホームページも総額表示が必要?税込価格表示の対象と対応方法を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 8 時間前
  • 読了時間: 11分

こんにちは!代表の安田です。


商品やサービスを一般消費者向けに販売している事業者は、価格表示に注意が必要です。

消費税では、消費者に対して価格をあらかじめ表示する場合、原則として税込価格、いわゆる「総額表示」を行う必要があります。


店頭の値札や棚札だけでなく、チラシ、カタログ、ホームページ、ECサイト、メニュー表なども対象になります。


そのため、税抜価格だけを掲載しているカタログやWebページをそのまま使い続けている場合、総額表示の対応が必要になることがあります。


本日は、消費税の総額表示義務の基本、対象となる媒体、カタログを刷り直す必要があるのか、電子カタログやホームページの対応、実務上の注意点について解説します。


総額表示とは

総額表示とは、消費者に対して商品やサービスの価格を表示する場合に、消費税額と地方消費税額を含めた税込価格を表示することをいいます。


国税庁は、総額表示義務について、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額を含めた価格を表示することを義務付けるものと説明しています。価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格までは対象になりません。


総額表示の目的は、消費者が商品やサービスを選ぶ段階で、実際に支払う金額を一目で分かるようにすることです。


つまり、「レジで消費税を足せばよい」という話ではなく、値札や広告を見た時点で、消費者が支払総額を把握できる表示にしておく必要があります。


令和3年4月1日から総額表示が再開

総額表示義務自体は、平成16年4月から実施されている制度です。


ただし、消費税率の引上げに伴う事業者の負担に配慮し、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間は、税込価格と誤認されないための措置を講じていれば、税抜価格のみの表示も認められていました。


しかし、この特例は令和3年3月31日で終了し、令和3年4月1日から総額表示が再び必要になっています。


財務省の資料でも、令和3年4月1日以後は、店頭の値札・棚札だけでなく、チラシ、カタログ、広告など、どのような表示媒体でも税込価格の表示が必要とされています。


総額表示の対象になる媒体

総額表示の対象になるのは、事業者が消費者に対して、あらかじめ価格を表示する場合です。表示媒体の種類は問いません。たとえば、次のようなものが対象になります。

  • 店頭の値札

  • 棚札

  • 店頭POP

  • ポスター

  • 看板

  • チラシ

  • カタログ

  • パンフレット

  • メニュー表

  • ダイレクトメール

  • 新聞広告・雑誌広告

  • ホームページ

  • SNS

  • ECサイト

  • 電子カタログ


政府広報でも、総額表示の対象として、値札、店頭POP、ポスター、看板、チラシ、カタログ、メニュー表、ダイレクトメール、新聞広告、雑誌広告、ホームページ、SNS、ECサイトなどが例示されています。


つまり、店頭の値札だけ直せばよいわけではありません。

消費者が購入前に見る価格表示であれば、紙媒体でもWeb媒体でも、総額表示の対象になる可能性があります。


カタログも総額表示の対象

添付資料のテーマであるカタログについても、総額表示の対象になります。

商品カタログに価格を掲載し、それを消費者向けに配布・店頭設置している場合、その価格表示は総額表示義務の対象です。

たとえば、次のようなカタログです。

  • 店頭に置いている商品カタログ

  • 消費者に配布する商品パンフレット

  • 通信販売用カタログ

  • 展示会で一般消費者に配るカタログ

  • 住宅設備・家具・美容サービスなどの価格表付きカタログ

  • Web上に掲載する電子カタログ


税抜価格だけを記載している場合には、消費者が税込価格を一目で分かるように対応する必要があります。


既存カタログは必ず刷り直さなければならないのか

総額表示への対応で悩ましいのが、すでに印刷済みのカタログです。


税抜価格だけが記載されたカタログが大量に残っている場合、「全部刷り直さなければならないのか」と心配になる事業者も多いでしょう。


この点について、値段の表記を変えるためだけに、店頭に並んでいるカタログを必ずしも刷り直す必要はなく、さまざまな形での対応が認められるとされています。


具体的には、税抜価格だけが表示されたカタログであっても、税込価格を表示したカード等を挟み込むなどの方法により、税込価格が一目で分かるようにされていれば、カタログそのものを再印刷する必要はないと整理されています。


たとえば、次のような対応が考えられます。

・税込価格一覧表をカタログに挟み込む
・税込価格を記載した訂正シールを貼る
・価格改定表を別紙で添付する
・店頭POPで税込価格を明示する
・カタログ近くに税込価格表を設置する
・対象商品の税込価格カードを商品ごとに添付する

重要なのは、消費者が商品価格を確認するときに、税込価格を一目で分かる状態にしておくことです。


一時対応後は早めに税込価格表示へ切り替える

既存カタログについては、カードの挟み込みや価格表の添付などで対応できる場合があります。ただし、それはあくまで実務上の対応策です。

たとえば、次回印刷分からは次のように修正しておくとよいでしょう。

旧表示:10,000円+税
新表示:11,000円(税込)

または、

11,000円(税抜価格10,000円)

のように、税込価格を明瞭に表示したうえで税抜価格を併記する方法もあります。


電子カタログやホームページは早めの修正が必要

紙のカタログは、印刷済み在庫との関係で、カードの挟み込みなど現実的な対応が認められやすい場面があります。一方で、Webサイトや電子カタログは修正が比較的容易です。


ホームページやECサイト、PDFカタログなどは、次の点を確認しましょう。

  • 税抜価格だけになっていないか

  • 「+税」表記だけになっていないか

  • 税込価格が小さすぎて分かりにくくないか

  • 商品一覧ページと詳細ページで表示が違っていないか

  • PDFカタログの古いデータが残っていないか

  • SNS投稿や広告バナーに税抜価格だけが残っていないか


Web上の情報は、紙よりも多くの消費者の目に触れます。古い税抜表示のPDFやバナーが残っていないか、定期的に確認しておきましょう。


総額表示として認められる表示例

総額表示では、税込価格が明瞭に表示されていれば、表示方法は一つではありません。

国税庁は、標準税率10%の商品について、総額表示として認められる例を複数示しています。


たとえば、「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」「11,000円(うち消費税額等1,000円)」「10,000円(税込価格11,000円)」などです。

11,000円(税込)11,000円(税抜価格10,000円)11,000円(うち税1,000円)

つまり、税込価格がはっきり分かるのであれば、税抜価格や消費税額を併記しても問題ありません。


総額表示として不十分な例

一方で、次のような表示は、原則として総額表示としては不十分です。

10,000円(税抜)10,000円+税10,000円(本体価格)税抜価格10,000円本体価格10,000円

財務省の資料でも、「9,800円(税抜)」「9,800円(本体価格)」「9,800円+税」のような表示は、令和3年4月1日以後、総額表示に該当しない例として示されています。


このような表示では、消費者が実際に支払う金額を一目で把握できません。

税抜価格を表示したい場合でも、必ず税込価格を明瞭に併記しましょう。


BtoB取引のカタログは対象外になることもある

総額表示義務は、事業者が消費者に対してあらかじめ行う価格表示が対象です。


そのため、事業者間取引、いわゆるBtoB取引のみを対象とする価格表やカタログについては、総額表示義務の対象外となる場合があります。


政府広報でも、見積書、請求書、契約書、口頭による価格表示、事業者間取引に使われるカタログなどは、不特定多数の消費者に対してあらかじめ行う価格表示ではないため、総額表示の対象外と説明されています。


ただし、注意したいのは、同じカタログを事業者にも一般消費者にも配布している場合です。たとえば、建材、家具、美容機器、食品、ギフト商品などで、法人向けにも個人向けにも同じカタログを使っている場合には、消費者向け価格表示として総額表示が必要になる可能性があります。


「BtoB用だから税抜表示でよい」と判断する前に、実際の配布先や利用目的を確認しましょう。


希望小売価格の表示にも注意

メーカーが商品カタログやパッケージに「希望小売価格」を表示している場合、その表示が総額表示義務の対象になるかも気になるところです。


財務省の資料では、製造業者等が商品カタログや商品パッケージなどに表示している希望小売価格は、小売店が消費者に対して行う価格表示ではないため、総額表示義務の対象にはならないと説明されています。ただし、小売店がその希望小売価格を自店の小売価格として販売している場合には、小売店側で税込価格を棚札などに表示する必要があるとされています。


つまり、メーカー側の参考価格表示と、小売店が実際に消費者へ販売する価格表示は分けて考える必要があります。


小売店では、メーカーのカタログやパッケージに税抜価格の希望小売価格が記載されている場合でも、自店の販売価格として税込価格を明示しておきましょう。


飲食店・軽減税率対象商品の表示にも注意

飲食店や食品販売業では、軽減税率との関係にも注意が必要です。


たとえば、飲食店では、テイクアウトは8%、店内飲食は10%となるケースがあります。

政府広報では、テイクアウトとイートインの両方を提供している場合、両方の税込価格を表示する方法、どちらか一方のみの税込価格を表示する方法、テイクアウトとイートインを同じ税込価格で表示する方法などが紹介されています。


カタログやメニュー表で食品・飲食サービスを掲載する場合には、税率が8%なのか10%なのか、税込価格がどちらを前提にしているのか、消費者に誤解が生じないようにしましょう。


実務上のチェックポイント

総額表示対応では、次の点を確認しておきましょう。


1. 消費者向けの価格表示か

一般消費者に向けた価格表示であれば、総額表示の対象です。

BtoB専用の価格表や見積書は対象外となる場合がありますが、消費者にも配布している場合は注意が必要です。


2. 税込価格が一目で分かるか

税込価格が小さすぎる、離れた場所にある、別紙を見ないと分からない、といった表示は避けましょう。ポイントは、消費者が支払総額をすぐに分かることです。


3. 税抜価格だけになっていないか

「10,000円+税」「10,000円(税抜)」だけでは総額表示として不十分です。

税込価格を明瞭に表示しましょう。


4. 紙カタログの在庫をどうするか

既存カタログは、税込価格表の挟み込みや訂正シールなどで対応できる場合があります。

ただし、次回印刷時には税込価格表示へ切り替えることが望ましいです。


5. 電子カタログ・Webサイトを更新しているか

Web上のPDFカタログ、商品ページ、バナー、SNS投稿などに古い税抜価格表示が残っていないか確認しましょう。


6. 複数税率の商品が混在していないか

軽減税率対象商品と標準税率の商品が混在する場合は、税込価格の計算や表示方法を誤らないように注意します。


7. 店頭表示とカタログ表示が一致しているか

店頭価格、カタログ価格、ECサイト価格が異なる場合、消費者の誤解を招く可能性があります。


販売チャネルごとに価格表示を確認しましょう。


よくある誤解

  • カタログは広告ではないので総額表示は不要

消費者向けに商品やサービスの価格を表示するカタログは、総額表示の対象になります。添付資料でも、商品を紹介するカタログ等は総額表示の対象とされています。


  • 税抜価格の横に「+税」と書けばよい

令和3年4月1日以後は、「+税」だけでは総額表示として不十分です。税込価格を明瞭に表示する必要があります。


  • 既存カタログは必ず全部刷り直さなければならない

必ずしも刷り直しが必要とは限りません。税込価格を表示したカードを挟み込むなど、消費者が税込価格を一目で分かる方法で対応できる場合があります。


  • Webカタログも紙と同じようにそのままでよい

Webサイトや電子カタログは、価格表示を税込価格に変更する対応が必要と考えられます。添付資料でも、電子カタログについては税込価格表示へ変える対応が必要とされています。


  • 税込価格だけしか表示してはいけない

税込価格が明瞭に表示されていれば、税抜価格や消費税額を併記しても問題ありません。


まとめ

総額表示とは、事業者が消費者に対して商品やサービスの価格をあらかじめ表示する場合に、消費税額を含めた税込価格を表示する制度です。


対象は店頭の値札だけではありません。チラシ、カタログ、パンフレット、メニュー表、ホームページ、ECサイト、電子カタログなど、消費者向けに価格を表示する媒体は幅広く対象になります。


税抜価格だけが記載された既存の紙カタログについては、必ずしも刷り直しが必要とは限らず、税込価格を記載したカードや価格表を挟み込むなど、消費者が税込価格を一目で分かる方法で対応できる場合があります。


一方、Webサイトや電子カタログは修正しやすいため、税抜価格だけの表示が残っていないか早めに確認し、税込価格表示へ変更しておくことが重要です。


総額表示のポイントは、消費者が「実際にいくら支払うのか」を一目で分かることです。カタログやホームページを作成・更新する際は、税込価格が明瞭に表示されているか、税抜価格だけになっていないか、BtoC向けの表示として問題がないかを確認しておきましょう。

神戸の税理士事務所ロゴ

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