top of page

コード決済の領収書に収入印紙は必要?印紙税の判定ポイントを税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 24 時間前
  • 読了時間: 16分

こんにちは!代表の安田です。


QRコードやバーコードを使ったコード決済は、飲食店、小売店、美容室、クリニック、サービス業など、さまざまな業種で利用されています。


現金を持たずに支払いができる便利な決済手段ですが、店舗側の経理・税務で意外と悩みやすいのが「領収書に収入印紙を貼る必要があるのか」という点です。


たとえば、顧客から次のように依頼されることがあります。

  • Pay払いをしたので領収書をください

  • 会社の経費にするので領収書を発行してください

  • 5万円以上なので収入印紙を貼ってください


このとき、店舗側はどう判断すればよいのでしょうか。


コード決済の領収書については、単に「領収書」という表題があるかどうかではなく、その文書が印紙税法上の課税文書に該当するかを確認する必要があります。


特に重要なのは、領収書を交付した時点で、店舗側に「金銭または有価証券の受領事実」があるかどうかです。


本日は、コード決済を利用した場合の領収書と印紙税の関係、クレジットカード決済との違い、複数の決済方式が混在するコード決済サービスでの注意点について解説します。


印紙税とは

印紙税とは、契約書や領収書など、一定の文書を作成した場合に課される税金です。

課税対象となる文書は、印紙税法の別表第一に掲げられています。

代表的な課税文書には、次のようなものがあります。

  • 不動産売買契約書

  • 金銭消費貸借契約書

  • 請負契約書

  • 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書

  • 売上代金以外の金銭または有価証券の受取書


店舗や事業者の日常業務でよく問題になるのが、領収書です。

売上代金について金銭を受け取ったことを証明する領収書は、一定金額以上であれば印紙税の対象になります。


一方で、領収書という名前が付いていても、実際には金銭等の受領事実を証明する文書ではない場合、印紙税の課税文書に該当しないことがあります。


売上代金に係る受取書とは

印紙税でいう「売上代金に係る金銭または有価証券の受取書」とは、商品販売やサービス提供の代金について、金銭または有価証券を受け取った事実を証明するために作成し、支払者に交付する文書をいいます。


一般的な現金払いの領収書は、これに該当します。

たとえば、店舗で商品を販売し、顧客から現金55,000円を受け取って領収書を発行した場合、その領収書は売上代金に係る金銭の受取書に該当します。

売上代金に係る受取書については、記載金額が5万円未満であれば非課税ですが、5万円以上であれば原則として収入印紙の貼付が必要になります。


ここで重要なのは、「現金などを受け取った事実を証明する文書かどうか」です。


表題が「領収書」「受領書」「レシート」「お買上票」などであっても、文書の内容から金銭等の受領事実を証明していると認められれば、課税文書に該当する可能性があります。


クレジットカード決済の領収書はどうなるか

コード決済を考える前に、クレジットカード決済の取扱いを確認しておきましょう。


クレジットカード販売では、店舗は顧客から直接現金を受け取るわけではありません。

商品やサービスは顧客に提供しますが、代金は後日、カード会社等を通じて決済されます。


そのため、クレジットカード決済時に交付する文書について、金銭等の受領事実がないことが明らかであれば、たとえ表題が「領収書」であっても、印紙税法上の売上代金に係る金銭等の受取書には該当しません。


たとえば、領収書に「クレジットカード利用」「カード決済」「クレジット取引」などと明記され、現金の受領ではないことが文書上明らかであれば、収入印紙は不要と考えられます。


一方で、クレジットカード決済であることが文書上明らかでなく、単に「領収しました」とだけ記載されている場合には、金銭等の受領事実がないことが明確とはいえず、課税文書に該当する可能性があります。


コード決済でも考え方は同じ

コード決済の場合も、基本的な考え方は同じです。


領収書が印紙税の課税文書に該当するかどうかは、領収書を交付した時点で、店舗側に金銭等の受領事実があるかどうかで判断します。

ただし、コード決済はクレジットカード決済よりも判定が難しい場合があります。

なぜなら、コード決済サービスには、さまざまな決済方式があるためです。

代表的なものには、次のような方式があります。

  • 事前にチャージした残高から支払う前払い方式

  • 銀行口座などから即時に引き落とされる即時払い方式

  • クレジットカードなどに紐づけて後日支払う後払い方式

  • 複数の方式を一つのサービス内で選択できる方式


同じ「○○Pay」というサービス名であっても、実際の支払方法は顧客の設定によって異なることがあります。


そのため、コード決済の領収書については、サービス名だけで一律に判断するのではなく、加盟店契約や決済の仕組みを確認する必要があります。


領収書の交付時に金銭等の受領事実がある場合

コード決済サービスの仕組みや加盟店契約等の内容から、領収書の交付時に店舗側が金銭等を受領したと評価できる場合、その領収書は売上代金に係る金銭等の受取書に該当します。


この場合、記載金額が5万円以上であれば、原則として収入印紙が必要です。

たとえば、コード決済サービスの仕組み上、顧客の残高から即時に加盟店へ支払われる、または加盟店が金銭等を受領したと評価される契約になっている場合には、課税文書に該当する可能性があります。


このような場合、領収書に「○○Pay」と記載していたとしても、金銭等の受領事実がある以上、印紙税の判定上は現金領収書に近い取扱いになります。


店舗側では、コード決済だから収入印紙は不要、と決めつけないことが大切です。


領収書の交付時に金銭等の受領事実がない場合

一方で、コード決済サービスの仕組みや加盟店契約等の内容から、領収書の交付時に店舗側が金銭等を受領していないと評価される場合があります。


たとえば、顧客がコード決済アプリを利用して支払っていても、実態としては後払い方式であり、店舗側は商品を引き渡した時点では金銭等を受け取っていないケースです。


この場合、交付する文書に金銭等の受領事実がないことが明らかに記載されていれば、売上代金に係る金銭等の受取書には該当しません。

つまり、印紙税の課税文書にはならず、収入印紙は不要です。


ただし、ここで重要なのは「金銭等の受領事実がないことが文書上明らかであること」です。単に内部的に後払い方式であることを店舗側が知っているだけでは不十分です。


領収書を見る人にとって、金銭等の受領事実がないことが分かる表記になっているかが問題になります。


文書上明らかでない場合は課税文書になる可能性

コード決済の印紙税判定で特に注意したいのが、金銭等の受領事実の有無が文書上明らかでない場合です。


仮に、実際の決済方式としては領収書交付時に金銭等の受領事実がない場合でも、そのことが領収書から読み取れない場合には、売上代金に係る金銭等の受取書に該当する可能性があります。


たとえば、次のような領収書は注意が必要です。

  • 表題が「領収書」となっている

  • 「上記金額を領収しました」と記載されている

  • 支払方法が単に「コード決済」とだけ記載されている

  • 「○○Pay」とだけ表示され、決済方式が分からない

  • 金銭等の受領事実がないことを示す文言がない


このような文書では、実際には後払い方式で金銭等の受領事実がない場合であっても、文書上は金銭を受け取ったように見えることがあります。


印紙税では文書の記載内容が重要です。

「実際には現金を受け取っていないから大丈夫」と安易に判断せず、領収書の表記を確認しましょう。


複数方式が混在するコード決済サービスの注意点

コード決済サービスの中には、前払い方式、即時払い方式、後払い方式など、複数の決済方式を一つのサービスとして提供しているものがあります。


顧客は同じアプリや同じサービス名を使っていても、実際にはチャージ残高で支払っている場合もあれば、クレジットカードに紐づけて後払いしている場合もあります。


このようなサービスでは、店舗側が領収書発行時に、顧客がどの決済方式を選択したのかを把握しにくいことがあります。


国税庁の質疑応答事例でも、金銭等の受領事実がある決済方式と、金銭等の受領事実がない決済方式を組み合わせて一つのサービスとして提供しているケースについて、サービス名だけの表示では金銭等の受領事実の有無が文書上明らかではないとされています。


そのため、領収書に「□□Pay」とだけ記載している場合、実際には金銭等の受領事実がない決済方式による販売が含まれていても、その領収書は第17号の1文書に該当する可能性があります。


同じように、どのコード決済サービスを利用しても一律に「コード決済」とだけ表示する領収書も注意が必要です。


「コード決済」とだけ書くのは危険

店舗のレジやPOSシステムでは、支払方法の表示が簡略化されていることがあります。

たとえば、領収書やレシートに次のように表示されるケースです。

  • コード決済

  • QR決済

  • スマホ決済

  • キャッシュレス決済

  • ○○Pay

  • 電子決済


このような表示だけでは、金銭等の受領事実がある決済方式なのか、ない決済方式なのかが分からないことがあります。印紙税の判定では、領収書上、金銭等の受領事実がないことが明らかである必要があります。


そのため、後払い方式で金銭等の受領事実がないコード決済であっても、領収書に単に「コード決済」としか表示されていない場合には、課税文書と判断される可能性があります。

店舗側では、支払方法の表記を「コード決済」と一括りにするのではなく、決済方式ごとに文言を分けられるかを確認しましょう。


領収書に記載したい文言

コード決済で収入印紙の要否を適切に判断するためには、領収書の文言が重要です。

金銭等の受領事実がない決済方式の場合には、そのことが文書上明らかになるような表記を検討しましょう。たとえば、次のような文言が考えられます。

  • クレジット決済扱い

  • 後払いコード決済

  • 金銭の受領を伴わないコード決済

  • 信用取引による決済

  • 代金は決済事業者を通じて後日精算

  • 本書は金銭または有価証券の受領を証するものではありません


ただし、実際にどの文言が適切かは、決済サービスの仕組みや加盟店契約の内容によって異なります。誤った文言を記載すると、顧客や経理処理に混乱を招く可能性もあります。


自社が利用しているコード決済サービスについて、決済事業者の資料や加盟店契約を確認し、必要に応じて税理士や専門家に相談することをおすすめします。


電子領収書の場合は印紙税がかからない

印紙税は、原則として紙の課税文書を作成した場合に問題になります。

そのため、領収書を紙で発行せず、電子データのみで交付する場合には、通常、収入印紙の貼付は不要です。たとえば、次のようなものです。

  • メールで送付するPDF領収書

  • Web画面からダウンロードする電子領収書

  • アプリ上で表示される電子レシート

  • クラウドサービス上で発行される領収書データ


ただし、電子領収書を発行した後に、その電子データを印刷して紙の領収書として交付する場合には、紙の文書を作成したことになり、印紙税の問題が生じる可能性があります。


また、電子領収書は、買手側では電子帳簿保存法上の電子取引データとして保存が必要になる場合があります。


コード決済では電子レシートやアプリ明細が多いため、印紙税と電子帳簿保存法の両方を整理しておきましょう。


インボイス制度との関係

コード決済の領収書では、印紙税だけでなく、インボイス制度への対応も問題になります。


適格請求書発行事業者である店舗が、顧客に対して領収書やレシートを交付する場合、それがインボイスまたは簡易インボイスとして必要事項を満たしているかを確認する必要があります。


小売業や飲食店業など、不特定多数の者に販売する事業では、通常のインボイスに代えて簡易インボイスを交付できる場合があります。簡易インボイスでは、買手の氏名または名称の記載は不要です。


一方、印紙税では、領収書が金銭等の受領事実を証明する文書かどうかが問題になります。

つまり、インボイスとして必要な記載事項を満たしているかという問題と、印紙税の課税文書に該当するかという問題は別です。


コード決済の領収書を見直す場合には、次の両方を確認しましょう。

  • インボイス制度上、必要な記載事項を満たしているか

  • 印紙税法上、収入印紙が必要な課税文書に該当するか


5万円以上の領収書では特に注意

売上代金に係る受取書は、記載金額が5万円未満であれば非課税です。

そのため、少額決済が中心の店舗では、印紙税が問題になる機会は少ないかもしれません。

しかし、次のような業種では、コード決済でも5万円以上の支払いが発生することがあります。

  • 家電販売店

  • 家具販売店

  • 美容医療

  • 自由診療クリニック

  • エステサロン

  • 旅行関連サービス

  • 高額な飲食店

  • スポーツ用品店

  • 高級雑貨店

  • 学習塾やスクール

  • 修理・メンテナンス業


このような業種では、コード決済で5万円以上の領収書を発行することがあり、収入印紙の要否が実務上重要になります。


特に、レジ担当者が支払方法ごとの印紙税判定をその場で行うのは難しいため、事前にルールを決めておくことが大切です。


POSレジ・領収書システムの設定確認

コード決済の印紙税対応では、POSレジや領収書発行システムの設定も重要です。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 支払方法ごとに領収書の表記を変えられるか

  • コード決済サービスごとに表示名を分けられるか

  • 同じサービス内の決済方式まで区分できるか

  • 後払い方式であることを表示できるか

  • 金銭等の受領事実がない旨の文言を入れられるか

  • 5万円以上の場合に印紙要否を判定できるか

  • 電子領収書と紙領収書の発行履歴を管理できるか

  • 二重発行を防止できるか


システム上、すべてのコード決済が一律に「コード決済」と表示されてしまう場合には、印紙税の判定上、不利になる可能性があります。


決済サービスの種類や契約内容を確認したうえで、必要に応じてレシート表記を変更できるか、レジベンダーに確認しておきましょう。


店舗スタッフへの周知も必要

印紙税の判定は、経理担当者だけでなく、現場スタッフにも関係します。

顧客から領収書を求められるのは、レジや受付の現場です。

現場スタッフがルールを理解していないと、次のようなミスが起こりやすくなります。

  • 収入印紙が必要な領収書に貼り忘れる

  • 不要な領収書に収入印紙を貼ってしまう

  • コード決済ならすべて印紙不要と判断してしまう

  • 支払方法の記載が不十分な領収書を発行してしまう

  • 電子領収書と紙領収書を二重に発行してしまう

  • 顧客からの「印紙を貼ってほしい」という依頼に誤対応する


店舗では、支払方法ごとに印紙の要否を一覧化し、レジ周辺やマニュアルにまとめておくとよいでしょう。ただし、コード決済はサービス仕様が変更されることもあるため、定期的な見直しも必要です。


顧客から「印紙を貼って」と言われた場合

コード決済で5万円以上の支払いがあると、顧客から「領収書に収入印紙を貼ってください」と言われることがあります。


しかし、収入印紙が必要かどうかは、顧客の希望ではなく、印紙税法上の課税文書に該当するかどうかで決まります。印紙が不要な文書に収入印紙を貼っても、税務上必要な対応をしたことにはなりますが、不要なコストが発生します。


一方で、本来印紙が必要な文書に貼らなかった場合には、過怠税のリスクがあります。

そのため、顧客対応では、社内ルールに基づいて落ち着いて説明できるようにしておくことが大切です。


たとえば、クレジットカード決済や後払い方式のコード決済で、金銭等の受領事実がないことが領収書上明らかな場合には、印紙不要であることを説明できます。

ただし、領収書の表記があいまいな場合は課税文書と判断される可能性があるため、事前の様式整備が欠かせません。


実務上よくある誤解

コード決済の領収書と印紙税について、実務上よくある誤解を整理します。


  • コード決済ならすべて印紙不要

実際には、決済方式や加盟店契約の内容によって、領収書交付時に金銭等の受領事実があると評価される場合があります。その場合、課税文書に該当する可能性があります。


  • 現金を受け取っていないから必ず印紙不要

金銭等の受領事実がない場合でも、そのことが文書上明らかでなければ、課税文書に該当する可能性があります。


  • サービス名を書けば十分

同じコード決済サービス内で複数の決済方式が混在している場合、サービス名だけでは金銭等の受領事実の有無が明らかでないことがあります。


  • 電子領収書を印刷して渡しても電子だから印紙不要

電子データのみで交付する場合は通常印紙税の問題は生じませんが、紙に印刷して交付すれば紙の文書として印紙税の判定が必要になることがあります。


実務上のチェックポイント

コード決済の領収書を発行する事業者は、次の点を確認しましょう。

  • 利用しているコード決済サービスの決済方式を把握しているか

  • 加盟店契約上、領収書交付時に金銭等の受領事実があるか確認しているか

  • 前払い、即時払い、後払いの区分を整理しているか

  • 複数方式が混在するサービスを利用していないか

  • 領収書上、金銭等の受領事実がないことが明らかに記載されているか

  • 支払方法を単に「コード決済」とだけ表示していないか

  • 5万円以上の領収書について印紙の要否を判定しているか

  • 電子領収書と紙領収書の運用を区分しているか

  • POSレジや領収書発行システムの表示設定を確認しているか

  • 店舗スタッフに運用ルールを周知しているか


コード決済は便利な一方、印紙税の判定では現金払い・クレジットカード払いよりも複雑になることがあります。

サービス名だけで判断せず、実際の決済方式と領収書の記載内容を確認することが重要です。


まとめ

コード決済を利用した顧客に領収書を交付する場合、収入印紙が必要かどうかは、領収書の表題ではなく、印紙税法上の課税文書に該当するかどうかで判断します。


売上代金に係る金銭等の受取書とは、金銭または有価証券の受領事実を証明するために作成し、支払者に交付する文書をいいます。


そのため、コード決済であっても、領収書交付時に店舗側が金銭等を受領したと評価される場合には、売上代金に係る受取書に該当し、記載金額が5万円以上であれば原則として収入印紙が必要です。


一方、後払い方式など、領収書交付時に金銭等の受領事実がない場合には、金銭等の受領事実がないことが文書上明らかであれば、課税文書には該当しません。


ただし、領収書に「コード決済」「○○Pay」などとだけ記載されており、金銭等の受領事実の有無が文書上明らかでない場合には、課税文書に該当する可能性があります。

特に、1つのコード決済サービス内に、金銭等の受領事実がある方式とない方式が混在している場合には注意が必要です。


コード決済を導入している店舗や事業者は、加盟店契約や決済方式を確認し、領収書の表記、POSレジ設定、電子領収書の運用、5万円以上の領収書への収入印紙対応を整理しておきましょう。


コード決済の領収書や印紙税の取扱いで迷う場合は、税理士へ相談することをおすすめします。

神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page