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パソコン購入は固定資産になる?複数台購入・少額減価償却資産の判定を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 3 日前
  • 読了時間: 13分

こんばんは!代表の安田です。


テレワークやサテライトオフィスの導入に伴い、会社がノートパソコンやモニター、周辺機器をまとめて購入する機会が増えています。


このとき、経理担当者が迷いやすいのが、次のような問題です。

  • 1台10万円未満なら消耗品費にしてよいのか

  • 複数台を同時に購入した場合は合計額で判定するのか

  • 本体とモニターは一式として判断するのか

  • 10万円以上のパソコンは、どのように減価償却するのか


パソコンの会計処理は、請求書の合計金額だけで決まるものではありません。通常どの単位で取引され、どの単位で独立して機能するかを踏まえて、取得価額を判定する必要があります。


また、2026年度税制改正により、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、2026年4月1日以後に取得する資産の金額基準が変更されています。


本記事では、法人がパソコンを購入した場合の固定資産判定、複数台をまとめて取得した場合の考え方、10万円・20万円・40万円の各基準、耐用年数や償却資産税の注意点を解説します。


パソコンは原則として減価償却資産

会社が業務用に購入するパソコンは、原則として「器具及び備品」に該当する減価償却資産です。


購入した年度に取得価額の全額を経費にするのではなく、資産として計上し、法定耐用年数にわたって減価償却するのが基本的な処理です。


一般的なパーソナルコンピューターの法定耐用年数は、サーバー用のものを除き4年とされています。サーバー用の電子計算機は、通常のパソコンとは異なる耐用年数が適用されます。


たとえば、税抜50万円のノートパソコンを購入し、通常の減価償却を行なう場合には、次のように資産計上します。

工具器具備品 500,000円/普通預金 500,000円

その後、法人が採用している償却方法に従って、毎期の減価償却費を計上します。

ただし、取得価額が一定金額未満である場合には、通常の減価償却以外の処理を選択できます。


パソコンの取得価額は「1台ごと」に判定するのが一般的

少額の減価償却資産に該当するかどうかは、請求書の総額ではなく、原則として「通常1単位として取引される単位」ごとに判定します。


国税庁は、機械装置については1台または1基、工具・器具・備品については1個、1組または1そろいごとに取得価額を判定するとしています。


そのため、独立して使用できるパソコンを複数台購入した場合には、通常、パソコン1台ごとに取得価額を判定します。


<例:9万円のパソコンを10台購入した場合>

1台9万円のノートパソコンを10台、合計90万円で購入したとします。

それぞれのパソコンが独立して業務に使用できるのであれば、原則として1台9万円として判定します。


請求書の合計が90万円であっても、10台をまとめて90万円の固定資産として判定するわけではありません。


各パソコンが10万円未満であるため、一定の要件を満たせば、購入して事業の用に供した年度に全額を損金算入できます。


本体・モニター・周辺機器は別々に判定できる?

パソコン本体とモニター、キーボード、マウスなどを同時に購入した場合、どこまでを一つの資産として判定するかは、各機器の機能や取引実態によって変わります。


<独立して使用できる場合>

次のように、それぞれ単体で取引され、別の機器にも接続して使用できるものは、個別の資産として判定できる可能性があります。

  • ノートパソコン

  • 外付けモニター

  • プリンター

  • 外付けハードディスク

  • Webカメラ

  • ヘッドセット


たとえば、ノートパソコンが9万円、外付けモニターが3万円で、それぞれが独立して購入・使用できるものであれば、パソコン9万円とモニター3万円を別々に判定することが考えられます。


<一式でなければ機能しない場合>

一方、複数の機器が一体となって初めて機能し、通常も一式として取引される場合には、合計額で判定する必要があります。


たとえば、デスクトップパソコンについて、

  • 本体

  • 専用ディスプレイ

  • 専用キーボード

  • 専用機器

が一式として販売され、個別では実質的に使用できない場合には、一式の取得価額で判定する可能性があります。


国税庁も、応接セットはテーブルと椅子を1組として、カーテンは一つの部屋で機能する単位として判定する例を示しています。重要なのは、請求書上の品目の分け方ではなく、社会通念上どの単位で一つの効用を発揮するかです。


パソコン購入時に使える4つの会計処理

パソコンの取得価額に応じて、主に次の処理が考えられます。

1台当たりの取得価額

主な処理

10万円未満

消耗品費等として全額損金算入

10万円以上20万円未満

一括償却資産として3年間で償却可能

一定金額未満

中小企業者等の少額減価償却資産の特例

上記を使わない場合

固定資産として通常の減価償却

それぞれの違いを見ていきましょう。


取得価額10万円未満なら全額を経費にできる

取得価額が10万円未満の減価償却資産は、事業の用に供した年度に取得価額の全額を損金経理すれば、原則としてその全額を損金算入できます。

仕訳例は次のとおりです。

消耗品費 90,000円/普通預金 90,000円

ここでいう「10万円未満」であるため、10万円ちょうどのパソコンは対象になりません。

また、購入しただけではなく、原則としてその事業年度中に業務で使用できる状態にし、実際に事業の用に供していることが必要です。


決算直前に購入して箱に入れたまま保管している場合には、その年度の損金算入が認められない可能性があります。


10万円以上20万円未満なら一括償却資産を選択できる

取得価額が10万円以上20万円未満のパソコンについては、通常の固定資産として減価償却するほか、「一括償却資産」として3年間で均等に損金算入する方法を選択できます。


一括償却資産は、個々の資産の使用期間にかかわらず、取得価額の合計額を原則として3年間で償却します。どの20万円未満の資産を一括償却の対象とするかは、法人が選択できます。


たとえば、18万円のパソコンを一括償却資産として処理した場合、原則として年間6万円ずつ3年間で損金算入します。

一括償却資産 180,000円/普通預金 180,000円

一括償却資産には、次のような特徴があります。

  • 取得月にかかわらず、原則として3年間で償却する

  • 残存価額を考慮しない

  • 途中で廃棄や売却をしても、原則として残額を直ちに全額損金算入しない

  • 通常の減価償却より管理が簡便


なお、一括償却資産として処理した資産は、一般に固定資産税における償却資産の申告対象から除かれる点も、実務上のメリットになります。


2026年4月以後は「40万円未満」の特例に改正

青色申告書を提出する一定の中小企業者等には、少額の減価償却資産を取得年度に全額損金算入できる特例があります。


従来は取得価額30万円未満が基準でしたが、2026年度税制改正により、2026年4月1日以後に取得等をする資産については、取得価額40万円未満へ引き上げられました。

適用期限も3年間延長されています。


また、対象法人の従業員数要件についても見直され、2026年4月1日以後に取得する資産については、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外となります。年間の適用上限額は、従来どおり合計300万円です。


取得日によって金額基準が変わる

金額基準は、資産を取得等する日によって次のように変わります。

取得等の日

特例の取得価額基準

2026年3月31日まで

30万円未満

2026年4月1日以後

40万円未満

たとえば、税抜35万円のパソコンの場合、

  • 2026年3月31日までの取得:旧基準では対象外

  • 2026年4月1日以後の取得:新基準では対象となり得る

という違いが生じます。


ただし、特例の適用には、青色申告、中小企業者等への該当、損金経理、申告書への明細書添付などの要件があります。


少額減価償却資産の特例は年間300万円まで

中小企業者等の特例を利用できる金額は、1事業年度当たり合計300万円が上限です。

事業年度が1年未満の場合には、300万円を月数で按分します。


たとえば、35万円のパソコンを10台購入した場合、合計額は350万円です。

2026年4月1日以後の取得で、各パソコンを1台35万円として判定できる場合でも、特例を利用できるのは年間上限の範囲内です。


すべての資産に機械的に適用するのではなく、

  • どのパソコンに特例を使うか

  • 一括償却資産を使うか

  • 通常の減価償却を行なうか

を検討する必要があります。


取得価額は税込み・税抜きのどちらで判定する?

少額資産に該当するかどうかの取得価額は、会社が採用している消費税の経理方式によって異なります。


<税抜経理方式>

税抜経理を採用している場合は、原則として税抜金額で判定します。

たとえば、本体価格98,000円、消費税9,800円、税込107,800円のパソコンでも、税抜経理であれば取得価額98,000円として10万円未満かどうかを判定します。


<税込経理方式>

税込経理を採用している場合は、原則として税込金額で判定します。

上記のパソコンは税込107,800円となるため、10万円未満の少額資産には該当しません。

免税事業者は、通常、税込金額を取得価額として判定します。

同じパソコンでも、会社の消費税処理によって適用できる制度が変わるため、購入時には注意が必要です。


パソコンの取得価額に含める費用

パソコンの取得価額には、本体価格だけでなく、そのパソコンを事業で使用できる状態にするために直接要した費用も含まれることがあります。

たとえば、次のような費用です。

  • 購入時の送料

  • 初期設定費用

  • 設置費用

  • 購入手数料

  • 業務に必要な増設部品

  • パソコンと一体で導入する基本ソフト


たとえば、パソコン本体が95,000円でも、初期設定費用が10,000円かかり、取得価額に含めるべき場合には、合計105,000円となります。


本体価格だけを見て10万円未満と判断しないようにしましょう。

一方、毎月支払うクラウドサービスの利用料や、独立して契約するサブスクリプション費用は、通常はパソコン本体の取得価額とは分けて処理します。


複数社で共同利用する場合はどうする?

グループ会社数社が共同で利用するためにパソコンを購入し、費用を各社で負担するケースもあります。


たとえば、45万円のパソコンを3社で共同使用し、各社が15万円ずつ負担したとします。

この場合、単に45万円を3社で割った15万円だけを見て、各社が一括償却資産として処理できるとは限りません。


次の点を確認する必要があります。

  • 法的な所有者はどの会社か

  • 各社が共有持分を取得しているのか

  • 1社が取得し、他社に利用させているのか

  • 負担金が資産の取得対価か、利用料か

  • 使用や処分について各社がどのような権利を持つか


共有資産については、各社の取得価額を共有持分相当額で判断できる場合があります。

ただし、名目上だけ費用を分担し、実質的には1社が所有・管理している場合には、その1社が全額を固定資産として計上し、他社から受け取る金額を利用料や負担金として処理する方が実態に合うこともあります。


契約書や費用負担の根拠を明確にしておくことが大切です。


使用可能期間が1年未満なら金額にかかわらず経費になる?

税法上、取得価額が10万円未満でなくても、使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、一定の要件のもとで取得年度に全額損金算入できます。


ただし、会社が「1年以内に買い替える予定」と考えているだけでは足りません。

その業種において一般的に消耗性の資産と認識され、その会社の平均的な使用状況などから見ても、使用可能期間が1年未満であることが必要です。国税庁は、平均的な使用状況について、おおむね過去3年間の実績を基準とする考え方を示しています。


一般的な業務用パソコンについては、通常1年以上使用されるため、「使用可能期間1年未満」を理由に全額を経費処理することは難しいでしょう。


リモートワーク用パソコンを従業員へ貸与する場合

会社が購入したパソコンを従業員へ貸与し、自宅で業務に使用させる場合でも、会社が所有し、業務上必要な範囲で使用させているのであれば、会社の減価償却資産として処理します。


ただし、次のような管理が必要です。

  • 貸与する従業員の氏名

  • 機種、製造番号、管理番号

  • 貸与日

  • 返却予定日

  • 私的利用の制限

  • 退職時の返却ルール

  • 紛失・破損時の対応


固定資産台帳や備品管理台帳に記録し、会社の資産であることを明確にしておきましょう。

従業員へ無償譲渡した場合や、退職時にそのまま持ち帰らせた場合には、給与課税や資産除却など別の税務問題が生じる可能性があります。


パソコン購入で起こりやすい経理ミス

1.請求書の合計額で固定資産判定をする

独立して使用できるパソコンを複数台購入した場合は、原則として1台ごとに判定します。

10台合計で90万円だから固定資産、とは限りません。


2.請求書を分割すれば10万円未満になると考える

取得価額は、請求書の記載方法ではなく、通常一つの単位として取引・使用される資産ごとに判定します。

本来一式で機能する設備を、請求書上だけ分けても、税務上は合算して判定される可能性があります。


3.本体価格だけで判定する

送料、初期設定費用、設置費用など、取得価額に含めるべき付随費用を見落とすと、10万円や20万円の基準を誤ることがあります。


4.税込・税抜の判定を間違える

税込経理か税抜経理かによって、少額資産の金額判定が変わります。


5.購入した年度に使用していない

決算前に購入していても、実際に事業で使い始めていなければ、その年度に減価償却や即時損金算入ができない場合があります。


6.少額減価償却資産の年間上限を超えている

中小企業者等の特例には年間300万円の上限があります。

パソコン以外の少額資産も含めて管理しなければなりません。


7.2026年4月からの基準変更を反映していない

2026年4月1日以後の取得資産については、中小企業者等の特例の金額基準が30万円未満から40万円未満へ引き上げられています。


古い社内マニュアルや会計ソフトの設定を、そのまま使わないよう注意しましょう。


パソコンを購入したときのチェックリスト

パソコンや周辺機器を取得したときは、次の事項を確認しましょう。

  • 1台または1組当たりの取得価額はいくらか

  • 本体と周辺機器は独立して機能するか

  • 送料や初期設定費用を含めているか

  • 税込経理か税抜経理か

  • 実際に事業の用に供した日はいつか

  • 10万円未満の少額資産に該当するか

  • 20万円未満の一括償却資産を選択するか

  • 中小企業者等の特例を利用できるか

  • 取得日が2026年4月1日前か後か

  • 年間300万円の上限を超えないか

  • 固定資産台帳や備品台帳へ登録したか

  • 償却資産税の申告対象になるか

  • 従業員貸与の場合は所在を管理しているか


まとめ

パソコンを固定資産として計上するかどうかは、購入代金の総額ではなく、原則として通常1単位として取引される単位ごとに判定します。

独立して使用できるパソコンを複数台購入した場合には、一般的には1台ごとに取得価額を確認します。


主なポイントは次のとおりです。

  • パソコンは原則として器具備品に該当する

  • 一般的なパソコンの法定耐用年数は4年

  • 独立して使用できるパソコンは通常1台ごとに判定する

  • 10万円未満なら一定の要件で取得年度に全額損金算入できる

  • 20万円未満なら一括償却資産として3年間で償却できる

  • 2026年4月1日以後は、中小企業者等の特例が40万円未満へ拡大された

  • 同特例の年間上限は引き続き300万円

  • 本体価格だけでなく、送料や設定費用なども取得価額に含まれることがある

  • 税込経理と税抜経理では金額判定が異なる

  • 共同利用する資産は、所有関係と費用負担の実態を確認する


複数台のパソコンやIT機器をまとめて導入する場合には、購入前に資産の単位、税務上の処理方法、償却資産税への影響まで試算しておくと安心です。

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