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国税庁の新基幹システム「KSK2」が2026年9月24日稼働へ|e-Tax電子交付で納税者が注意すべき対応

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 11 時間前
  • 読了時間: 10分

おはようございます!代表の安田です。


国税庁の基幹システムである「国税総合管理システム」、いわゆるKSKシステムが刷新され、KSK2として2026年9月24日から稼働する予定です。


KSK2の導入は、国税当局の課税・徴収事務をデータ中心に効率化・高度化することを目的としたものです。納税者側で大がかりなシステム対応が必要になるわけではありませんが、e-Taxで処分通知等の電子交付を受けたい場合には、一定の手続が必要になります。


特に、これまでe-Taxで一部の通知書について電子交付を希望していた法人・個人であっても、2026年9月24日以後は、改めて電子交付に関する手続を行う必要がある点に注意が必要です。


本日は、公認会計士・税理士の視点から、KSK2の概要、国税当局の事務処理への影響、e-Tax電子交付の変更点、法人が確認すべき実務対応をわかりやすく整理します。


1. KSK2とは

KSK2とは、国税庁の基幹システムである「国税総合管理システム」を刷新した新システムです。


従来のKSKシステムは、国税当局における申告、納税、徴収、調査などの事務処理を支える重要なシステムでした。今回の刷新により、国税当局の事務処理はよりデータ中心となり、課税・徴収事務の効率化や高度化が進むとされています。


企業や個人事業主にとっては、KSK2の導入そのものにより、通常の申告・納税手続が大きく変わるわけではありません。


ただし、国税当局側のデータ活用が進むことで、今後の税務調査や滞納整理、申告内容の確認などが、より効率的かつ精緻に行なわれる可能性があります。


2. KSK2で国税当局の事務はどう変わるのか

KSK2の導入により、国税当局ではデータ管理の範囲が広がり、AIやデータ分析を活用した業務の高度化が期待されています。具体的には、次のような活用が想定されています。

  • 申告漏れの可能性が高い納税者の判定

  • 滞納者ごとに接触可能性の高い連絡方法の予測

  • 課税・徴収事務の効率化

  • 調査対象に関する情報検索・確認の迅速化

  • オンラインツールを活用した調査対応の拡大


税務調査の場面では、調査官が調査先等で端末からKSK2にアクセスし、必要な情報を検索・確認できるようになるとされています。


また、デジタル庁が整備するネットワークやWeb会議システムなどを活用することで、調査や行政対応の方法も広がっていく見込みです。


企業側としては、税務当局のデータ活用が進むことを前提に、申告書、届出書、帳簿、証憑、電子取引データなどの整合性をこれまで以上に意識する必要があります。


3. 納税者側の対応は基本的に不要

KSK2は国税当局側の基幹システム刷新であるため、納税者側に大がかりな対応が求められるものではありません。


通常の申告や納税については、従来どおりe-Taxや書面申告などを利用することになります。ただし、次のような点については実務上の確認が必要です。

  • e-Taxで通知書等の電子交付を受ける場合の手続

  • 会社のネットワーク環境でe-Taxに接続できるか

  • 書面申告を行なっている場合の様式変更への対応

  • 社内で通知書を誰が確認するか

  • 電子交付された通知書の見落とし防止


特に、税務部門・経理部門がe-Taxのメッセージボックスを日常的に確認している会社では、電子交付の設定変更を忘れないようにする必要があります。


4. e-Taxで電子交付できる通知書等が大幅に拡大

KSK2稼働に伴い、e-Tax上で電子交付できる処分通知等の対象が大幅に拡大されます。

これまで電子交付の対象は限られていましたが、KSK2稼働後は、電子交付できる通知書等の対象が約1,000通知に拡大される予定です。従来の「予定納税額等通知書」などに加え、次のような通知書も電子交付の対象に追加されます。

  • 更正又は決定通知書

  • 更正決定等をすべきと認められない旨の通知書

  • いわゆる是認通知

  • その他、各種処分通知等


これにより、税務署からの重要な通知を紙ではなくe-Tax上で受け取る場面が増えることになります。


電子交付は、郵送物の管理負担を減らし、通知の確認を迅速化できるメリットがあります。一方で、メッセージボックスを確認しないまま放置してしまうと、重要な通知を見落とすリスクもあります。


5. 2026年9月24日以後は「事前の一括同意」が必要に

今回の変更で特に注意したいのが、電子交付の同意方法です。


現行システムでは、通知書等ごとに電子交付を受けるかどうかを選択する仕組みでした。納税者が電子交付に同意した通知書等についてのみ、e-Tax上で電子交付されていました。


しかし、2026年9月24日以後は、電子交付対象となるすべての通知書等について、電子交付を受けるかどうかを一括で選択する方式に変わります。


つまり、e-Taxで電子交付を受けたい場合には、事前の一括同意が必要になります。

注意すべきなのは、2026年9月23日以前に電子交付を希望していた通知書があっても、2026年9月24日以後は、その効力が無効になる点です。引き続き電子交付を希望する場合には、改めて手続を行なう必要があります。


一括同意を行なっていない場合、通知書等は書面で交付されます。


6. 電子交付を受けるための手続

電子交付を希望する場合の手続は、次のような流れになる予定です。

  1. 2026年9月24日以後にe-Taxへログインする

  2. 通知書等の受領方法画面で「電子(e-Tax)」を選択する

  3. メールアドレスの登録とワンタイム認証を行う

  4. 通知書等がe-Taxのメッセージボックスに格納される

  5. 登録したメールアドレスに、通知書等が格納された旨の連絡が届く


詳細は、2026年9月までにe-Taxホームページで公表される予定です。

企業では、電子交付を利用するかどうかを事前に決めておき、利用する場合には誰が設定を行うのか、どのメールアドレスを登録するのか、通知を受けた後に誰が確認するのかを決めておくことが重要です。


7. 法人は通知書等の閲覧権限管理にも注目

法人については、GビズIDを活用し、税目等に応じて通知書等の閲覧制限を可能にすることが検討されています。


同じ会社内でも、部署や担当者によって閲覧対象を変えることができるようになる見通しで、2027年9月にリリースされる予定です。


これは実務上、大きな意味があります。

税務通知には、法人税、消費税、源泉所得税、相続税・贈与税関連、徴収関係など、機微な情報が含まれることがあります。大企業やグループ会社では、税目ごとに担当部署が異なることも少なくありません。


閲覧制限機能が整備されれば、必要な担当者だけが必要な通知を確認できるようになり、内部統制や情報管理の観点からも有用です。


一方で、閲覧権限を細かく設定しすぎると、重要な通知を確認できる担当者が限られ、見落としが起こる可能性もあります。導入後は、権限管理と業務フローの設計が重要になります。


8. e-TaxホームページのIPアドレス仕様変更にも注意

KSK2稼働にあわせて、2026年9月24日以後、e-TaxホームページのIPアドレスの仕様が変更されます。


通常の利用では大きな問題にならない可能性がありますが、会社のネットワーク環境でIPアドレスを指定して接続制限をしている場合には注意が必要です。


たとえば、社内ネットワークで特定のIPアドレスのみアクセスを許可している場合、仕様変更後にe-Taxへ接続できなくなる可能性があります。


そのため、社内の情報システム部門と連携し、URLで接続できるようにするなど、必要な設定変更を事前に確認しておくことが望まれます。


9. 書面申告の様式変更とe-Taxへの影響

KSK2の稼働に伴い、一部の書面による申告書等の様式がAI-OCRに対応したものへ変更されます。


AI-OCRとは、AI技術を活用した高精度の文字認識技術です。紙で提出された申告書等の情報を、より効率的にデータ化するための仕組みといえます。

ただし、この様式変更は書面申告に関するものであり、e-Taxによる申告には影響しないとされています。


書面申告を行なっている会社や個人事業主は、今後の様式変更に注意する必要があります。一方、e-Taxを利用している場合には、申告書様式のAI-OCR対応による直接的な影響は基本的にありません。


10. 企業が今から準備すべきこと

KSK2の稼働に向けて、企業が今から確認すべきポイントは次のとおりです。


(1)電子交付を利用するか決める

まず、会社としてe-Taxで通知書等の電子交付を受けるかどうかを決める必要があります。

電子交付を利用すれば、通知書等の受領を迅速化でき、紙の保管負担も減ります。一方で、e-Taxメッセージボックスの確認体制が不十分だと、重要通知を見落とすリスクがあります。


(2)一括同意の手続担当者を決める

電子交付を希望する場合には、2026年9月24日以後にe-Taxへログインし、事前の一括同意を行なう必要があります。

税務担当者、経理責任者、電子申告担当者、税理士等の誰が手続を行うのかを明確にしておきましょう。


(3)登録メールアドレスを決める

通知書等がメッセージボックスに格納されると、登録済みのメールアドレスへ通知が届く予定です。

個人担当者のメールアドレスだけにすると、異動・退職・休暇時に見落としが発生する可能性があります。可能であれば、税務部門や経理部門の共有メールアドレスを利用するなど、継続的に確認できる体制が望まれます。


(4)メッセージボックス確認ルールを作る

電子交付を利用する場合、e-Taxのメッセージボックスを誰が、どの頻度で確認するかを決めておく必要があります。

たとえば、週1回確認する、メール通知を受けたら当日中に確認する、重要通知は上長へ共有する、といったルールを整備すると安心です。


(5)社内ネットワーク設定を確認する

IPアドレス指定でe-Taxへの接続を管理している会社は、2026年9月24日以後の仕様変更に備え、情報システム部門と連携して接続設定を確認しておきましょう。


(6)税理士・顧問会計士との役割分担を確認する

電子交付を受けた通知書等を、税理士や顧問会計士が確認する運用にしている場合には、誰が受領し、誰が確認し、誰が社内へ報告するのかを明確にする必要があります。

電子交付の対象が拡大すると、通知書の種類も増えるため、確認漏れを防ぐ体制が重要です。


11. 税務調査対応への影響

KSK2により、国税当局のデータ活用や情報検索の効率化が進むと、税務調査の進め方にも変化が出る可能性があります。


調査官が端末上で必要な情報を確認しながら調査を行えるようになれば、過去の申告情報、納税状況、届出情報、関連資料との整合確認がより迅速になると考えられます。

企業側としては、次の点を意識することが重要です。

  • 申告書と決算書・勘定科目内訳書の整合性

  • 届出書や申請書の提出状況

  • e-Taxメッセージボックスに届く通知書の管理

  • 税務調査時に提出する資料の整備

  • 電子帳簿保存法対応との整合性

  • グループ法人間取引や消費税処理の説明可能性


KSK2の導入により、税務当局側の確認スピードが上がる可能性があるため、企業側も日頃から税務資料の整備と説明可能性を高めておく必要があります。


12. 実務チェックリスト

KSK2稼働に備えて、次の点を確認しておきましょう。

  • 2026年9月24日からKSK2が稼働予定であることを把握しているか

  • e-Taxで電子交付を受けるかどうかを社内で決めているか

  • 9月24日以後に必要となる事前の一括同意手続を担当者に周知しているか

  • 9月23日以前の電子交付希望の効力が無効になることを理解しているか

  • 登録するメールアドレスを決めているか

  • ワンタイム認証に対応できる体制があるか

  • e-Taxメッセージボックスの確認ルールを定めているか

  • 重要通知を社内で共有するフローを整備しているか

  • e-Taxホームページへの接続制限をIPアドレスで管理していないか確認しているか

  • 書面申告を行う場合、AI-OCR対応様式への変更を確認しているか

  • 税理士・顧問会計士との通知書確認フローを整理しているか

  • 将来の閲覧制限機能に備え、税目別・部署別の権限管理方針を検討しているか


まとめ

国税庁の基幹システムであるKSKシステムは刷新され、KSK2として2026年9月24日から稼働する予定です。KSK2の導入により、国税当局の事務処理はデータ中心に効率化・高度化され、AIやデータ分析を活用した課税・徴収事務、調査対応の高度化が進むと見込まれます。


納税者側に大きなシステム対応が求められるわけではありませんが、e-Taxで処分通知等の電子交付を受ける場合には注意が必要です。2026年9月24日以後は、電子交付対象となる通知書等について、事前の一括同意が必要になります。これまで個別に電子交付を希望していた通知書があっても、その効力は同日以後無効となるため、継続して電子交付を希望する場合には、改めて手続を行う必要があります。


また、法人では将来的にGビズIDを活用した通知書等の閲覧制限機能が予定されており、税目や部署ごとの権限管理も重要になっていく見込みです。


企業としては、電子交付を利用するかどうか、誰が一括同意を行うか、どのメールアドレスを登録するか、メッセージボックスを誰が確認するかを早めに決めておくことが大切です。KSK2の稼働をきっかけに、税務通知の受領・確認・保存・共有フローを見直しておきましょう。

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