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残価保証付リース資産の消費税処理に注意|法人税のリース期間定額法との違いを解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 20 時間前
  • 読了時間: 10分

おはようございます!代表の安田です。


新リース会計基準への対応に伴い、法人税におけるリース資産の減価償却について見直しが行なわれています。


特に、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、令和7年度税制改正により、リース期間定額法における償却限度額の計算方法が変更されました。これにより、一定のリース資産については、取得価額に含まれる残価保証額を控除せず、リース期間経過時点で備忘価額1円まで償却できることになっています。


ここで実務上注意したいのが、法人税の処理が変わっても、消費税の処理まで同じように変わるわけではないという点です。


法人税では残価保証額を含めた取得価額を基に償却限度額を計算する一方、消費税では、リース開始時に仕入税額控除の対象となる課税仕入れは、原則として残価保証額を控除したリース料総額です。


今回は、残価保証付リース資産について、法人税と消費税でどのように処理が異なるのかを整理します。


所有権移転外ファイナンス・リース取引とは

まず、所有権移転外ファイナンス・リース取引について確認しておきましょう。


ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づいて資産を使用し、その使用に伴うコストやリスクを実質的に借手が負担する取引をいいます。そのうち、リース期間終了後に所有権が借手へ移転しないものが、所有権移転外ファイナンス・リース取引です。


税務上、所有権移転外ファイナンス・リース取引は、通常の賃貸借とは異なり、一定の場合にはリース資産を取得したものとして処理します。借手側では、リース資産を計上し、リース期間定額法により減価償却を行なうことになります。


残価保証額とは?

今回のポイントになるのが、残価保証額です。


残価保証額とは、リース期間終了時にリース資産の処分価額が、契約で定められた保証額に満たない場合に、その不足部分を借手が貸手に支払うこととされている場合の、その保証額をいいます。


たとえば、リース期間終了時の保証額が20万円とされている資産について、実際の処分価額が10万円だった場合、借手は不足額である10万円を貸手に支払うことになります。

このような残価保証が付いたリース取引では、法人税と消費税で処理に違いが生じるため、注意が必要です。


法人税では残価保証額を控除せず償却できる

令和7年度改正により、令和9年4月1日以後に締結された所有権移転外ファイナンス・リース取引の契約に係るリース資産については、リース期間定額法による償却限度額の計算方法が見直されました。


改正後は、リース資産の取得価額に含まれている残価保証額を控除せず、リース期間経過時点に備忘価額1円まで償却できます。


改正前は、残価保証額を控除した金額を基に償却限度額を計算していました。しかし、改正後は、残価保証額相当額も含めた取得価額を基に償却するため、法人税上の償却額が増えるケースがあります。


令和9年4月1日前契約にも経過措置あり

今回の改正には、一定の経過措置も設けられています。


令和9年4月1日前に締結した契約であっても、令和7年4月1日以後開始事業年度において、一定の期限までに所轄税務署長へ届出を行なうことで、改正後と同様に、残価保証額を控除せず備忘価額1円まで償却できる場合があります。


そのため、既存のリース契約についても、経過措置の適用を検討する余地があります。

ただし、届出期限や対象契約、適用事業年度の確認が必要です。会計処理や法人税申告への影響もあるため、適用する場合は早めに契約内容を確認しておきましょう。


消費税では残価保証額の取扱いは変わらない

法人税のリース期間定額法は見直されましたが、消費税の取扱いは変わりません。


消費税では、残価保証額が付された所有権移転外ファイナンス・リース取引であっても、リース資産の引渡し時における課税仕入れの対象は、原則として契約書等において授受することとされているリース料総額です。


つまり、法人税上の償却限度額の計算で残価保証額相当額を含めた取得価額を使う場合であっても、その金額全体が消費税の課税仕入れになるわけではありません。


消費税では、リース開始時点では残価保証額は資産の譲渡等の対価に含まれません。

このため、リース取引を開始した課税期間に借手が仕入税額控除の対象にできる金額は、法人税の償却計算上の取得価額ではなく、残価保証額を控除したリース料総額となります。


法人税と消費税で金額がズレる

今回の改正後は、法人税と消費税で参照する金額が異なることになります。


法人税では、残価保証額を含めた取得価額を基に償却限度額を計算します。一方、消費税では、リース開始時の課税仕入れは、残価保証額を除いたリース料総額です。


そのため、会計ソフトや税務申告ソフトで、法人税上の取得価額をそのまま消費税の課税仕入れに連動させてしまうと、仕入税額控除を過大に計上するおそれがあります。

残価保証付リース資産については、法人税の償却計算用の取得価額と、消費税の仕入税額控除の対象額を分けて管理する必要があります。


リース終了時の精算金は消費税の課税仕入れになる

では、残価保証額に基づいて、リース期間終了時に借手が精算金を支払うことになった場合はどうなるのでしょうか。


リース期間終了時に、リース資産の処分価額が契約で定められた残価保証額を下回り、借手が貸手に不足額を支払う場合、その精算金は、支払うべき金額が確定した課税期間において課税仕入れとなります。


つまり、リース開始時点では残価保証額は仕入税額控除の対象になりません。しかし、リース終了時に実際に精算金の支払いが確定した場合には、その確定した課税期間で仕入税額控除の対象になります。


この点も、法人税と消費税の処理を分けて考える必要があるポイントです。


具体例で確認

次のような例を考えてみましょう。

  • リース資産の取得価額:100万円

  • 取得価額に含まれている残価保証額:20万円

  • リース期間終了時の処分価額:10万円

  • 精算金:10万円

  • リース期間:5年


この場合、改正前の法人税では、取得価額100万円から残価保証額20万円を控除した80万円を基に償却限度額を計算します。リース期間が5年であれば、1年あたりの償却限度額は16万円です。合計の償却費は80万円となります。


一方、改正後の法人税では、残価保証額20万円を控除せず、取得価額100万円を基に償却します。リース期間5年であれば、1年あたり20万円ずつ償却し、合計100万円、正確には備忘価額1円を残した999,999円まで償却することになります。


消費税では改正前後で合計90万円

同じ例で消費税を確認すると、リース資産の譲渡があった課税期間に、仕入税額控除の対象となるのはリース料総額80万円です。


これは、取得価額100万円から残価保証額20万円を控除した金額です。

その後、リース期間終了時に処分価額10万円となり、残価保証額20万円との差額である10万円を精算金として支払う場合、その10万円は、支払うべき金額が確定した課税期間の課税仕入れとなります。


したがって、消費税で仕入税額控除の対象となる課税仕入れは、当初80万円と終了時精算金10万円を合わせた90万円です。


この合計90万円という消費税上の取扱いは、法人税の改正前後で変わりません。


改正後に起こりやすいミス

今回の改正後に実務で起こりやすいミスは、法人税上の取得価額100万円を、そのまま消費税の課税仕入れとして処理してしまうことです。


改正後の法人税では、取得価額100万円を基に償却できるため、帳簿上のリース資産計上額も100万円になることがあります。


しかし、消費税では、当初の課税仕入れは80万円です。残価保証額20万円は、リース開始時点では課税仕入れに含まれません。


もし100万円全額をリース開始時に課税仕入れとして処理すると、20万円分について仕入税額控除を過大に計上することになります。


会計ソフトの消費税区分に注意

会計ソフトでリース資産を登録する場合、法人税上の取得価額と消費税区分が自動連動していることがあります。


残価保証付リース資産について、取得価額全額を課税仕入れとして設定してしまうと、消費税申告に誤りが出る可能性があります。実務上は、次のような対応が必要になることがあります。

  • 法人税上の取得価額は残価保証額込みで登録する

  • 消費税の課税仕入れはリース料総額部分のみとする

  • 残価保証額相当額はリース開始時点では課税対象外として管理する

  • リース終了時に精算金が確定した場合、その課税期間で課税仕入れにする

  • リース契約書でリース料総額と残価保証額を確認する


会計ソフトの設定だけに任せず、契約書の内容を確認して税区分を判断することが重要です。


短期リース・少額リースの場合

短期リースや少額リースに該当し、支払いに応じてリース料として経理処理している場合には、消費税についても分割控除が可能とされています。


また、新リース会計基準の適用対象外である中小企業等については、賃貸借処理により分割控除が可能な場合があります。


つまり、すべてのリース取引について、一律にリース開始時にまとめて仕入税額控除を行なうわけではありません。


自社の会計処理、リース契約の内容、短期・少額リース該当性、新リース会計基準の適用有無などを確認する必要があります。


中小企業等は賃貸借処理も確認

中小企業等では、新リース会計基準の適用対象外となるケースがあります。


この場合、会計上は従来どおり賃貸借処理を行い、支払リース料を費用処理する実務も考えられます。消費税についても、賃貸借処理により支払いに応じて分割控除する取扱いが可能な場合があります。


そのため、残価保証付リース資産の処理を検討する際には、自社が新リース会計基準の適用対象なのか、中小企業等として賃貸借処理を継続するのかを確認することも大切です。


実務で確認すべき契約書のポイント

残価保証付リース資産については、リース契約書の確認が欠かせません。

特に、次の事項を確認しておきましょう。

  • 所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するか

  • リース資産の取得価額

  • リース料総額

  • 月額リース料

  • リース期間

  • 残価保証額の有無

  • 残価保証額の金額

  • リース期間終了時の精算条項

  • 処分価額が保証額を下回った場合の精算方法

  • 短期リース・少額リースに該当するか


法人税の償却計算だけを見て処理すると、消費税の課税仕入れの金額を誤る可能性があります。リース契約書から、リース料総額と残価保証額を分けて把握することが重要です。


まとめ

新リース会計基準に伴う令和7年度税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産について、法人税のリース期間定額法が見直されました。


令和9年4月1日以後に締結された契約に係るリース資産については、取得価額に含まれる残価保証額を控除せず、リース期間経過時点に備忘価額1円まで償却できます。また、一定の届出を行うことで、令和9年4月1日前に締結した契約についても、改正後と同様の取扱いを受けられる経過措置があります。


一方、消費税では、残価保証額の取扱いは変わりません。残価保証額が付された所有権移転外ファイナンス・リース取引であっても、リース資産の引渡し時における課税仕入れは、原則としてリース料総額です。リース開始時点では、残価保証額は資産の譲渡等の対価に含まれず、仕入税額控除の対象にもなりません。


たとえば、リース資産の取得価額100万円、残価保証額20万円、リース期間終了時の処分価額10万円、精算金10万円、リース期間5年のケースでは、改正後の法人税では取得価額100万円を基に償却します。しかし、消費税では、リース開始時にリース料総額80万円を課税仕入れとし、リース終了後に精算金10万円が確定した課税期間で課税仕入れに計上します。消費税で仕入税額控除の対象となる課税仕入れは、合計90万円です。


法人税と消費税で処理が異なるため、残価保証付リース資産については、取得価額、残価保証額、リース料総額、精算金を分けて管理することが重要です。会計ソフトの自動処理に頼りすぎず、リース契約書を確認したうえで、法人税の償却計算と消費税の仕入税額控除を正しく区分しましょう。


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