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パーティーの飲食費は交際費になる? 10,000円基準の判定方法を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 10 時間前
  • 読了時間: 6分

おはようございます!代表の安田です。


取引先との会食だけでなく、同業者団体のパーティーや懇親会、各種交流会に社員が参加する機会は少なくありません。このような場面で実務上よく問題になるのが、その飲食費が交際費等に該当するのか、それとも10,000円基準により交際費等から除外できるのかという点です。


特に、パーティー形式の会合では、主催者が一律の参加費を設定していても、実際の料理内容や会場のグレード、参加人数の把握状況によって、経理処理に迷うことがあります。また、参加者ごとに負担額が違うケースもあり、「自社が支払った金額が10,000円を超えているから交際費になるのではないか」と判断してしまうこともあります。


しかし、交際費の10,000円基準は、単純に会社が負担した金額だけで判定するものではないため、正しい考え方を押さえておくことが大切です。


今回は、パーティーの飲食費と交際費の関係について、税務上の10,000円基準を中心に実務対応のポイントを解説します。


1.パーティーの飲食費は「1人当たり」で判定するのが原則

交際費等から除外できるかどうかを判断する際、基本になるのは1人当たりの飲食費です。そして、その1人当たり金額は、通常、実際に各人がいくら負担したかではなく、飲食費の総額を参加人数で割って計算します。


たとえば、同業者団体のパーティーに複数人が参加していて、

  • ある人は11,000円負担

  • ある人は9,000円負担


というように個別の負担額に差があったとしても、税務上はそこだけを見て判定するわけではありません。


重要なのは、会全体の飲食費総額を参加人数で割った結果、1人当たり10,000円以下かどうかです。この基準を満たすのであれば、個々の負担額にばらつきがあっても、交際費等の額から除外できる可能性があります。


2.「自分が払った額」だけで判断しないことが大切

実務では、領収書や請求書に記載された自社負担額だけを見て処理したくなります。しかし、パーティーや懇親会のようなケースでは、その金額だけで交際費かどうかを決めると、誤った判断になることがあります。


たとえば、自社の社員が参加費として1人11,000円を支払っていたとしても、会場全体の飲食費総額と参加人数から計算した結果、1人当たり飲食費が10,000円以下であれば、交際費等から除外できる余地があります。


つまり、税務上のポイントは、「誰がいくら払ったか」よりも、「その飲食の実態として1人当たりいくらだったか」にあるということです。


3.費用総額が分からない場合はどうする?

もっとも、外部団体が主催するパーティーでは、主催者から飲食費の総額や参加人数の詳細が通知されないことも珍しくありません。そのような場合に、いちいち主催者へ確認しなければならないのかというと、資料では、必ずしもそこまで求められるわけではないとされています。

資料によると、

  • 費用総額の通知がない

  • その飲食等に要する1人当たり費用がおおむね10,000円程度に収まると想定される

という場合には、実際に負担した金額をもって判定することができるとされています。


この取扱いは、実務上かなり重要です。外部主催の会合について、すべて厳密な総額把握を求めるのは現実的でないため、一定の合理的判断が認められているといえます。


4.“おおむね10,000円程度”はどう判断するのか

ここで気になるのが、「おおむね10,000円程度」とは具体的にどのくらいかという点です。この判断にあたっては、一般的な相場、開催場所、提供された食事の内容等を勘案して、参加者が判断して差し支えないとされています。


つまり、形式的に数字だけで判断するというより、実態に即して考えることが重要です。たとえば、

  • 開催場所が一般的な会場か高級ホテルか

  • 立食形式かフルコース形式か

  • 飲食内容が軽食中心か本格的な会食か

といった事情を見ながら、1人当たりの飲食費が概ねどの水準かを考えることになります。

そのため、たとえネット上で確認した会場のコース料理が10,000円をわずかに超えていたとしても、直ちに交際費等にしなければならないとは限らないという整理になります。


5.経理処理で残しておきたい証拠資料

資料では、経理処理の際、パーティー会場となった飲食店等を通常利用した場合の1人当たり金額を、ネット等で検索して印刷し、領収書とともに保存しておくとよいとされています。


これは非常に実務的なポイントです。税務調査では、「なぜこの支出を交際費等から除外したのか」という説明が必要になることがあります。その際に、単に担当者の記憶や口頭説明だけでは弱く、客観的な参考資料を残しているかどうかで説明のしやすさが変わります。


たとえば、次のような資料を保存しておくと有効です。

  • 領収書

  • 案内状や参加申込書

  • 会場名や開催場所が分かる資料

  • 会場の料金相場を確認したWebページの印刷

  • 提供メニューやコース内容が分かる情報

  • 参加人数が分かるメモや資料


こうした記録を残しておくことで、“おおむね10,000円程度”と判断した根拠を後から説明しやすくなります。


6.実務でよくある誤解

誤解1:会社が払った金額が10,000円を超えたら即交際費

必ずしもそうではありません。原則は、飲食費総額÷参加人数で1人当たり金額を判定します。


誤解2:総額が分からないなら10,000円基準は使えない

これも誤りです。資料では、費用総額の通知がなく、1人当たり費用がおおむね10,000円程度に収まると考えられる場合には、実際の負担額で判定できるとされています。


誤解3:10,000円を少しでも超えたら完全にアウト

“10,000円以下”ではなく、“10,000円程度”という考え方が示されています。

そのため、相場や内容から見てわずかな超過にすぎない場合まで、一律に交際費等としなければならないわけではありません。


7.パーティーの飲食費を処理するときの実務ポイント

パーティーや懇親会の飲食費を処理する際は、次の点を確認しておくと安心です。


①まずは総額と参加人数が把握できるか確認する

把握できるなら、原則どおり総額÷参加人数で判定します。


②総額が分からない場合は、実態から“おおむね5,000円程度”かを検討する

会場の格、料理内容、一般的な相場などから合理的に判断します。


③判断根拠を資料として残す

Web検索結果、案内資料、会場情報などを保存しておくと、後日の説明に役立ちます。


④一律処理にしない

同じ「パーティー費用」でも、会の性質や場所、内容によって判断は変わります。毎回同じ処理にせず、内容ごとに確認することが大切です。


8.まとめ

パーティーや懇親会の飲食費について10,000円基準を適用する際は、原則として実際の個別負担額ではなく、飲食費総額を参加人数で割った1人当たり金額で判定します。また、費用総額の通知がない場合でも、1人当たり費用がおおむね10,000円程度にとどまると考えられるときは、実際の負担額を用いて判定できるとされています。


さらに、実務では“10,000円以下”という機械的な線引きではなく、一般的な相場や開催場所、食事内容などを踏まえた合理的判断が重要です。そのため、経理処理にあたっては、領収書だけでなく、会場の料金相場など客観資料も一緒に保存しておくことが、税務リスクの低減につながります。


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