令和8年度税制改正で高所得者特例が拡大へ|富裕層の所得税負担はどう変わる?
- 安田 亮
- 2 時間前
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おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正では、いわゆる高所得者特例の見直しが盛り込まれました。
これは、極めて高い水準の所得に対して追加的な所得税負担を求める仕組みで、今回の改正では対象者の範囲拡大と負担水準の引上げが大きなポイントです。
現行制度で約200人と見込まれている対象者が、改正後は約2,000人規模まで増える可能性があるとされています。
富裕層やオーナー経営者、株式や資産の譲渡を予定している方にとっては、今後の税負担を考えるうえで見逃せない改正といえるでしょう。
高所得者特例とは何か
高所得者特例は、税負担の公平性を確保するために導入された制度です。
令和5年度税制改正で導入された措置であり、基準所得金額が3億3,000万円を超える場合に、一定の算式に基づいて追加の所得税が課される仕組みとされています。
基準所得金額は、総所得金額に加え、分離課税の各種所得金額を合計したものです。
また、基準所得税額は、申告書上の所得税額と一定の源泉徴収税額を合計したものとされています。
令和8年度税制改正で何が変わるのか
今回の見直しでは、主に次の2点が示されています。
1. 特別控除額の引下げ
現行では3億3,000万円とされている特別控除額が、改正後は1億6,500万円へ引き下げられる見込みです。つまり、課税対象となる範囲が広がり、これまで対象外だった高所得者にも影響が及ぶ可能性があります。
2. 適用税率の引上げ
現行の22.5%から、改正後は30%へ引き上げることが示されています。
この変更により、対象者は増えるだけでなく、対象となった場合の追加負担額そのものも大きくなる可能性があります。
対象者はどの程度広がるのか
現行措置の対象者が約200人と見込まれているのに対し、改正後は約2,000人程度に拡大する可能性があるとされています。これは単純にみても約10倍規模であり、制度の影響が一部の超富裕層だけではなく、より広い高所得者層へ及ぶことを意味します。
特に、上場株式の譲渡益、会社売却によるキャピタルゲイン、多額の配当所得などがある方は、従来以上に慎重な税額試算が必要になりそうです。
いつから適用されるのか
この改正は、令和9年分以後の所得税から適用されるとされています。そのため、令和8年中に生じる所得か、令和9年以後に生じる所得かによって、適用されるルールが変わる可能性があります。
令和8年中の譲渡等には現行ルール、令和9年以後の譲渡等には改正後ルールが適用されます。
株式譲渡や資産売却を予定している方の注意点
今回の改正で特に注意したいのが、譲渡や契約締結のタイミングです。
資産の「譲渡の日」は原則として引渡日とされる一方、売買契約等の効力発生日を譲渡日とする取扱いもあります。したがって、令和8年中に引渡しを行なう場合や、同年中に譲渡契約等を締結する場合には、現行措置が適用されるケースも考えられます。
これは、株式譲渡や不動産売却、事業承継に伴う持分移転などを予定している方にとって、手続の時期が税負担に直結し得ることを意味します。単に「売却するかどうか」だけではなく、いつ契約し、いつ引き渡すかまで含めて検討することが重要です。
実務上のポイント
高所得者特例の見直しは、富裕層に対する課税強化という側面だけでなく、実務上は次のような論点につながります。
株式譲渡や資産売却の実行時期の再検討
令和8年・令和9年をまたぐ所得発生時期の整理
所得区分ごとの税負担シミュレーション
オーナー経営者の出口戦略や資産管理の見直し
特に、一時的に大きな所得が発生する年は、通常の累進課税だけでなく、この特例による上乗せ負担まで含めて検討しなければ、想定外の納税額になるおそれがあります。
まとめ
令和8年度税制改正では、高所得者特例について、
特別控除額が3億3,000万円から1億6,500万円へ引下げ
税率が22.5%から30%へ引上げ
対象者が約200人から約2,000人規模へ拡大の可能性
適用は令和9年分以後の所得税から
という大きな見直しが予定されています。
高所得者やオーナー経営者、株式・不動産などの資産譲渡を検討している方にとっては、改正内容そのものだけでなく、譲渡時期や契約時期の判断がこれまで以上に重要になります。
早い段階で税額シミュレーションを行い、適切なスケジュール設計を進めることが大切です。




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