top of page

国税庁のオンライン調査はどう変わる?GSS全国展開で税務調査の対応実務を解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6月12日
  • 読了時間: 5分

おはようございます!代表の安田です。


近年、行政手続のデジタル化が進むなかで、税務の現場でもオンライン対応が広がりつつあります。今回、国税庁が進めるGSS(ガバメントソリューションサービス)の全国展開により、法人・個人を問わず、税務調査や行政指導などでオンラインツールが使われる場面が今後さらに増えていく見込みです。


税務調査というと、税務署の担当者が来訪して資料を確認する、あるいは納税者や税理士が税務署へ出向くというイメージを持つ方も多いかもしれません。


しかし、今後は連絡手段や資料授受、打ち合わせの方法が変わり、「オンラインで進む税務調査」がより身近なものになっていく可能性があります。


GSSとは何か

GSSは、政府共通の業務実施環境として整備が進められている仕組みです。添付資料によれば、国税庁はこのGSSの導入に伴い、必要に応じて全税目の税務調査等でオンラインツールを活用する方針です。対象は法人税だけに限られず、個人の税務調査等も含まれます。


これは単なる連絡方法の変更にとどまらず、税務行政の実務運営そのものに影響する動きといえます。納税者側としても、従来の紙・対面中心の対応だけでなく、デジタル環境を前提とした準備が求められる場面が増えていくでしょう。


国税庁のオンライン調査はいつから全国展開されるのか

添付資料では、金沢国税局と福岡国税局ではすでに先行して導入が進んでおり、その後、その他の国税局等でも令和8年4月から6月にかけて順次導入される予定とされています。特に、東京国税局、大阪国税局、広島国税局は令和8年5月11日、関東信越国税局は5月25日、高松国税局は6月1日、札幌国税局は6月8日と示されています。


首都圏や大都市圏の法人では、税務署や国税局とのやり取りがオンライン化される影響を比較的早い段階で受ける可能性があります。そのため、顧問税理士がいる企業はもちろん、自社経理で対応している会社でも、事前に体制を整えておくことが重要です。


オンライン調査で使われるツール

資料によると、オンライン調査等では次のようなツールが利用されます。


まず、日常的な連絡手段としてインターネットメールが使われます。

また、打ち合わせや説明の場面ではMicrosoft TeamsによるWeb会議が活用されます。

さらに、大容量データの送受信にはPrimeDriveとされるオンラインストレージサービスが用いられ、必要に応じてMicrosoft Formsによるアンケートや回答フォームの利用も想定されています。


この点からみても、今後の税務調査対応では、単に帳簿や証憑を揃えるだけでなく、電子データを適切に管理し、迅速に提出できる体制がますます重要になると考えられます。


納税者や税理士が知っておきたい注意点

もっとも、オンライン調査は希望すれば必ず利用できるわけではありません。添付資料では、オンラインツールの利用は、国税当局が効率的な税務調査等の実施に資すると判断した場合に行われるとされており、納税者や税理士がオンライン対応を希望しても、事案によっては対面で実施されることがあります。


また、オンラインツールを利用するためには、事前に所轄税務署等ごとのフォームから同意事項への同意やメールアドレスの登録が必要とされています。したがって、実際の調査開始後に慌てないためにも、顧問税理士と連携しながら、連絡先やデータ授受方法をあらかじめ整理しておくことが大切です。


実務で準備しておきたいこと

オンライン調査の活用が進むなかで、企業や個人事業主が準備しておきたいポイントはいくつかあります。


まず重要なのは、会計資料や証憑の電子化・整理です。紙で保管している資料が多い場合、調査時にスキャンやPDF化の手間が発生し、対応が後手に回るおそれがあります。請求書、領収書、契約書、総勘定元帳などを、必要に応じてすぐ提出できる状態にしておくことが望ましいでしょう。


次に、オンライン会議に対応できる環境整備も欠かせません。Teamsを使った面談や説明が想定される以上、通信環境、マイク、カメラ、社内の対応スペースなども実務上の準備事項になります。


さらに、税務調査対応では、資料を出すだけではなく、どの資料を、どの順番で、どのような説明とともに提出するかが重要です。オンラインの場合は対面よりも細かなニュアンスが伝わりにくいこともあるため、顧問税理士を交えて整理しておくことで、スムーズな対応につながります。


税理士が関与する意義は今後さらに高まる

オンライン調査が普及すると、「非対面だから簡単になる」と考えられがちですが、実際にはそう単純ではありません。資料の選別、提出形式、説明のタイミング、追加照会への対応など、むしろ事前準備とコミュニケーション設計の重要性は高まります。


特に、法人税、消費税、源泉所得税など複数税目が関係する場合や、役員報酬、交際費、外注費、売上計上時期など争点になりやすい論点がある場合には、オンラインであっても専門家の関与が不可欠です。税理士が間に入ることで、必要資料の整理、説明方針の統一、不要な誤解の回避につながります。


まとめ

国税庁のGSS全国展開により、税務調査や行政指導の現場では、今後オンラインツールの利用が本格化していく見込みです。メール、Teams、オンラインストレージ、Formsなどを活用したやり取りが増えることで、納税者や税理士にも新しい対応力が求められます。


とくに、東京・大阪などの主要エリアでは令和8年5月頃から導入が進む予定とされており、税務調査のオンライン化はすでに現実的なテーマです。


今後は、帳簿や証憑の電子管理、オンライン面談への対応環境、税理士との連携体制を整えておくことが、スムーズな税務対応のカギになるでしょう。


神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page