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少額減価償却資産の特例は「従業員数」で結果が変わる?

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5 時間前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


中小企業の設備投資でよく使われる制度が、いわゆる「30万円未満の少額減価償却資産の特例」です。この特例は便利な一方で、適用できるかどうかは資本金だけでなく「従業員数」にも左右されます。しかも、従業員数は期中に増減しやすく、判定のタイミングを誤ると、想定していた損金算入ができないリスクがあります。


本日は、少額減価償却資産特例の従業員基準の判定方法と、令和8年度改正で予定されている見直しの方向性も含め、実務ポイントを整理します。


1. そもそも少額減価償却資産の特例とは

取得価額30万円未満の減価償却資産について、中小企業者等が一定の要件を満たす場合に、当期に損金算入できる特例があります(措法67の5)。

この特例の適用には、資本金基準と従業員基準を満たす必要があります。


2. 適用要件 資本金基準と従業員基準

特例の対象となる中小企業者等は、青色申告法人で資本金1億円以下であることが必要です(資本金基準)。加えて、常時使用する従業員数についての要件(従業員基準)も満たす必要があります。現行では原則500人以下(特定法人は300人以下)とされています。


3. 資本金基準の判定タイミング 期中増資でも過去取得分は守られることがある

資本金基準は、原則として少額減価償却資産を取得等した日および事業供用した日の現況で判定します。そのため、事業年度の途中で増資して資本金1億円超になったとしても、その前に取得等して事業供用した資産については特例の対象になり得ます。


4. ここが重要 従業員基準は「期末判定」も選べる

従業員基準も原則は資本金基準と同様に、取得等した日および事業供用した日の現況で判定します。ただし、従業員数は資本金より変動しやすいことを踏まえ、従業員基準は事業年度終了の日でも判定できる取扱いがあります。


この結果、同一事業年度の中で従業員数が500人以下の期間と500人超の期間が混在していたとしても、期末時点で従業員基準を満たせば、その事業年度に取得等して事業供用した30万円未満資産について特例を適用できる可能性があります。


実務的には、期中の人員増で一時的に500人超となっても、期末時点で500人以下に戻るようなケースでは、この「期末判定」が効いてくることがあります。


5. 令和8年度改正で予定されている見直し 金額と従業員数の基準が変わる

令和8年度税制改正では、制度の趣旨である事務負担の軽減と物価上昇への対応の観点から、次の見直しが予定されています。

  • 適用期限を令和11年3月31日まで延長

  • 対象資産の取得価額を40万円未満に引上げ

  • 従業員基準を400人以下へ引下げ(特定法人は300人以下は維持)

設備投資の計画がある会社は、令和8年4月以降の購入タイミングや、従業員数の推移によって適用可否が変わる可能性があります。


6. 実務のチェックポイント

1)資産ごとの判定日を意識する取得日と事業供用日がズレると、判定の基準日もズレます。固定資産台帳や稟議書で日付を揃えておくことが大切です。


2)従業員数は期末の着地を見込んで管理する期中の一時的増減がある会社ほど、期末判定を使うべきか検討余地があります。


3)改正で400人基準になる前提でシミュレーション現行500人以下でギリギリ運用している企業は、改正後に対象外となる可能性があります。


まとめ 少額資産特例は「従業員数の判定タイミング」がカギ

少額減価償却資産の特例は、資本金基準と従業員基準の両方を満たす必要があります。資本金基準は取得日・供用日判定が原則ですが、従業員基準は期末判定もできるため、期中に500人超の期間があっても期末で要件を満たせば適用できるケースがあります。


また、令和8年度改正では取得価額が40万円未満に引き上げられる一方、従業員基準は400人以下へ引き下げが予定されています。設備投資を予定している企業は、購入時期と従業員数の着地を踏まえた事前確認が重要です。


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