防衛特別法人税の申告書が公表|別表一次葉一の追加と0円申告の注意点を税理士が解説
- 安田 亮
- 18 時間前
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こんにちは!代表の安田です。
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税申告実務に新たな税目として防衛特別法人税が加わります。これに伴い、法人税申告書の様式も変更されることになりました。
国税庁は令和8年5月8日、「法人税申告書別表一等の記載項目の追加等について」を公表しました。これは、防衛特別法人税の適用開始に合わせ、法人税申告書別表一に新たな記載欄を追加する内容です。具体的には、令和8年4月1日以後終了事業年度等分の別表一の次葉一に、防衛特別法人税額の計算欄が追加されています。
今回は、防衛特別法人税の基本的な仕組みと、新しい申告書様式で注意すべきポイントを、税理士の視点から整理して解説します。
防衛特別法人税とは?
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する各事業年度から適用される新しい税目です。防衛特別法人税の課税対象は、各課税事業年度の基準法人税額とされています。これは、所得税額控除等の適用前の法人税額を基礎とするものです。
税額は、基準法人税額から基礎控除額を差し引いた課税標準法人税額に、税率4%を乗じて計算します。基礎控除額は年500万円とされており、通算法人については、500万円を各通算法人の基準法人税額の比で配分する取扱いが示されています。
防衛特別法人税の計算方法
資料に整理されている概要を踏まえると、防衛特別法人税は次の流れで計算します。
各課税事業年度の基準法人税額を確認する
基準法人税額から基礎控除額年500万円を控除する
控除後の課税標準法人税額に4%を乗じる
算出された金額が防衛特別法人税額となる
このため、基準法人税額が500万円以下の法人では、結果として防衛特別法人税額が生じないケースも多いと考えられます。ただし、税額が出ない場合でも、申告義務の有無とは別問題です。
原則すべての法人に申告義務がある
今回の実務上の最大の注意点は、防衛特別法人税は原則としてすべての法人に申告義務があるという点です。法人の各課税事業年度終了日の翌日から2か月以内に、所轄税務署長へ防衛特別法人税の申告書を提出する必要があると説明されています。
つまり、「防衛特別法人税額が出ないから申告不要」とはなりません。
赤字法人や、基礎控除額により課税標準法人税額が0円となる法人でも、申告書上の記載が必要になります。
別表一の構成が変わる
今回公表された様式では、法人税、地方法人税、防衛特別法人税の各申告書が一体の様式になっています。令和8年4月1日以後終了事業年度等分の法人税等の確定申告書では、別表一が次の3枚構成になります。
別表一 初葉
別表一 次葉一
別表一 次葉二
従来の次葉は次葉二に変更され、新たに防衛特別法人税額の計算欄を設けた次葉一が追加される形です。このため、申告書一式をチェックする際には、これまでの感覚で別表一を確認していると、次葉一の添付や記載を見落とす可能性があります。
税額0円でも「0」と記載して提出
防衛特別法人税は、基準法人税額から年500万円の基礎控除額を差し引いて計算するため、結果として税額が0円になる法人も多いでしょう。しかし、赤字で基準法人税額がゼロとなる場合や、基礎控除額年500万円により課税標準法人税額がゼロとなる場合でも、別表一次葉一の「防衛特別法人税額」および「防衛特別法人税額計」の各欄に「0」と記載して提出するとされています。
つまり、空欄のままにするのではなく、該当欄に0円であることを明示する必要があります。これは、申告書チェックリストや電子申告ソフトの入力確認でも重要なポイントです。
様式イメージから見る実務上の注意点
法人税申告書別表一次葉一の様式イメージを見ると、左側に「この申告による防衛特別法人税額の計算」として、防衛特別法人税額、控除額、差引額、還付金額などの欄が並び、右側にも課税標準法人税額や基礎控除額、税率4%に関する計算欄が設けられています。
また、下部には「別表一次葉二へ続きます」と示されており、防衛特別法人税の計算欄が、従来の別表一の流れに組み込まれていることが分かります。
この様式変更により、税理士事務所や経理担当者は、申告書の枚数確認だけでなく、次葉一から次葉二への流れも含めて確認する必要があります。
いつの事業年度から注意すべきか
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する各事業年度から適用されます。
一方で、今回の申告書様式は、令和8年4月1日以後終了事業年度等分として公表されています。そのため、法人の決算期によって、実際に防衛特別法人税の申告対象となるタイミングは異なります。
3月決算法人では、令和8年4月1日開始事業年度から防衛特別法人税の対象になるため、令和9年3月期の申告で本格的な対応が必要になると考えられます。決算期ごとに、いつから対象になるかを早めに整理しておくことが大切です。
大胆な設備投資促進税制の別表は今後公表予定
今回の資料では、防衛特別法人税以外の令和8年度税制改正対応の別表様式も公表されているとされています。ただし、「別表六(二十七) 特定生産性向上設備等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」については、現時点で作成中とされ、改正産業競争力強化法の施行後に公表される予定と説明されています。
この別表は、いわゆる大胆な設備投資促進税制に関係するものです。設備投資税制を検討している法人では、防衛特別法人税の様式対応だけでなく、今後公表される別表にも注意が必要です。
税理士事務所として見直したいチェック項目
防衛特別法人税の申告書対応に向けて、税理士事務所や経理部門では、次のような項目をチェックリストに追加しておくと安心です。
まず、対象事業年度に該当するかを確認することです。次に、基準法人税額、基礎控除額、課税標準法人税額、税率4%の計算を確認します。
さらに、税額が0円の場合でも、別表一次葉一に0円記載がされているかを確認する必要があります。また、申告書一式として、別表一 初葉・次葉一・次葉二の3枚構成になっているかも重要です。
電子申告ソフトを利用する場合でも、初年度は様式追加に伴う入力漏れやプレビュー確認漏れが起きやすいため、通常より慎重に確認したいところです。
顧問先に説明しておきたいポイント
顧問先様には次の点を説明しておきたいです。
令和8年4月1日以後開始事業年度から、防衛特別法人税という新しい税目が始まる
法人税額が一定額以下であれば、税額は0円になることも多い
ただし、税額0円でも原則として申告書への記載と提出が必要
法人税申告書の別表一に新しいページが追加される
初年度は申告書の記載漏れ・添付漏れに注意が必要
特に中小企業では、「どうせ税額は出ないから関係ない」と思われやすいため、申告義務はあるという点を丁寧に説明することが大切です。
まとめ
国税庁は令和8年5月8日、防衛特別法人税に対応した法人税申告書別表一等の記載項目の追加等に関する通達を公表しました。防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する各事業年度から適用され、基準法人税額から基礎控除額年500万円を控除した課税標準法人税額に税率4%を乗じて計算します。
原則としてすべての法人に申告義務があり、各課税事業年度終了日の翌日から原則2か月以内に申告書を提出する必要があります。申告書様式では、別表一の次葉一に防衛特別法人税額の計算欄が追加され、令和8年4月1日以後終了事業年度等分の法人税等の確定申告書は、別表一 初葉・次葉一・次葉二の計3枚構成になります。
税額が生じない場合でも、「防衛特別法人税額」および「防衛特別法人税額計」の各欄に0と記載して提出する点に注意が必要です。
防衛特別法人税は、税額が発生しない法人でも申告実務に影響します。令和8年度改正対応の初年度は、別表一次葉一の記載漏れ・添付漏れを防ぐため、申告書チェック体制を早めに整えておきましょう。




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