法定監査とは? 税務調査との違いと法定調書で注意すべきポイントを税理士が解説
- 安田 亮
- 2 日前
- 読了時間: 6分
おはようございます!代表の安田です。
会社経営や経理実務に携わっていると、税務署からの連絡に敏感になるものです。その中でも、ある日突然「法定監査の日程調整をしたい」と連絡が入ると、「税務調査が来るのではないか」「何か大きなミスを疑われているのではないか」と不安になる方も少なくありません。
しかし、法定監査は、一般にイメージされる税務調査とは性質が異なります。添付資料でも、法定監査は「監査」という言葉が付くものの、税務調査とは似て非なるものと整理されています。
本日は、法定監査とは何か、税務調査との違い、そして法定調書の提出実務で注意したいポイントを、税理士の視点でわかりやすく解説します。
1.法定監査とは何か
法定監査は、税務職員等の質問検査権に基づいて行なわれる確認です。
対象となるのは、所得税法や相続税法など、各税法に基づく法定調書の提出者であり、過去に提出した調書に誤りや不備がないかを確認するために実施されます。
つまり、法定監査は申告内容そのものを直接見に来るというより、法定調書の提出が適切に行なわれているかを点検する手続と理解するとわかりやすいでしょう。
2.税務調査との違い
法定監査で最も誤解されやすいのが、税務調査と同じものではないという点です。
法定監査の趣旨は、法令に基づく調書提出が適切に履行されているか否かを確認することにあると示されています。
そのため、仮に提出した法定調書に不足や金額計算の誤りがあったとしても、その事実だけを根拠に更正処分や加算税が課されるものではないと整理されています。
ここは大きな安心材料です。税務調査のように、申告漏れを前提に追及するというより、今後の提出ミスを減らすための確認という性格が強いわけです。
3.法定監査の目的は「今後のミス防止」
法定監査について、あくまで過去分のチェックを通じて今後のミスを減らしていくスタンスと説明されています。つまり、過去の法定調書を点検しながら、
提出漏れがなかったか
記載内容に不備がなかったか
制度改正に適切に対応できていたか
を確認し、今後の事務処理の精度を上げていくための機会として位置付けられているわけです。この意味では、法定監査は単なるチェックではなく、法定調書実務を見直すきっかけにもなります。
4.法定監査の連絡はいつ来るのか
法定監査が行なわれる場合、通常は1~2週間前に日程調整の連絡があるケースが多いとされています。
そのため、突然当日に来訪するような税務調査のイメージとは少し異なり、比較的事前準備の余地があるといえます。実務上は、この連絡を受けた時点で、過去に提出した法定調書や社内控えを整理し、確認しやすい状態にしておくことが重要です。
5.どのような場合に対象になりやすいのか
法定監査の対象となり得る要因の一例として、次のようなものが挙げられています。
例年よりも明らかに提出調書が少ない
同業他社の業態や規模と比べて提出調書の量に差がある
たとえば、従来は一定数提出していた法定調書が急に減っていたり、同規模・同業種の会社と比較して極端に提出枚数が少なかったりすると、提出漏れや判断誤りが疑われるきっかけになり得ます。
6.ただし、特定の会社だけを狙うものではない
ここも大切なポイントです。法定監査は特定の事業者だけに当たりを付けて行なうものではないとされています。
実際には、業態によって法定調書の種類が多く、提出漏れが起こりやすいケースもありますし、制度改正で新たな法定調書が増えたり、提出省略基準が見直されたりすることもあります。そのため、そうした制度変更への周知徹底も含めて、対象が偏らないよう均一的に監査を行うのが大前提だと整理されています。
つまり、法定監査の連絡があったからといって、直ちに「何か重大な問題を疑われている」と考える必要はありません。
7.マイナンバーも確認項目の一つ
平成28年1月から法定調書の記載事項にマイナンバーが加わったことにも触れています。
そのうえで、法定監査においても、マイナンバーは制度変更に伴って確認する記載事項の一つとされており、提出者に対して記載を呼び掛けていると説明されています。
つまり、現在の法定監査では、単に金額や件数だけでなく、マイナンバーの記載状況も重要な確認ポイントになっているということです。
8.法定監査で見直したい実務ポイント
法定監査をきっかけに、会社として見直しておきたいのは、法定調書の作成・提出プロセスです。特に、次のような点は確認しておくとよいでしょう。
誰が法定調書の対象者を判定しているか
支払先情報やマイナンバーの収集漏れがないか
過去の提出件数と比べて大きな差が出ていないか
同種の支払いについて提出判断が毎年一貫しているか
制度改正に応じて社内フローを更新しているか
法定監査は、提出済み調書の確認だけでなく、今後の提出実務を改善するための点検機会として活用するのが有効です。
9.実務でよくある誤解
このテーマでは、次のような誤解が起こりやすいです。
法定監査=税務調査
これは誤りです。添付資料では、法定監査は税務調査とは似て非なるものであり、法定調書の誤りや不備を確認する手続とされています。
法定監査でミスが見つかるとすぐ加算税がかかる
これも誤りです。提出調書の不足や計算誤りがあっても、その事実だけで更正処分や加算税が課されるものではないとされています。
法定監査に当たる会社は問題がある会社だけ
そうともいえません。添付資料では、対象が偏らないよう均一的に監査が行なわれるのが大前提とされています。
10.会社が確認しておきたい実務ポイント
法定監査の連絡が来た場合、あるいは今後に備える意味でも、次の点を整理しておくと安心です。
過去に提出した法定調書の控えを保存しているか
法定調書の対象となる支払先を網羅できているか
提出件数の増減に合理的な理由があるか
マイナンバーの取得・記載体制が整っているか
制度変更時に社内運用を見直しているか
法定監査は、単なる行政対応ではなく、法定調書実務の精度を見直す良い機会になります。
まとめ
法定監査は、税務調査とは異なり、法定調書の提出者に対して、過去に提出した調書の誤りや不備の有無を確認する手続です。 添付資料でも、提出調書の不足や金額計算の誤りが見つかっても、その事実だけで更正処分や加算税が課されるものではなく、今後のミスを減らすための確認という性格が強いと整理されています。
また、法定監査の対象となり得る要因としては、例年より提出調書が少ない場合や、同業他社と比較して提出量に差がある場合などが考えられる一方、特定の事業者だけを狙って行なうものではなく、制度変更時の周知も含めて均一的に実施されるとされています。 さらに、マイナンバーも確認事項の一つとして注視されている点にも注意が必要です。
法定監査は、怖がるべきものというより、法定調書の提出実務を見直すきっかけとして捉えることが大切です。日頃から提出根拠やマイナンバー管理を整えておくことで、監査時にも落ち着いて対応しやすくなります。
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