top of page

役員報酬の「自主返納」はOK?――定期同額給与との関係

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2025年5月10日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月27日

おはようございます!代表の安田です。


物価高やトランプ関税などの影響を受け、企業経営に大きな影響が出てきております。

経営層自らが報酬を返納し、会社の財務状況の立て直しに貢献するケースも考えられます。


ここで気になるのが、役員報酬の返納が税務上どう扱われるのか?という点です。特に「定期同額給与」の制度との関係を正しく理解しておくことが大切です。


■定期同額給与とは?その基本

「定期同額給与」とは、法人税法上、損金算入が認められる役員報酬の形の一つで、原則として1ヵ月以内の一定の間隔で、かつ金額が毎回同じである給与をいいます​。

もし期中に給与の金額を変更したい場合は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります:

  1. 期首から3ヵ月以内に行われる定時改定

  2. 臨時的なやむを得ない事情による改定(臨時改定)

  3. 業績悪化による改定

これらに該当しない減額や増額は、損金算入が認められなくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。


■返納という手段もある

上記のような正規の改定に該当しない場合でも、「返納」という選択肢があります。これは、いったん支給された役員報酬を、自主的に会社に戻すというものです。

この方法であれば、支給額自体に変更はないため、「定期同額給与」としての要件を維持することができます。すなわち、損金算入の要件を満たしつつ、実質的には経営支援としての報酬返上が可能となるわけです。


■ただし注意点も…

返納による調整には以下の点に留意する必要があります。

  • 源泉所得税や社会保険料は返納の有無にかかわらず課される

    報酬は一度「支給」された扱いになるため、給与としての税務処理は変わりません。

  • 返納額は会社側で「雑収入」として計上

    返納された金額は、法人側の会計処理上「収入」として取り扱います。

  • 返納の経緯や金額は文書で明確に残すことが望ましい

    後の税務調査などに備え、返納の趣旨や内容を明記した合意書や役員会議事録などがあると安心です。


■まとめ

業績悪化などを背景とした役員報酬の見直しは、慎重に行なう必要があります。制度上の定めを無視して変更すると、損金算入が認められなくなり、法人税の負担増につながるおそれもあります。

一方で、「返納」という手段を上手く活用すれば、制度を守りながら柔軟な対応が可能です。税務リスクを避けつつ、経営上の判断を反映させる手段として、覚えておいて損はありません。


神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!


<あわせて読みたい>


【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。



神戸 税理士 確定申告 顧問契約 会社設立 freee

コメント


bottom of page