2割特例を適用できるかの判断に注意|基準期間の課税売上高の考え方
- 安田 亮
- 1月16日
- 読了時間: 4分
更新日:7月27日
おはようございます!代表の安田です。
インボイス制度の導入をきっかけに、免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)へ転換した個人事業者の方も多いのではないでしょうか。
そうした方にとって大きな関心事の一つが、「消費税の2割特例が使えるかどうか」です。
2割特例は、消費税の納税負担を大きく軽減できる制度ですが、基準期間の課税売上高の判定を誤ると、適用できないケースもあります。本記事では、2割特例の概要と、基準期間の課税売上高の考え方について、税理士の視点から分かりやすく解説します。
そもそも「2割特例」とは?
2割特例とは、インボイス制度の開始に伴い、免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者について、一定期間、消費税の納付税額を「売上に係る消費税額の2割」とすることができる特例制度です。
適用期間は、
令和5年10月1日
〜令和8年9月30日
までとされています。
2割特例の主な適用要件
個人事業者が令和7年分の消費税について2割特例を適用するためには、基準期間(令和5年分)の課税売上高が1,000万円以下であることが必要です。
ここで注意が必要なのが、「インボイス登録前の免税期間の売上も含めて判定する」という点です。
免税期間と課税期間が混在する場合の考え方
令和5年10月1日からインボイス発行事業者となった個人事業者の場合、
令和5年1月1日~9月30日:免税事業者
令和5年10月1日~12月31日:課税事業者
というように、1年の中で免税期間と課税期間が混在します。
免税事業者の期間中は消費税の納税義務はありませんが、課税売上高の判定においては、その期間の売上も含めて計算します。
免税期間の売上も「課税売上高」に含まれる理由
免税期間中に行なった取引については消費税は課されませんが、基準期間の課税売上高は、課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の額を基準として判定されます。
そのため、
免税事業者の期間の売上
課税事業者となった後の売上
を合計した金額で、1,000万円以下かどうかを判定することになります。
具体例で確認してみましょう
例えば、令和5年分の売上が次のようなケースを考えます。
免税期間(1月~9月)の課税売上高:700万円
課税期間(10月~12月)の課税売上高:400万円
この場合、令和5年分の課税売上高は合計1,100万円となり、令和7年分の消費税について2割特例は適用できません。「免税期間は関係ない」と誤解していると、誤った前提で申告を進めてしまうリスクがあります。
2割特例終了後の動きにも注意
なお、税制改正の動向として、2割特例終了後、個人事業者については納税額を売上税額の3割とする経過措置を2年間講じる案も示されています。
今後の制度変更も見据えたうえで、消費税の申告方法や事業計画を検討することが重要です。
実務で気をつけたいポイント
2割特例の適用可否を判断する際は、
基準期間の年分を正しく把握しているか
免税期間の売上を含めて計算しているか
税抜・税込の調整が正しく行なわれているか
といった点を慎重に確認する必要があります。
特に、「2割特例が使える前提で資金計画を立てていた」という場合、適用不可となると資金繰りに影響するケースもあります。
まとめ|2割特例は「基準期間の売上判定」がカギ
2割特例は、インボイス制度への移行期における重要な負担軽減措置ですが、基準期間の課税売上高の判定を誤ると適用できません。
免税期間が含まれている場合ほど、判断が難しくなります。
消費税の2割特例やインボイス制度への対応について不安がある方は、早めに税理士へ相談し、自身の状況に合った申告方法を確認することをおすすめします。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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