就活生との面談でかかった飲食費は交際費?会議費? 採用活動の税務処理を税理士が解説
- 安田 亮
- 3 日前
- 読了時間: 7分
こんばんは!代表の安田です。
新卒採用や中途採用の現場では、会社説明会の後に社員がリクルーターとして学生と面談したり、喫茶店やカフェで軽い飲食をしながら話を聞いたりする場面があります。
こうした採用活動に伴う飲食費について、経理担当者や採用担当者からよく受ける質問が、「これは交際費になるのか、それとも会議費でよいのか」というものです。
特に、会社側の社員だけでなく、就活生の分の飲食代まで会社が負担している場合には、「取引先ではないとはいえ、社外の人に飲食を提供しているのだから交際費ではないか」と迷いやすいところです。
しかし、採用活動で行なう就活生との面談は、一般的な接待や供応とは性格が異なります。添付資料でも、就活生との面談時に要した飲食費は、接待飲食費ではなく会議費として損金算入できると整理されています。
本日は、就活生との面談で要する飲食費の税務上の取扱いについて、会議費と交際費の違いを中心に解説します。
就活生との面談で発生する飲食費は、原則として会議費で考えられる
添付資料では、リクルーターが学生とコンタクトを取る際、喫茶店等で軽く飲食しながら面談をするケースについて、その飲食代は「会議費」として損金に算入することができると示されています。
これは、相手方の学生が将来社員になるかどうかは未確定であるものの、その支出が接待や供応のために行われるものとは言い難いためです。
つまり、採用面談の飲食費は、会社が相手に便宜を供与して歓待するためのものというより、採用活動の一環として行う打合せ・面談に伴う費用と考えるのが自然です。この点が、交際費ではなく会議費として扱える理由になります。
会議費には、来客との商談や打合せも含まれる
「会議費」という勘定科目から、社内会議だけを想像する方も少なくありません。しかし、添付資料では、措置法上の“会議”には、社員同士の打合せ等だけでなく、来客との商談や打合せ等も含まれると説明されています。
さらに、会議費には、会議に関連して要した茶菓や弁当の費用も含まれるとされています。
この考え方に立てば、就活生との面談で喫茶店を利用し、コーヒーや軽食を伴う打合せをした場合も、業務上の面談・打合せとして会議費に含める余地があります。採用活動も会社の事業活動の一部である以上、その中で行われる面談費用を会議費とするのは、実務上十分に整理可能です。
学生分の飲食代を会社が負担していても、直ちに交際費にはならない
実務で特に迷いやすいのが、学生本人の飲食代を会社が負担している場合です。社外の人に飲食を提供している以上、交際費処理が必要ではないかと考えたくなるかもしれません。
しかし、学生分を含む飲食代であっても、接待飲食費とすべきとは限らず、会議費として損金算入できると整理されています。
ここで大切なのは、相手が「誰か」だけではなく、その支出の目的が何かです。
就活生との面談は、取引先への歓待ではなく、採用の可否や相互理解のための情報交換の場であることが通常です。したがって、学生分を負担しているからといって、直ちに交際費にしなければならないわけではありません。
1人当たり10,000円を超えても、会議費として処理できる場合がある
交際費の論点でよく出てくるのが、1人当たり10,000円基準です。そのため、採用面談で使った飲食費が10,000円を超えると、「もう会議費ではなく交際費ではないか」と考えてしまうことがあります。
しかし、こうした飲食等に要する1人当たりの費用が10,000円を超える場合でも、会議費として損金算入することができると考えられます。
たとえば1人当たり11,000円となった場合でも、一概に交際費等とする必要はなく、会議費として処理することも可能と考えられます。
つまり、就活生との面談に伴う飲食費については、10,000円基準だけで機械的に判断するのではなく、その支出の性質自体が会議費に当たるかどうかを見ることが大切です。
交際費と会議費の違いは「目的」にある
この論点を整理するうえで重要なのは、支出の目的です。一般に交際費等は、得意先や仕入先等に対する接待、供応、慰安、贈答などを目的とする支出をいいます。一方で会議費は、業務上の打合せや商談、面談に伴って通常必要となる茶菓・飲食等を含む費用として整理されます。
就活生との面談では、会社として知ってもらいたい情報を伝えたり、学生の志望状況や希望を確認したりするのが主たる目的です。このような性格からすれば、通常は接待や歓待のための支出とは言い難く、会議費としての性格が強いといえます。
採用活動の飲食費で注意したい実務ポイント
就活生との面談に伴う飲食費を会議費として処理する場合でも、実務上は次の点を意識しておくと安心です。
① 面談の目的が分かるように記録を残す
「採用面談」「会社説明後の個別面談」「リクルーター面談」など、業務目的が分かるようにしておくことが重要です。
② 参加者を明確にする
社員側の参加者、学生名、大学名や応募区分などをメモしておくと、後から説明しやすくなります。
③ 日時・場所・金額を記録する
領収書だけでなく、いつ・どこで・いくら使ったかを明確にしておくことが大切です。
④ 高額になりすぎないようにする
資料上は10,000円超でも会議費として処理できる余地がありますが、あまりに高額・豪華な内容になると、会議費としての相当性が問題になる可能性があります。
⑤ 採用活動と無関係な私的飲食と混同しない
採用目的が薄い飲食や、実質的に歓待色の強い支出は、別の判断が必要になる場合があります。
実務でよくある誤解
① 学生分の飲食代を払ったら自動的に交際費になる
これは誤りです。添付資料では、学生分を含む飲食代でも会議費として損金算入できると整理されています。
② 会議費は社内会議だけの科目
これも誤りです。来客との商談や打合せ等も会議に含まれるとされています。
③ 1人当たり10,000円を超えたら必ず交際費
就活生との面談飲食費については、10,000円超でも会議費として処理できる余地があると資料で示されています。
まとめ
就活生との面談で喫茶店等を利用し、その際に要した飲食費については、学生分を含めても、原則として会議費として損金算入できると考えられます。その理由は、この支出が通常、接待や供応を目的とするものではなく、採用活動に伴う打合せ・面談のための費用だからです。
また、会議費には、社員同士の打合せだけでなく、来客との商談や打合せに関連する茶菓・弁当等の費用も含まれるとされており、採用面談時の飲食費もこの考え方で整理しやすいといえます。
さらに、1人当たり10,000円を超える場合でも、一概に交際費等とする必要はなく、会議費として処理できる可能性がある点も押さえておきたいポイントです。
採用活動の飲食費は、金額だけでなく目的と実態が大切です。経理処理では、採用面談であることが分かる記録を残しつつ、会議費として適切に整理しておくことが重要です。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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