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リース会計基準の改正でキャッシュ・フロー計算書はどう変わる?営業CFへの影響をわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 安田亮
    安田亮
  • 10 分前
  • 読了時間: 7分

こんにちは!代表の安田です。


リース取引は、多くの企業にとって身近な取引です。事務所のコピー機、営業車、店舗設備、工場機械、IT機器など、購入ではなくリース契約によって利用している資産は少なくありません。


現在、日本基準におけるリース会計では、借手側のリース取引について、主に「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類して会計処理や表示を行なっています。


しかし、改正リース会計基準では、国際会計基準であるIFRS第16号の考え方を踏まえ、借手側では原則としてこの分類を行なわないこととなりました。


この改正は、貸借対照表や損益計算書だけでなく、キャッシュ・フロー計算書にも影響を与えます。特に注目したいのが、「営業キャッシュ・フローが改善して見える可能性がある」という点です。


現行実務におけるリース料のキャッシュ・フロー表示

まず、現行のキャッシュ・フロー計算書におけるリース料の表示を確認しておきましょう。


現行実務では、借手が支払うリース料について、リース取引の分類に応じてキャッシュ・フロー計算書上の表示区分が異なります。


オペレーティング・リースの場合、支払リース料は原則として「営業活動によるキャッシュ・フロー」に表示されます。これは、通常の賃借料や外注費などと同じように、事業活動を行うために発生する支出として取り扱われるイメージです。


一方、ファイナンス・リースの場合は、支払リース料のうち元本返済に相当する部分は「財務活動によるキャッシュ・フロー」に表示されます。リース債務の返済という性質を持つため、借入金の返済と同じような表示区分になるわけです。


また、利息相当額部分については、企業が採用している支払利息の表示区分に応じて、「営業活動」または「財務活動」に表示されます。なお、利息相当額を区分計算していない場合には、支払リース料全体を財務活動として表示する取扱いがあります。


改正リース会計基準で何が変わるのか

改正リース会計基準では、借手側の会計処理について、IFRS第16号に近い単一モデルを基礎とする考え方が採用されています。


この考え方では、従来のようにオペレーティング・リースとファイナンス・リースを分けるのではなく、借手は原則としてリースにより使用する資産と、将来支払うリース料に対応する負債を認識することになります。


キャッシュ・フロー計算書の表示についても、この考え方と整合するように見直されます。

具体的には、支払リース料のうち、リース負債の元本返済に相当する部分は「財務活動によるキャッシュ・フロー」に表示される方向です。また、利息相当額部分については、現行と同様に、企業が採用する支払利息の表示区分に応じて「営業活動」または「財務活動」に表示されることが想定されています。


一方で、リース負債に含めない短期リース、少額資産のリース、変動リース料などについては、営業活動によるキャッシュ・フローに表示される方向です。

つまり、改正後は、従来のファイナンス・リースに近い考え方へ一本化されるイメージです。


営業キャッシュ・フローが改善して見える可能性

今回の改正で実務上特に注意したいのは、従来オペレーティング・リースとして処理されていたリース取引の表示区分です。


現行では、オペレーティング・リースの支払リース料は営業活動によるキャッシュ・フローに表示されます。そのため、リース料の支払いは営業キャッシュ・フローを押し下げる要因となっていました。


しかし、改正後は、これまでオペレーティング・リースとして扱われていたリース取引についても、支払リース料のうち元本返済に相当する部分が財務活動によるキャッシュ・フローに表示されることになります。


その結果、同じリース料を支払っていたとしても、営業活動によるキャッシュ・フロー上の支出が減少し、営業キャッシュ・フローが改善して見える可能性があります。


ここで重要なのは、会社の資金繰りそのものが改善したわけではないという点です。実際に支払うリース料の金額が変わらない場合でも、キャッシュ・フロー計算書上の表示区分が変わることで、営業キャッシュ・フローの見え方が変わるのです。


財務分析を行なう際の注意点

営業キャッシュ・フローは、企業の本業からどれだけ現金を生み出しているかを示す重要な指標です。金融機関、投資家、取引先などが企業の収益力や返済能力を判断する際にも、よく参照されます。


そのため、リース会計基準の改正によって営業キャッシュ・フローが増加した場合でも、その増加が本業の収益力向上によるものなのか、それとも表示区分の変更によるものなのかを見極める必要があります。


特に、店舗展開を行う小売業、物流業、製造業、不動産関連業など、リース取引が多い業種では影響が大きくなる可能性があります。


改正前後のキャッシュ・フロー計算書を比較する際には、単純に営業キャッシュ・フローの増減だけを見るのではなく、リース料の表示区分変更の影響を把握することが大切です。


中小企業にも関係するポイント

「リース会計基準の改正」と聞くと、上場企業や大企業だけの話と思われるかもしれません。


しかし、中小企業であっても、金融機関への決算説明、経営管理資料の作成、補助金申請、事業計画書の作成などでキャッシュ・フローの考え方が重要になる場面はあります。


また、会計基準そのものの適用範囲だけでなく、取引先や金融機関がどのような視点で決算書を読むかという観点からも、リース取引の見え方が変わることは押さえておきたいポイントです。


特に、営業キャッシュ・フローが改善しているように見える場合でも、その背景に会計基準の変更があるのか、実際の収益力改善があるのかを説明できるようにしておくと、金融機関とのコミュニケーションにも役立ちます。


まとめ

改正リース会計基準では、借手側のリース取引について、従来のオペレーティング・リースとファイナンス・リースの分類を行わないこととなりました。


これに伴い、キャッシュ・フロー計算書上では、支払リース料のうち元本返済に相当する部分が財務活動によるキャッシュ・フローに表示されることになります。


その結果、従来オペレーティング・リースとして営業活動に表示されていたリース料の一部が財務活動に移ることで、営業キャッシュ・フローが改善して見える可能性があります。


ただし、これはあくまで表示区分の変更による影響であり、会社の資金繰りや収益力が自動的に改善するわけではありません。


今後、リース会計基準の改正が実務に適用される際には、貸借対照表や損益計算書だけでなく、キャッシュ・フロー計算書への影響にも注意が必要です。リース取引が多い企業では、早めに契約内容を整理し、決算書や財務分析にどのような影響があるかを確認しておくことをおすすめします。


神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください




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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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