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不納付加算税と重加算税の違いとは?税率・免除要件・注意点を税理士が解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
6 時間前
読了時間: 11分

こんにちは!代表の安田です。


給与や報酬から源泉徴収した所得税は、原則として所定の納期限までに国へ納付しなければなりません。


納期限を過ぎてしまうと、本来納付すべき税額に加えて「不納付加算税」が徴収されることがあります。また、売上除外や架空経費など、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装したと認められた場合には、通常の加算税に代えて、より税率の高い「重加算税」が課される可能性があります。


不納付加算税や重加算税は、単なる計算ミスや納付忘れと、意図的な隠蔽・仮装とを区別して設けられている制度です。


本記事では、不納付加算税と重加算税について、課税される要件、税率、免除・軽減される場合、実務上の注意点を税理士が分かりやすく解説します。


不納付加算税とは

不納付加算税とは、源泉徴収等による国税を法定納期限までに完納しなかった場合に、源泉徴収義務者から徴収される加算税です。


代表的な対象は、次のような税金です。

  • 給与から源泉徴収した所得税

  • 税理士や弁護士などへの報酬から源泉徴収した所得税

  • 配当や利子などから源泉徴収した所得税

  • 非居住者等への支払から源泉徴収した所得税


会社が従業員の給与から所得税を天引きしていても、その税額を期限までに国へ納付していなければ、不納付加算税の対象になる可能性があります。


源泉所得税の一般的な納期限

給与や報酬から源泉徴収した所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに納付します。


一定の要件を満たし「納期の特例」の承認を受けている場合は、給与や税理士等への報酬に係る源泉所得税を、年2回にまとめて納付できます。


ただし、納期の特例を適用している場合でも、納期限を過ぎれば不納付加算税の問題が生じます。


不納付加算税の税率

不納付加算税の基本的な税率は、納付すべき源泉所得税等の**10%**です。

一方、税務署から納税の告知を受ける前に自主的に納付し、その納付が税務署から指摘されることを予知して行われたものではない場合には、税率が**5%**に軽減されます。

納付の状況

不納付加算税の割合

税務署から納税の告知を受けた場合など

10%

納税の告知を予知せず、自主的に納付した場合

5%

正当な理由がある場合

徴収されない

一定の期限内納付意思が認められる場合

徴収されない

国税通則法第67条では、源泉徴収等による国税が法定納期限までに完納されなかった場合、原則として10%の不納付加算税を徴収すると定められています。


【図解】納期限後に気づいた場合の考え方

納付漏れに気づいたときは、税務署から連絡が来るまで待つのではなく、できるだけ早く納付することが重要です。


不納付加算税が徴収されない場合

不納付加算税は、納期限を1日でも過ぎれば必ず徴収されるわけではありません。

主に、次のような場合には徴収されないことがあります。


1.納期限までに納付できなかったことに正当な理由がある場合

法定納期限までに納付しなかったことについて「正当な理由」があると認められる場合、不納付加算税は徴収されません。

ただし、単なる失念、資金不足、担当者の引継ぎ漏れなどが、当然に正当な理由として認められるとは限りません。

正当な理由に該当するかどうかは、納付できなかった事情を個別に検討する必要があります。


2.納期限までに納付する意思があったと認められる場合

次の要件を満たす場合には、不納付加算税が徴収されないことがあります。

  • 税務署から納税の告知を受ける前に自主的に納付している

  • 納税の告知を予知して納付したものではない

  • 法定納期限から1か月以内に納付している

  • 過去1年間について一定の納付実績要件を満たしている


過去1年間の要件としては、おおむね次の両方を満たす必要があります。

  1. 正当な理由が認められた場合を除き、源泉所得税等について納税の告知を受けたことがない

  2. 納税の告知を受けずに、法定納期限後に納付した事実がない


つまり、日頃から期限内納付をしていた事業者が、例外的に一度だけ納付を失念し、1か月以内に自主納付した場合などを想定した取扱いです。


不納付加算税の計算例

源泉所得税100万円を納期限までに納付しなかったケースを考えてみましょう。

税務署から指摘を受けた場合

100万円 × 10% = 10万円

本税100万円に加えて、不納付加算税10万円を納付することになります。

税務署から指摘を受ける前に自主納付した場合

100万円 × 5% = 5万円

納税の告知を予知したものではないと認められれば、不納付加算税は5万円に軽減されます。


なお、実際の加算税の計算では、計算の基礎となる税額や加算税額について端数処理が行われます。


重加算税とは

重加算税とは、税額計算の基礎となる事実を隠蔽または仮装し、それに基づいて申告や納付を行わなかった場合に、通常の加算税に代えて課される加算税です。


重加算税の対象になり得る行為として、資料では次のような例が挙げられています。

  • 売上の除外

  • 架空仕入れ

  • 架空経費

  • 事実と異なる帳簿や証憑の作成

  • 隠蔽・仮装した事実に基づく申告

  • 隠蔽・仮装した事実に基づく源泉所得税等の不納付


重要なのは、申告内容が間違っていたという結果だけではありません。

重加算税が課されるためには、原則として、税額計算の基礎となる事実について「隠蔽」または「仮装」があり、その行為に基づいて申告や不納付が行われたことが必要です。


重加算税が課される基本要件

重加算税は、おおむね次の要件をすべて満たす場合に問題となります。



重加算税は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税に追加して二重に課されるものではありません。

通常の加算税に代えて課されます。


重加算税の税率

重加算税の税率は、どの加算税に代えて課されるかによって異なります。

区分

通常の加算税に代えて課される重加算税

過少申告加算税に代えて課される場合

35%

無申告加算税に代えて課される場合

40%

不納付加算税に代えて徴収される場合

35%


  • 過少申告に対する重加算税

申告書は提出していたものの、隠蔽・仮装した事実に基づいて税額を少なく申告していた場合、過少申告加算税に代えて35%の重加算税が課されます。


  • 無申告に対する重加算税

隠蔽・仮装した事実に基づいて期限内申告をしなかった場合などには、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。


  • 源泉所得税等の不納付に対する重加算税

隠蔽・仮装により源泉所得税等を期限までに納付しなかった場合には、不納付加算税に代えて35%の重加算税が徴収されます。


重加算税の計算例

隠蔽・仮装に基づく増差税額が500万円だった場合で考えてみましょう。


  • 過少申告加算税に代えて課される場合

500万円 × 35% = 175万円

本税500万円とは別に、重加算税175万円が課されます。


  • 無申告加算税に代えて課される場合

500万円 × 40% = 200万円

本税500万円とは別に、重加算税200万円が課されます。


重加算税だけでも多額になりますが、実際には本税に加えて延滞税が生じることもあるため、資金負担はさらに大きくなる可能性があります。


隠蔽・仮装していない部分は重加算税の対象から除かれる

修正申告や更正によって追加納税が生じた場合でも、増加した税額のすべてが隠蔽・仮装によるものとは限りません。


例えば、追加納税額の中に次の両方が含まれているケースがあります。

  • 売上除外など、隠蔽・仮装に基づく部分

  • 単純な計算ミスなど、隠蔽・仮装に基づかない部分


この場合、隠蔽・仮装していない事実だけに基づいて生じた税額は、原則として重加算税の計算の基礎から除かれます。


したがって、税務調査で重加算税を指摘された場合には、追加税額のうち、どの部分が隠蔽・仮装に基づくものと判断されているのかを確認することが重要です。


重加算税が10%加重される場合

一定の無申告や隠蔽・仮装を繰り返した場合には、通常の重加算税の割合に、さらに10%が加重されます。

通常の税率

加重後の税率

35%

45%

40%

50%

加重措置が問題となるのは、主に次のような場合です。


1.過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合

同じ税目について、一定期間内に無申告加算税または重加算税を課されたことがあり、再び隠蔽・仮装等に基づく修正申告や更正等が行われた場合には、10%加重されることがあります。


2.3年連続で無申告となった場合

一定の要件のもとで、前年および前々年も無申告加算税等の対象となっており、3年連続で無申告となった場合にも、10%の加重措置が設けられています。

なお、過去5年以内の反復に対する加重と、3年連続無申告に対する加重は重複して適用されません。


重加算税が課されない場合

隠蔽・仮装の事実があれば、どのような場合でも重加算税が課されるわけではありません。

重加算税は、過少申告加算税、無申告加算税または不納付加算税に代えて課されるものです。そのため、前提となる通常の加算税が課されない場合には、原則として重加算税も課されません。


例えば、過少申告について、税務調査による更正を予知せず、自主的に修正申告を行い、過少申告加算税が課されない場合には、重加算税も課されません。


無申告加算税や不納付加算税についても、通常の加算税が課されない場合、徴収されない場合、または軽減される場合には、重加算税も課されない、または徴収されないとされています。


ただし、「税務調査による更正を予知していたかどうか」などは、具体的な連絡状況や調査の進行状況によって判断されます。


不納付加算税と重加算税の違い

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目

不納付加算税

重加算税

主な対象

源泉所得税等の納付遅れ

隠蔽・仮装に基づく過少申告、無申告、不納付

原則税率

10%

35%または40%

自主納付等による軽減

5%への軽減や不徴収の可能性あり

前提となる加算税が課されなければ適用されない場合あり

隠蔽・仮装

必要ない

必要

他の加算税との関係

単独で徴収される

通常の加算税に代えて課される

反復した場合

特別な重加算措置ではない

一定の場合はさらに10%加重

単なる納付忘れと、意図的な隠蔽・仮装とでは、適用される税率が大きく異なります。


会社が実務上注意したいポイント

  • 源泉所得税の納付を担当者任せにしない

源泉所得税は毎月または年2回発生するため、担当者の退職、休職、引継ぎ漏れなどによって納付が抜けることがあります。

納付期限を社内カレンダーに登録し、担当者と確認者を分けるなど、複数人でチェックできる体制が望ましいでしょう。


  • 納付漏れに気づいたら速やかに対応する

納付漏れを放置し、税務署から指摘を受けると、原則10%の不納付加算税が問題になります。自主的に納付することで5%に軽減される場合や、一定の要件を満たせば徴収されない場合があるため、早期対応が重要です。


  • 帳簿と証憑を後から作り変えない

税務調査の連絡を受けた後に、事実と異なる契約書、領収書、請求書、議事録などを作成すると、隠蔽・仮装を疑われる要因になります。

資料に不備がある場合は、事実関係をそのまま整理し、税理士に相談したうえで説明資料を作成することが大切です。


  • 税務調査では追加税額の内訳を確認する

追加納税額の中に、単純ミスによるものと、隠蔽・仮装と判断されたものが混在している場合、すべての税額に重加算税が課されるとは限りません。

税務署が重加算税の対象としている事実と税額の範囲を、具体的に確認する必要があります。


まとめ

不納付加算税は、源泉所得税等を法定納期限までに納付しなかった場合に、原則として10%の割合で徴収される加算税です。


税務署から指摘を受ける前に自主納付した場合には5%に軽減されることがあり、さらに、過去の納付状況や納付時期など一定の要件を満たせば、徴収されない場合もあります。

一方、重加算税は、売上除外や架空経費など、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装した場合に、通常の加算税に代えて課されます。


重加算税の税率は、過少申告や源泉所得税等の不納付の場合は35%、無申告の場合は40%です。一定の行為を繰り返した場合や3年連続無申告の場合には、さらに10%が加重される可能性があります。


加算税の負担を避けるためには、日頃の期限管理に加え、誤りに気づいた時点で速やかに事実関係を確認し、自主的に申告・納付することが重要です。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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