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2027年から防衛特別所得税の源泉徴収が開始|租税条約適用時は納付書を分ける?

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
1 日前
読了時間: 9分

更新日:21 時間前

おはようございます!代表の安田です。


2027年1月1日以後に一定の所得を支払う場合、これまでの所得税・復興特別所得税に加えて、防衛特別所得税の源泉徴収が始まります。


企業の経理担当者が特に注意したいのが、非居住者や外国法人などへ国内源泉所得を支払うケースです。


非居住者等への支払いについては、租税条約等によって、

  • 国内法より低い税率が適用される

  • 所得税が免除される

場合があります。


このような場合、現在の復興特別所得税と同様、防衛特別所得税についても非課税となるケースがあり、租税条約等の適用がない支払いとは納付書を分けて作成する必要があります。


本記事では、防衛特別所得税の導入後における、非居住者等への支払いと源泉所得税の納付書の取扱いを解説します。


非居住者等への国内源泉所得は源泉徴収の対象

非居住者や外国法人等に対して日本国内で生じた一定の所得を支払う場合、支払者はその支払時に所得税等を源泉徴収する必要があります。


例として、非居住者等へ配当等を支払う場合が考えられます。

支払った配当等が所得税法上の「国内源泉所得」に該当すれば、源泉徴収の対象となります。


<基本的な流れ>

手続

内容

① 支払い

非居住者等へ国内源泉所得を支払う

② 源泉徴収

支払時に所得税等を徴収

③ 納付

原則として支払月の翌月10日まで

④ 書類

所得税徴収高計算書(納付書)を提出

源泉徴収した所得税等については、支払った月の翌月10日までに納付し、その際に所得税徴収高計算書を所轄税務署長へ提出します。


租税条約によって源泉税率が下がることがある

非居住者等への支払いでは、国内法だけで税率を判断できないことがあります。

日本が相手国と租税条約を締結している場合、所得の種類などに応じて、

  • 国内法の税率より低い限度税率

  • 所得税の免除

が適用されることがあります。


例えば、配当などについて国内法上は源泉徴収が必要であっても、租税条約によってより低い税率が適用されるケースがあります。


そのため、海外への支払いを行なう会社では、国内法の源泉税率だけでなく、租税条約の適用関係も確認することが重要です。


租税条約適用時は復興特別所得税が非課税となる場合がある

現行制度では、租税条約等によって国内法より低い税率が適用される場合や所得税が免除される場合、一定のケースでは復興特別所得税も非課税となります。

この場合、所得税徴収高計算書の、「復興特別所得税非課税該当」欄に「1」と記載します。


さらに、租税条約等の適用がない源泉徴収分とは、納付書を分けて作成します。


<現行のイメージ>

支払い

納付書

租税条約等の適用なし

通常の納付書

租税条約等を適用し、復興特別所得税が非課税

別の納付書を作成

複数の海外支払先がある企業では、支払先ごとの租税条約の適用関係まで含めて管理する必要があります。


2027年1月から防衛特別所得税も源泉徴収

令和8年度税制改正により、2027年1月1日以後に支払うものについては、

  • 所得税

  • 復興特別所得税

  • 防衛特別所得税

を源泉徴収する仕組みとなります。


したがって、給与や非居住者等への一定の国内源泉所得など、源泉徴収事務を行なう企業では、2027年から新制度への対応が必要です。


本記事では、主に租税条約が適用される非居住者等への支払いにおける納付書の取扱いを扱います。


租税条約適用時は防衛特別所得税も非課税に

最も重要なのがこの点です。

2027年以後も、租税条約等によって国内法の税率以下となる場合などでは、復興特別所得税と同様、防衛特別所得税も非課税となります。


つまり、防衛特別所得税が新設されたので、租税条約を適用していても防衛特別所得税だけ別途徴収するという取扱いではありません。


2027年以後も納付書は分けて作成

そして、防衛特別所得税導入後も、租税条約等の適用がある源泉徴収分と、適用がない源泉徴収分について納付書を分ける取扱いが継続します。


<2027年以後の整理>

ケース

所得税

復興特別所得税

防衛特別所得税

納付書

租税条約等の適用なし

国内法により計算

対象

対象

通常分

租税条約等により税率軽減等

条約に基づき計算

一定の場合非課税

一定の場合非課税

別に作成

企業実務では、「所得税額が同じかどうか」だけではなく、復興特別所得税・防衛特別所得税の課税関係が同じ支払いかどうかも意識する必要があります。


なぜ納付書を分ける必要がある?

租税条約等を適用した支払いでは、復興特別所得税や防衛特別所得税が非課税となる場合があります。一方、通常の国内法を適用する支払いでは、それらの特別所得税も源泉徴収対象になります。


そのため、両者を同じ所得税徴収高計算書で処理すると、どの源泉徴収税額が特別所得税非課税に対応しているのかが分からなくなります。


このため、租税条約等による非課税対象と、それ以外を分けて納付書を作成する仕組みとなっています。


具体例|海外株主への配当がある会社

例えば、日本法人が複数の海外株主へ配当を支払うケースを考えます。

  • A株主:租税条約を適用

  • B株主:租税条約の適用なし

という場合です。


A株主について租税条約により国内法より低い税率が適用され、復興特別所得税・防衛特別所得税が非課税となるのであれば、B株主への配当と同じ納付書にまとめるのではなく、納付書を分けて作成する必要があります。


<実務イメージ>

支払先

条約適用

納付書

A株主

あり

条約適用分として作成

B株主

なし

通常分として作成

※具体的な税率については、相手国との租税条約や所得区分ごとに確認する必要があります。


防衛特別所得税導入前に確認したい実務

2027年1月から制度が始まるため、非居住者や外国法人への支払いがある会社では、2026年中に源泉徴収事務を確認しておくとよいでしょう。

確認項目

内容

海外への支払い

非居住者・外国法人等への支払いがあるか

国内源泉所得

源泉徴収対象に該当するか

租税条約

相手国との条約があるか

適用税率

国内法か条約税率か

復興特別所得税

非課税となるか

防衛特別所得税

2027年以後の非課税関係を確認したか

納付書

条約適用分を分けているか

給与・会計システム

2027年制度に対応できるか

特に海外支払件数が多い企業では、支払先マスター等に租税条約の適用状況を持たせる方法も検討するとよいでしょう。


所得税徴収高計算書の様式も改正

所得税徴収高計算書については、2026年9月24日付で様式・記載要領の一部が改正されています。

防衛特別所得税への対応を含め、2027年以降に源泉所得税等を納付する場合には、旧様式を前提に処理せず、最新の様式・記載要領を確認することが重要です。


「租税条約を使えば自動的に軽減される」とは限らない

実務上は、相手国と租税条約があるというだけで、自動的に条約上の軽減税率や免税が適用されるとは限りません。


そのため実際の支払いでは、

  • 所得の種類

  • 相手国

  • 受益者の属性

  • 租税条約の適用要件

などを別途確認する必要があります。


よくある疑問

Q. 防衛特別所得税はいつから源泉徴収しますか?

A. 2027年1月1日以後に支払うものについて、所得税・復興特別所得税に加えて防衛特別所得税を源泉徴収するとされています。


Q. 非居住者への支払いにも防衛特別所得税がかかりますか?

A. 原則的な源泉徴収対象となる支払いについては制度対象となりますが、租税条約等により国内法より低い税率が適用される場合などには、復興特別所得税と同様に防衛特別所得税も非課税となる場合があります。


Q. 租税条約を適用した場合、納付書は通常分とまとめられますか?

A. 租税条約等により特別所得税が非課税となるものについては、租税条約等の適用がない納付書とは分けて作成するとされています。


Q. 源泉所得税等の納期限はいつですか?

A. 非居住者等への国内源泉所得から源泉徴収した所得税等については、原則として支払った月の翌月10日までに納付し、所得税徴収高計算書も同日までに提出します。


Q. 納付書の様式は変わりますか?

A. 所得税徴収高計算書について、2026年9月24日付で様式・記載要領の一部が改正されています。


まとめ

令和8年度税制改正により、2027年1月1日以後に支払う一定の所得について、所得税・復興特別所得税に加えて防衛特別所得税の源泉徴収が始まります。


非居住者等への国内源泉所得について、特に押さえておきたいのは次の点です。

  • 非居住者等への一定の国内源泉所得は源泉徴収対象

  • 原則として翌月10日までに納付

  • 租税条約等によって国内法より低い税率や免税が適用される場合がある

  • その場合、復興特別所得税が非課税となる場合がある

  • 2027年以後は防衛特別所得税も同様に非課税となる場合がある

  • 租税条約等の適用がない源泉徴収分とは納付書を分ける

  • 所得税徴収高計算書の様式・記載要領も一部改正済み


海外株主への配当や非居住者・外国法人への支払いがある会社では、2027年の制度開始前に、支払先ごとの租税条約適用状況と納付書作成方法を確認しておくことが重要です。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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