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経理・決算BPOの導入方法とは?業務範囲・委託先選定・契約・移行・運用のポイントを公認会計士が解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
23 時間前
読了時間: 19分

こんばんは!代表の安田です。


  • 経理人材が採用できない

  • 決算期の残業が多い

  • 担当者の退職で経理業務が止まりそうになる

  • 会計基準や税務の専門論点に対応できる人材が社内にいない

  • 電子帳簿保存法や経理DXへの対応を進めたいが、社内だけでは手が回らない。


このような課題を抱える会社では、経理・決算業務のBPOを検討する場面が増えています。

BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、会社の業務プロセスを外部の専門事業者に委託することをいいます。


経理・決算業務のBPOは、単に「経理作業を外注する」という話ではありません。導入の目的、委託する業務範囲、委託先の選定、業務調査、価格、契約、移行、運用、内部統制までを含む、経理体制の再設計プロジェクトです。


導入を急ぎすぎると、思ったほど社内負担が減らない、委託先との役割分担が曖昧になる、品質が安定しない、追加費用が発生する、社内にノウハウが残らない、といった問題が起こります。


本日は、経理・決算BPOの導入方法について、公認会計士の視点から、実務で押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。


経理・決算BPOの導入プロセス

経理・決算BPOの導入プロセスは、一般的に次の流れで進みます。


まず、BPOを導入する契機を整理します。

次に、どの業務を外部に委託するか、業務範囲を検討します。


その後、委託先となるBPO事業者を選び、事業者による業務調査を受けます。

業務内容、工数、難易度、体制が見えてきた段階で価格を決定し、業務委託契約を締結します。


契約後は、マニュアル作成、体制構築、システム環境整備、教育研修、リハーサルなどを行い、実際の業務をBPO事業者へ移行します。


移行後は、日々の運用、品質モニタリング、業務改善、委託範囲の見直し、報酬水準の見直し、内部統制評価などを継続的に行います。


つまり、BPOは「契約したら終わり」ではありません。導入前の設計と、導入後の運用改善の両方が重要です。


BPO導入の契機は2つに分けられる

経理・決算BPOを導入するきっかけは、大きく2つに分けられます。


1つ目は、人的リソースの確保です。

たとえば、事業拡大により取引量が増えたものの、経理人員の採用が追いつかない場合があります。新規子会社を設立したが、まだ専任経理担当者を置くほどの規模ではない場合もあります。


また、人事異動、退職、産休・育休、社内プロジェクト対応などにより、既存の経理人員が抜けることもあります。特に決算期は短期間に業務が集中するため、慢性的な人手不足に悩む会社も多いでしょう。


このような場合、外部の専門リソースを活用することで、経理業務の安定化を図ることができます。


2つ目は、経理業務の変革です。

会計システムの刷新、業務フローの見直し、経理DX、シェアードサービス化、コア業務への集中、コスト削減などを目的として、経理機能を再設計するケースです。


この場合、BPOは単なる欠員補充ではなく、経理部門のあり方を変えるための手段になります。


委託業務範囲の検討

BPO導入で最初に重要なのが、どの業務を外部に委託するかです。

経理・決算業務は、大きく次の3つに分けられます。


1つ目は、日常業務です。

仕訳伝票起票、支払処理、請求書発行、入金消込、経費精算、債権債務管理、固定資産管理、在庫管理、与信管理、資金管理、マスタメンテナンスなどが該当します。


日常業務は、定型的な取引処理を多数反復する業務です。難易度は比較的高くない一方、処理の正確性が重要です。処理結果は、誰が行っても同じになることが求められます。

そのため、一般的には外部委託しやすい業務です。


2つ目は、決算業務です。

決算整理仕訳、勘定残高確認、残高試算表確認、連結パッケージ作成、連結仕訳、連結精算表作成、開示書類作成、監査対応、税務申告関連業務などが含まれます。


決算業務は、短期間で多くの処理を行なう必要があり、業務負荷が高くなります。また、会計の専門知識や経験が必要になる場面も多くあります。


定型化された決算作業だけを委託する方法もあれば、専門家の知見を活用して、会計論点の整理やレビューまで依頼する方法もあります。


3つ目は、分析・意思決定支援業務です。

決算数値分析、予実管理、レポーティング、予算策定、経営計画作成、各事業の意思決定への経理面での関与などが該当します。


この領域は、自社ビジネスへの深い理解が必要です。単に数字を集計するだけでなく、事業部門との日常的なコミュニケーションを通じて、数値の背景や将来見通しを把握する必要があります。


そのため、分析・意思決定支援業務は、会社が自ら力を入れて取り組むべき分野といえます。外部委託するとしても、基礎データ集計や一部の資料作成にとどめるのが現実的です。


BPOの目的によって委託範囲は変わる

BPOでは、外部委託しやすい日常業務から始めればよい、というわけではありません。


重要なのは、会社が解決したい課題です。

コア業務への集中が目的であれば、社内経理人材を分析、レポーティング、意思決定支援に集中させ、日常業務や決算業務を外部委託することが考えられます。


人的リソース不足が目的であれば、実際にリソースが不足している業務を委託対象にします。退職者が担当していた業務をそのまま外部化することもあれば、別の担当者の定型業務を外部化し、その担当者が不足業務を引き継ぐこともあります。


働き方改革が目的であれば、繁忙期に集中する決算業務を外部委託することが有効です。

コスト削減が目的であれば、難易度が高くない日常業務を集約し、ニアショアやオフショアを活用することも選択肢になります。


専門性の補完が目的であれば、決算業務や会計論点のうち、専門知識が必要な部分を会計専門家に委託することが考えられます。


経理業務の変革が目的であれば、会計システム刷新やDXの方向性に合わせて、外部委託する範囲を検討する必要があります。


一括移行か段階移行か

委託業務範囲を決める際には、一度にすべての業務を移行するか、段階的に移行するかも重要です。


委託範囲が狭い場合は、一括移行も可能です。

しかし、対象業務が広い場合、段階的に移行する方がリスクを抑えやすく、実務上も円滑に進むことが多いです。


たとえば、まずは日常経理業務の一部を移行し、安定稼働を確認した後に、月次決算、四半期決算、開示補助へと範囲を広げる方法があります。


段階移行では、委託元企業の希望スケジュールだけでなく、BPO事業者がリソースを確保できるか、無理なく体制を構築できるかも考慮する必要があります。


BPO事業者の選び方

経理・決算BPOを提供する事業者は、大きく4つに分けられます。


1つ目は、総合コンサルティング会社です。

グローバルに大規模なサービスを展開し、オフショア活用や業務集約に強みがあります。大企業がグローバルに経理業務を集約する場合には候補になります。


2つ目は、会計コンサルティング会社や会計事務所です。

会計業務に特化しており、専門性が高い点が特徴です。上場会社、IPO準備会社、連結決算、開示、会計論点対応などを含めて委託したい場合には有力な候補になります。


3つ目は、BPO専業企業です。

経理を含む幅広いBPOサービスを提供しており、業務運用ノウハウに強みがあります。国内の日常的な取引処理や定型業務を委託する場合に適しています。


4つ目は、特定企業グループのシェアードサービス会社です。

特定グループ内のアウトソーシング業務が中心ですが、外部にサービスを提供することもあります。


委託先を選ぶ際は、価格だけで判断してはいけません。BPOは、長期にわたり自社の重要業務を任せる取引です。専門性、実績、体制、担当者との相性、企業文化との相性、情報管理体制、継続性、柔軟性を総合的に判断することが重要です。


事業者による業務調査

委託先候補が決まると、BPO事業者による業務調査を行ないます。


業務調査では、委託範囲、業務実施方法、必要人員数、工数、価格、移行スケジュールを検討します。


調査項目としては、組織構造、業務一覧、業務分掌、業務フロー、使用システム、インプット情報、アウトプット情報、業務実施場所、証憑書類の保管方法、取引件数、業務に要する工数、繁忙期・閑散期の人員数、業務マニュアルの有無などがあります。


ここで重要なのは、業務漏れを防ぐことです。

ヒアリング時に担当者が伝え忘れた業務があると、後から移行スケジュールや契約金額の見直しが必要になることがあります。


そのため、BPO事業者は、一般的な経理業務の一覧を頭に入れたうえで、漏れがないようにヒアリングを行う必要があります。


価格の決定

BPOの価格体系には、主に固定報酬制と変動報酬制があります。


固定報酬制は、月額、四半期、年間など、一定期間ごとに固定金額を定める方法です。


変動報酬制は、取引件数、仕訳件数、処理件数、実際の業務量などに応じて報酬が変わる方法です。実際に要した時間に単価を掛けるタイムチャージ制もあります。


実務では、固定報酬と変動報酬を組み合わせることもあります。

価格決定で重要なのは、どちらか一方が過度に有利になる価格設定を避けることです。

委託元企業にとって安すぎる価格は一見魅力的ですが、BPO事業者が赤字になる水準では、品質低下や体制不足につながり、長続きしません。


一方、価格が高すぎれば、委託元企業にとってBPOの効果が薄れます。

BPOは長期的な業務運用です。双方が納得でき、継続可能な価格設定にすることが重要です。

また、業務量の増減に応じて自動的に報酬が変動する仕組みを契約に入れておくと、後日の協議負担を減らせます。


契約手続きの注意点

BPO契約は、業務委託契約として締結されることが一般的です。


契約書には、業務範囲、契約期間、報酬、業務実施場所、貸与物品、機密情報の取扱い、損害賠償、契約解除、再委託、情報セキュリティ、個人情報保護などを定めます。

注意すべき点の1つが、偽装請負です。


形式上は業務委託契約であっても、実態として委託元企業がBPO事業者の担当者に直接指揮命令している場合、労働者派遣に該当する可能性があります。


契約だけでなく、実際の業務運用においても、指揮命令系統を明確にする必要があります。

また、SLAを契約に入れることもあります。


SLAとは、サービス・レベル・アグリーメントのことで、保証するサービス品質について事前に合意するものです。たとえば、処理期限、ミス率、回答期限、レビュー水準、稼働時間などを定めることが考えられます。


経理業務では「ミスがないことが当然」と思われがちですが、人が行なう業務である以上、誤りの可能性はゼロではありません。トラブルを防ぐためにも、品質水準や対応方法を事前にすり合わせておくことが大切です。


移行時に必要な9つのタスク

契約締結後は、実際に業務をBPO事業者へ移行します。

移行時には、主に次の9つのタスクが必要です。


1つ目は、移行プランの作成です。

どの業務を、いつ、誰が、どのように移行するかを具体化します。


2つ目は、移行タイミングの決定です。

月次決算後、四半期決算後、年度決算後など、業務影響を抑えられるタイミングを検討します。段階移行の場合は、業務ごとのスケジュールも決めます。


3つ目は、業務の説明と引継ぎです。

業務フローだけでなく、例外処理、判断基準、過去のトラブル、社内ルール、関係部署とのやり取りも共有します。


4つ目は、マニュアル作成です。

マニュアルは、基本的な会計知識を持つ担当者が、それを見れば1人で業務を実施できるレベルで作成する必要があります。運用開始後も、業務を実施しながら更新していきます。


5つ目は、体制の確立です。

管理者、レビュー者、作業担当者を決め、繁忙期・閑散期の必要人員数を見積もります。委託元企業側でも、窓口担当、承認者、レビュー担当を明確にする必要があります。


6つ目は、機材の準備とシステム環境の構築です。

会計システム、ファイルサーバー、経費精算システム、ワークフロー、チャットツールなどへのアクセス権限を整備します。情報セキュリティにも注意が必要です。


7つ目は、教育研修です。

BPO事業者の担当者に対して、業務内容、マニュアル、システム操作、会社固有ルールを教育します。委託元企業側でも、社内関係者に新しい業務フローを説明する必要があります。


8つ目は、リハーサルです。

本番前に実際の業務に近い形でテストを行い、BPO事業者が支障なく業務を遂行できるか、残課題がないかを確認します。


9つ目は、移行意思決定です。

リハーサル結果や残課題を踏まえ、委託元企業の適切な責任者が、本番移行してよいかを判断します。


移行では、必ず想定外の課題が発生します。重要なのは、事前準備を尽くしたうえで、委託元企業とBPO事業者が柔軟に協力して対応することです。


運用開始後に重要なポイント

BPOは、運用開始後が本番です。


まず最も重要なのが、コミュニケーションです。

委託元企業とBPO事業者は、所属組織は違っても、経理・決算業務を円滑に遂行するための1つのチームです。


日常的な報告・連絡・相談、週次・月次ミーティング、チャットやメールでの確認、必要に応じた雑談や関係構築も含め、複数のコミュニケーションチャネルを持つことが大切です。

次に、品質のモニタリングです。


ミスの件数を測定し、ミスの内容、原因、改善策を記録します。決算後には振り返り会を行い、次回決算までに改善事項を実行します。


また、業務プロセスの継続的な見直しも重要です。

BPO導入時に決めた業務フローが、常に最適とは限りません。昔から続いているだけで意味の薄い作業、不要な資料、二重チェック、非効率な承認フローが残っていることもあります。


BPO事業者が業務を客観的に見ることで、改善ポイントが見つかることがあります。

さらに、委託元企業側の残業務も見直す必要があります。


BPOによって各担当者の業務が少しずつ減っただけでは、人員を有効活用できません。社内に残った業務を整理し、特定の担当者に集約することで、余力を分析業務や経営支援業務に回すことができます。


内部統制の評価にも注意

上場会社やIPO準備会社では、BPOが内部統制に与える影響にも注意が必要です。


委託した業務が、財務報告に係る重要な業務プロセスの一部である場合、監査人がBPO事業者の内部統制を理解し、有効性を評価する手続が必要になることがあります。


そのため、委託先の業務フロー、レビュー体制、アクセス権限、職務分掌、証跡管理、再委託の有無、情報セキュリティ、障害時対応などを確認しておく必要があります。


BPOを導入すると、社内の統制が外部に移る部分があります。外部委託したから管理責任がなくなるわけではありません。

委託元企業は、BPO事業者の業務品質と内部統制を継続的にモニタリングする必要があります。


コロナ禍でBPO導入のハードルは下がった

近年、BPOを取り巻く環境も大きく変わりました。


コロナ禍をきっかけに、多くの企業でリモートワークが普及しました。

以前は、紙の請求書、押印、社内サーバー、対面での確認が前提となっており、遠隔地のBPO事業者に経理業務を任せることに心理的な抵抗がありました。


しかし、PDFでの証憑共有、クラウド会計、ファイル共有、チャット、Web会議が普及したことで、離れた場所にいるBPO事業者とも業務を進めやすくなりました。


また、BPOはBCP対策としても注目されています。

自社の経理担当者が出社できない、特定拠点が使えない、担当者が急に業務できなくなるといった場合でも、外部のBPO事業者が業務を担える体制があれば、経理業務が完全に止まるリスクを下げられます。


DXとBPOは相性がよい

経理・決算業務では、DXも重要なテーマです。


AIやOCRによる仕訳自動化、RPAによる作業自動化、ネットバンキングと会計システムの連携、入金消込の自動化、経費精算の自動化、証憑電子化、BIツールによる経営情報の可視化、タスク管理ツールによる業務の見える化など、経理業務の効率化・高度化が進んでいます。


BPOとDXは、非常に相性がよい組み合わせです。

BPO事業者は、実際に業務を運用する立場にあるため、業務フローやデータの状態をよく理解しています。そのため、DXだけを外部のシステム会社に依頼する場合と比べて、実務に即した改善提案がしやすいという特徴があります。


たとえば、BIツールで経営情報を可視化したい場合、会計データが必要な粒度で作成されていなければ、良いダッシュボードは作れません。


BPO事業者が日常的に会計データを扱っていれば、どのように業務フローを変えれば必要なデータを蓄積できるかを具体的に提案できます。


DXはツール導入だけでは成功しません。業務プロセスの見直しとセットで進める必要があります。


電子帳簿保存法対応とBPO

電子帳簿保存法対応も、BPO活用を後押しする要因です。


電子取引データの保存、スキャナ保存、帳簿書類の電子化が進むことで、経理業務で扱う証憑や資料が紙からデータへ移行します。


紙の請求書や領収書が中心だった時代には、BPO事業者が会社に訪問して書類を確認したり、郵送で資料をやり取りしたりする必要がありました。


しかし、証憑が電子化されれば、BPO事業者は遠隔地からでも業務を行いやすくなります。

委託元企業にとっても、社内にBPO担当者の作業スペースを用意する必要が減り、地域に縛られずに委託先を選べるようになります。


電子帳簿保存法対応は、単なる法令対応ではありません。経理業務のデジタル化、ペーパーレス化、BPO活用、DX推進を同時に進めるきっかけになります。


今後、経理BPOのニーズは高まる

今後、経理・決算BPOのニーズはさらに高まると考えられます。


理由の1つ目は、人材不足です。

少子高齢化により、経理人材の採用はますます難しくなっています。専門的な会計知識を持つ人材を社内で採用・育成するには、時間もコストもかかります。

BPOを活用すれば、社内で経理人材をすべて確保する必要がなくなります。


理由の2つ目は、テクノロジーの進展です。

AIやRPAにより、一部の経理業務は効率化できます。しかし、経理人材が完全に不要になるわけではありません。むしろ、テクノロジーをどう使い、どの業務を自動化し、どの判断を人が行うべきかを設計する力が必要になります。BPO事業者には、経理実務とテクノロジーをつなぐ役割が期待されます。


理由の3つ目は、会計基準の高度化です。

収益認識、リース、金融商品、減損、税効果、連結、開示など、会計基準は高度化しています。専門知識を持つ人材を社内だけで確保することが難しい会社では、外部専門家を活用する必要性が高まります。


BPO事業者に期待される役割

これからのBPO事業者には、単なる作業代行を超えた役割が期待されます。


1つ目は、企業価値向上への貢献です。

経理人材不足に悩む企業に対して、BPO事業者が経理業務を安定化させることで、社内人材をコア業務や成長領域に振り向けることができます。


2つ目は、経理業務の効率化・高度化です。

BPO事業者は、多くの会社の経理業務に関与することで、業務改善ノウハウを蓄積しています。そのノウハウやテクノロジーを活用し、会社ごとの経理業務を効率化・高度化する役割が求められます。


3つ目は、品質の高い会計情報の提供支援です。

財務情報は、経営者、投資家、金融機関、税務当局などの意思決定に使われます。BPO事業者は、専門知識とレビュー体制を通じて、正確で有用な会計情報を提供する支援を行うことが期待されます。


実務で確認すべきチェックポイント

経理・決算BPOを導入する際には、次の点を確認しましょう。

  • BPO導入の目的を明確にしているか

  • 人的リソース確保か、経理業務変革かを整理しているか

  • 日常業務、決算業務、分析・意思決定支援業務を分類しているか

  • どの業務を外部委託し、どの業務を社内に残すか決めているか

  • 一括移行か段階移行かを検討しているか

  • 委託先候補の専門性、実績、体制、企業文化との相性を確認しているか

  • 業務調査で業務漏れがないようにしているか

  • 価格体系が業務量や難易度に見合っているか

  • 業務委託契約で業務範囲、SLA、情報管理、解除条件を明確にしているか

  • 偽装請負にならない運用になっているか

  • マニュアル、体制、システム環境、教育研修、リハーサルを準備しているか

  • 移行意思決定の基準を決めているか

  • 運用開始後のコミュニケーションルールを決めているか

  • ミスの記録、原因分析、改善活動を継続しているか

  • 社内に残った業務を見直しているか

  • 委託範囲や報酬水準を定期的に見直しているか

  • 委託業務に関する内部統制評価を検討しているか

  • 電子帳簿保存法、DX、リモートワークを前提に業務設計しているか


経理BPOは、導入前の設計と導入後の改善が成否を分けます。


まとめ

経理・決算BPOは、経理人材不足、決算期の業務集中、専門性不足、働き方改革、DX、電子帳簿保存法対応といった課題に対する有力な選択肢です。


導入プロセスは、導入の契機、委託業務範囲の検討、事業者の選択、事業者による調査、価格の決定、契約手続き、移行、運用という流れで進みます。


委託業務範囲は、日常業務、決算業務、分析・意思決定支援業務に分けて考えると整理しやすくなります。ただし、外部委託しやすい業務から始めればよいわけではなく、会社が解決したい課題や導入目的に応じて決めることが重要です。


委託先選定では、価格だけでなく、専門性、実績、体制、企業文化との相性、長期的な信頼関係を重視しましょう。


契約では、業務範囲、報酬、SLA、情報管理、損害賠償、契約解除、偽装請負への対応を整理します。


移行時には、マニュアル作成、体制構築、システム環境整備、教育研修、リハーサル、移行意思決定を丁寧に行う必要があります。


運用開始後は、コミュニケーション、品質モニタリング、業務プロセス改善、社内残業務の見直し、委託範囲・報酬水準の見直し、内部統制評価を継続的に実施します。


また、コロナ禍を経てリモートワークが普及し、DXや電子帳簿保存法対応が進んだことで、BPOを活用しやすい環境は整いつつあります。


今後も、経理人材不足、テクノロジーの進展、会計基準の高度化を背景に、経理・決算BPOのニーズは高まるでしょう。


BPOは、単なる外注ではありません。経理業務を安定化し、経理部門を付加価値の高い業務へシフトさせ、企業価値向上につなげるための経営手段です。


自社の経理体制に課題を感じている場合は、まずは業務を棚卸しし、どの業務を社内に残し、どの業務を外部パートナーに任せるべきかを検討することから始めてみましょう。


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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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