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仰星監査法人と三優監査法人が合併基本合意|「監査法人BDO Japan」の規模と今後の注目点

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
1 日前
読了時間: 9分

こんにちは!代表の安田です。


準大手監査法人である仰星監査法人と三優監査法人は、2026年7月27日、新たな統合法人「監査法人BDO Japan」の創設に向け、合併基本合意書を締結したと公表しました。

合併予定日は2027年7月1日です。


統合後は、業務収入約110億円、人員数822人、被監査会社数約500社となる見込みであり、国内の監査法人業界における大きな再編の一つといえます。


両法人は、今回の統合について、単なる規模の拡大ではなく、監査品質の向上、人材の確保、先進的な監査インフラの整備などを目的に、対等な立場で新たな監査法人を創設するものと説明しています。


本記事では、合併基本合意の概要、統合後の規模、合併検討の背景、被監査会社や監査法人業界への影響について、公認会計士が解説します。


仰星監査法人と三優監査法人の合併概要

今回公表された内容を整理すると、次のとおりです。


項目

公表内容

合併を検討する法人

仰星監査法人、三優監査法人

統合法人の名称

監査法人BDO Japan

公表日

2026年7月27日

合併予定日

2027年7月1日

法令上の存続法人

仰星監査法人

法令上の消滅法人

三優監査法人

統合の考え方

両法人が対等な立場で新法人を創設

国際ネットワーク

BDO International Limited

統合後の業務収入

約110億円

統合後の人員数

822人(非常勤を含む)

公認会計士等

543人

被監査会社数

約500社

うち上場会社

192社

なお、今回公表されたのは、合併に向けた「基本合意書」の締結です。

したがって、具体的な組織体制、役員構成、拠点の統合、監査チームの編成などについては、今後の協議や法令上の手続を経て決定されるものと考えられます。


統合法人「監査法人BDO Japan」とは

統合後の法人名は「監査法人BDO Japan」とされる予定です。

両法人が提携する国際ネットワークは、統合後もBDO International Limitedとなります。

【図解】今回想定されている統合の形


法令上は、仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする合併方式が想定されています。一方、両法人は、どちらか一方が他方を吸収するという考え方ではなく、対等な立場で新たな監査法人を共に創り上げる方針を示しています。


法的な合併形式と、組織統合に関する基本的な考え方を分けて理解することが重要です。


統合後はどの程度の規模になるのか

統合後の監査法人は、次の規模になる見込みです。


<統合後の規模>

指標

統合後の見込み

業務収入

約110億円

人員数

822人

公認会計士等

543人

うち公認会計士試験合格者

176人

被監査会社数

約500社

うち上場会社数

192社

業務収入は2026年6月期の見込額であり、人員数には非常勤者が含まれています。


また、「公認会計士等」543人には、公認会計士試験合格者176人が含まれています。

監査法人の規模を見る際には、業務収入だけでなく、所属する公認会計士等の人数、被監査会社数、上場会社の監査実績なども重要です。


特に、上場会社192社を含む約500社の監査を行う体制となれば、統合後の法人は、日本の監査市場において一定の存在感を持つ監査法人になると考えられます。


なぜ両監査法人は合併を検討するのか

両法人は、合併を検討する背景として、監査法人を取り巻く環境が大きく変化していることを挙げています。主な背景は、次のとおりです。


1.監査品質に対する社会的要請の高度化

企業の財務情報や非財務情報に対する社会の関心が高まる中、監査法人には、これまで以上に高い監査品質が求められています。

監査品質を継続的に向上させるためには、個々の監査チームの能力だけでなく、法人全体として、次のような体制を整備することが重要です。

  • 品質管理を担当する専門部署

  • 会計・監査上の難しい論点を相談する体制

  • 審査やモニタリングの仕組み

  • 監査マニュアルや監査ツール

  • 人材教育・研修制度

  • ITやデータ分析を活用した監査基盤


監査法人の規模が拡大すれば、こうした品質管理基盤に、より多くの人員や資金を投入しやすくなる可能性があります。


2.公認会計士をはじめとする人材確保競争の激化

監査業務は、公認会計士や公認会計士試験合格者などの専門人材によって支えられています。

一方で、監査法人だけでなく、一般事業会社、コンサルティング会社、金融機関などでも会計・財務人材への需要が高まっており、専門人材の採用と定着は監査法人にとって重要な経営課題です。

両法人が統合すれば、採用活動、教育研修、キャリア形成、専門分野への人材配置などを、従来より大きな組織基盤の下で行える可能性があります。


3.先進的な監査インフラへの投資

監査の現場では、監査調書の電子化、データ分析、AIの活用、サイバーセキュリティ対策など、IT基盤の重要性が高まっています。

こうした監査インフラの整備には、一定の開発費用と継続的な維持費用が必要です。

両法人は、それぞれが単独で対応すると時間を要する課題について、経営基盤を統合することで、より迅速かつ持続的に取り組む必要があるとの認識を共有しています。



今回の合併が予定どおり進めば、両法人がこれまで蓄積してきた人材、監査ノウハウ、顧客基盤、地域拠点などを相互に活用できる可能性があります。


「単なる規模拡大ではない」とする意味

監査法人の合併というと、売上高、人員数、被監査会社数を増やすことが主な目的と受け取られがちです。


しかし、両法人は、今回の合併について、単なる規模の拡大を目的とするものではないと説明しています。

監査法人の場合、規模が大きくなるだけで、当然に監査品質が向上するわけではありません。統合による効果を実現するためには、例えば次のような事項が重要になります。

統合上の課題

主な検討事項

品質管理

両法人の監査方針・審査体制の統一

監査手法

監査マニュアルや監査ツールの統合

人事制度

評価、報酬、昇進制度の整合

組織文化

意思決定方法や業務慣行の調整

システム

監査調書・顧客管理システムの統合

顧客対応

監査チームや責任者の変更への対応

独立性管理

統合後の顧客関係や非監査業務の確認

両法人が掲げる「対等な立場で新たな監査法人を創る」という方針が、実際の組織運営や品質管理体制にどのように反映されるかが、今後の重要な注目点です。


被監査会社にはどのような影響があるのか

今回の資料では、個々の被監査会社に対する具体的な影響までは示されていません。

ただし、一般的には、監査法人の統合に伴い、被監査会社では次のような事項を確認する必要が生じる可能性があります。


  • 監査契約や法人名称の変更

統合後は監査法人の名称や法人格が変わるため、監査契約書、株主総会資料、有価証券報告書、会社法上の計算書類などにおける監査法人名の記載を見直す必要が生じる可能性があります。具体的な対応は、合併手続や各社の契約内容によって異なります。


  • 監査チームの体制

統合を契機として、監査責任者、監査補助者、審査担当者などの体制が見直される可能性があります。一方で、被監査会社への影響を抑えるため、既存の監査チームを一定期間維持する対応も考えられます。


  • 独立性の確認

監査法人は、被監査会社から独立した立場で監査を行う必要があります。

法人が統合すると、両法人が従来提供していた監査業務や非監査業務、グループ会社との関係などを、新たな統合法人全体として確認する必要があります。

統合後の契約関係に影響がある場合は、各被監査会社に対して個別の説明が行なわれると考えられます。


監査法人業界への影響

今回の合併は、準大手監査法人同士による統合であり、国内の監査法人業界に一定の影響を与える可能性があります。


  • 準大手監査法人の経営基盤強化

監査法人に求められる品質管理、IT投資、人材育成などの水準が高まる中、一定の規模を確保することは、安定的な法人運営につながる可能性があります。

今回の統合が、監査品質と経営効率の双方を高める事例となれば、他の監査法人の経営戦略にも影響を及ぼす可能性があります。


  • 監査法人の選択肢への影響

上場会社にとっては、企業規模や事業内容に対応できる監査法人の選択肢が重要です。

統合法人が専門人材や監査体制を強化できれば、複雑な事業を行う企業や海外展開する企業に対しても、より幅広い監査サービスを提供できる可能性があります。

一方で、監査法人同士の統合が進めば、監査法人の選択肢が集約される側面もあります。

今後は、統合法人がどのような企業層や業種に強みを持つのかも注目されます。


今後のスケジュールと確認すべき事項

現時点で公表されている合併予定日は、2027年7月1日です。

ただし、合併基本合意から実際の統合までには、法人内部の意思決定や法令上の手続などが必要になると考えられます。


今後、特に注目されるのは次の事項です。

  • 統合法人の役員・経営体制

  • 品質管理体制

  • 拠点や部門の再編

  • 監査手法・監査システムの統一

  • 人事制度や評価制度

  • 被監査会社への具体的な説明

  • 監査チームの継続性

  • 独立性に関する対応

  • 最終的な合併契約の内容


これらについては、添付資料では明らかにされていないため、今後の両法人からの公表を確認する必要があります。


まとめ

仰星監査法人と三優監査法人は、2026年7月27日、新たな統合法人「監査法人BDO Japan」の創設に向けた合併基本合意書を締結したと公表しました。


合併予定日は2027年7月1日であり、法令上は仰星監査法人を存続法人、三優監査法人を消滅法人とする方式が想定されています。


統合後の主な規模は次のとおりです。

  • 業務収入約110億円

  • 人員数822人

  • 公認会計士等543人

  • 被監査会社数約500社

  • うち上場会社192社


両法人は、単なる規模の拡大ではなく、監査品質への社会的要請の高度化、人材確保競争の激化、先進的な監査インフラの整備などに対応することを、統合の目的として挙げています。


一方、監査法人の統合効果は、組織規模だけで決まるものではありません。品質管理、監査手法、組織文化、人事制度、システムなどを円滑に統合し、監査品質の向上につなげられるかが重要です。


被監査会社においても、監査契約、監査チーム、独立性、開示書類における監査法人名の変更などについて、今後の説明や公表内容を確認する必要があります。


今回の合併が、準大手監査法人の経営基盤や国内監査市場にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目されます。




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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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