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研究開発税制と大企業の不適用措置|当初申告で別表六(七)の添付を忘れないための実務ポイント

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
3 時間前
読了時間: 18分

おはようございます!代表の安田です。


研究開発税制は、試験研究費を支出している法人にとって、法人税額を直接減額できる重要な税額控除制度です。


新製品の開発、製造方法の改良、ソフトウェア開発、技術検証など、研究開発に継続的に投資している会社では、決算・申告時に必ず確認したい制度の一つといえます。


一方で、研究開発税制は、試験研究費があるからといって自動的に使える制度ではありません。


特に、資本金1億円超の大企業については、賃上げや国内設備投資に消極的な場合、研究開発税制など一定の税額控除制度を適用できない「不適用措置」が設けられています。


また、研究開発税制には当初申告要件があります。

確定申告書に必要な明細書を添付していなければ、後から更正の請求などで事後的に適用することは原則としてできません。


本日は、研究開発税制を適用する大企業が注意すべき不適用措置と、当初申告で添付すべき明細書、特に「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書」の重要性について解説します。


研究開発税制とは

研究開発税制とは、青色申告法人が試験研究費を支出した場合に、その試験研究費の額に一定割合を乗じた金額を法人税額から控除できる制度です。


法人税額を直接減額できるため、適用できる場合には税負担に大きく影響します。

研究開発税制には、主に次のような制度があります。

  • 一般試験研究費に係る税額控除

  • 中小企業技術基盤強化税制

  • 特別試験研究費に係る税額控除(いわゆるオープンイノベーション型)


中小企業者等については中小企業向けの制度が用意されていますが、大企業については一般試験研究費に係る税額控除や特別試験研究費に係る税額控除を中心に検討することになります。


ただし、大企業の場合には、税額控除額の計算だけでなく、そもそも制度を適用できるかどうかを確認する必要があります。


特定税額控除規定の不適用措置とは

特定税額控除規定の不適用措置とは、一定の大企業が賃上げや国内設備投資に消極的である場合、研究開発税制など一定の税額控除制度を適用できないという制度です。


対象となるのは、原則として、中小企業者等以外の法人です。

具体的には、資本金1億円超の大企業などが問題になります。


この制度は、単に研究開発費を支出していれば税額控除を認めるのではなく、一定の賃上げや投資を行なっている企業に税制優遇を認めるという政策的な考え方に基づいています。


そのため、大企業が研究開発税制の適用を検討する場合には、まず不適用措置の対象にならないかを確認する必要があります。


不適用措置の対象となる特定税額控除規定

不適用措置の対象となる税額控除制度には、研究開発税制だけでなく、一定の投資促進税制なども含まれます。


代表的なものとして、次のような制度が挙げられます。

  • 研究開発税制

  • 地域経済牽引事業に係る税額控除

  • 5G導入促進税制など、一定の設備投資に係る税額控除

  • その他、租税特別措置法上の一定の特定税額控除規定


この記事では研究開発税制を中心に説明しますが、大企業が複数の税額控除制度を検討している場合には、それぞれの制度について不適用措置の影響を確認する必要があります。


不適用措置の基本的な3つの要件

大企業が研究開発税制などの特定税額控除規定を適用するには、不適用措置の対象外であることを確認しなければなりません。


基本的には、次の3つの要件のうち、いずれか1つ以上に該当すれば、不適用措置の対象外となります。


1つ目は、所得金額が前年度以下であることです。

2つ目は、継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えることです。

3つ目は、国内設備投資額が当期償却費総額の一定割合を超えることです。


逆にいえば、これら3つの要件のいずれにも該当しない場合、賃上げや投資に消極的な大企業として、研究開発税制などの特定税額控除規定を適用できないことになります。


要件1:所得金額が前年度以下

1つ目の要件は、その事業年度の所得金額が前事業年度の所得金額以下であることです。

これは、利益が前年度より増えていない法人については、不適用措置の対象外とする考え方です。


たとえば、前期の所得金額が10億円、当期の所得金額が8億円であれば、当期所得は前期以下です。この場合、他の賃上げ要件や設備投資要件を満たしていなくても、この要件により不適用措置の対象外となる可能性があります。


一方、前期より当期の所得金額が増加している場合には、この要件には該当しません。

その場合は、継続雇用者給与等支給額や国内設備投資額の要件を確認する必要があります。

なお、設立事業年度や合併等事業年度など、前年度比較がそのまま使いにくい事業年度については、別途制度上の取扱いを確認する必要があります。


要件2:継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えること

2つ目の要件は、継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えることです。


継続雇用者給与等支給額とは、簡単にいうと、対象年度と前事業年度を通じて継続して雇用されている一定の国内雇用者に対する給与等の支給額です。


ここで注意したいのは、給与等支給額の判定対象が、全従業員ではなく「継続雇用者」である点です。


期中入社者や期中退職者、雇用保険の一般被保険者でない者、高年齢者継続雇用制度の対象者などは、制度上の継続雇用者に含まれない場合があります。


したがって、給与総額が増えているかどうかだけで判断するのは危険です。

人員増加によって給与総額が増えていても、継続雇用者ベースでは増加していないことがあります。


不適用措置の判定では、給与計算データ、雇用保険の加入状況、入退社情報などを確認しながら、対象者を正しく抽出する必要があります。


大規模企業では賃上げ要件が上乗せされる場合がある

一定の大規模企業については、単に継続雇用者給与等支給額が前年度を超えているだけでは足りず、一定以上の増加率が求められます。


たとえば、資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の法人など、一定の大規模企業については、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が一定割合以上であることが必要になる場合があります。


さらに、制度改正により、常時使用従業員数2,000人超の法人等についても上乗せ要件の対象に加えられています。


そのため、最新の申告実務では、対象事業年度の開始日、資本金、常時使用従業員数、前期黒字かどうかを確認し、その年度に適用される上乗せ要件を確認する必要があります。


要件3:国内設備投資額が当期償却費総額の一定割合を超えること

3つ目の要件は、国内設備投資額が当期償却費総額の一定割合を超えることです。


基本的には、国内設備投資額が当期償却費総額の30%を超えるかどうかを確認します。

ただし、一定の大規模企業については、この割合が40%に引き上げられる場合があります。


国内設備投資額とは、対象年度に取得等をした国内にある事業用資産で、対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。


一方、当期償却費総額とは、対象年度に損金経理した減価償却費の合計額です。

この要件を確認するには、固定資産台帳、減価償却明細、設備投資計画、取得日、事業供用日、期末保有状況などを整理する必要があります。


単に設備投資額が大きいかどうかではなく、当期償却費総額との比較で判定する点に注意しましょう。


3要件のどれか1つを満たせばよい

不適用措置の判定では、所得金額要件、賃上げ要件、国内設備投資要件のすべてを満たす必要はありません。


いずれか1つに該当すれば、不適用措置の対象外となります。

たとえば、当期所得が前期より増えていて、継続雇用者給与等支給額も前年度以下だったとしても、国内設備投資額が当期償却費総額の30%を超えていれば、不適用措置の対象外となる可能性があります。


反対に、利益は増加し、賃上げもしておらず、国内設備投資も一定水準に満たない場合には、研究開発税制の適用ができない可能性があります。


この判定は、研究開発税制の控除額を計算する前提として非常に重要です。


当初申告要件とは

研究開発税制などの租税特別措置法上の税額控除制度には、当初申告要件があります。

当初申告要件とは、確定申告書等に必要な明細書を添付し、一定の記載事項を満たして申告することを要件とするものです。


この要件がある制度では、当初申告で適用を受けていなかった場合、後から更正の請求などで新たに適用を受けることは原則としてできません。


研究開発税制についても、確定申告書に控除額の計算に関する明細書を添付する必要があります。


そのため、申告期限後に「研究開発費があったことに気づいた」「税額控除の適用を忘れていた」といっても、事後的に適用できないリスクがあります。


控除額計算明細書だけでは足りない

研究開発税制の適用を受ける場合、試験研究費の額や税額控除額を計算する明細書を添付する必要があります。


実務では、研究開発税制の計算明細である別表六関係の明細書を添付することに意識が向きがちです。


しかし、大企業が研究開発税制を適用する場合には、それだけでは足りません。

不適用措置の対象外であることを示すために、「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書」、いわゆる別表六(七)の添付が必要です。


この別表六(七)も当初申告要件を満たすための「一定の明細書」に含まれるとされています。


つまり、研究開発税制の控除額計算明細書を添付していても、別表六(七)の添付が漏れていると、当初申告要件を満たしていないと判断されるリスクがあります。


別表六(七)とは

別表六(七)は、特定税額控除規定の適用可否を判定するための明細書です。

大企業が研究開発税制などの特定税額控除規定を適用する際に、不適用措置の対象外であることを示すために作成します。


具体的には、次のような情報を記載します。

  • 所得金額が前年度以下かどうか

  • 継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えているか

  • 国内設備投資額が当期償却費総額の一定割合を超えているか

  • 大規模企業の上乗せ要件の対象かどうか

  • いずれの要件により不適用措置の対象外となるか


この明細書は、単なる参考資料ではありません。

特定税額控除規定の適用可否そのものを判定する重要な申告添付書類です。

研究開発税制の適用を受ける大企業では、控除額計算の別表とあわせて、別表六(七)の作成・添付を必ず確認する必要があります。


当初申告で記載事項を満たした状態で添付する必要がある

当初申告要件を満たすためには、単に白紙や不完全な明細書を添付すればよいわけではありません。必要な記載事項を満たした状態で、確定申告書等に添付する必要があります。


たとえば、別表六(七)について、判定に必要な金額やチェック欄が空欄のままでは、不適用措置の対象外であることを示す明細書として不十分と判断される可能性があります。


また、控除額計算明細書についても、試験研究費の額、控除率、控除限度額、法人税額などの記載が適切である必要があります。


研究開発税制の申告では、次の2種類の明細書をセットで確認しましょう。

  • 控除を受ける金額の計算に関する明細書

  • 特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書、別表六(七)


どちらも当初申告で添付が必要な明細書に該当します。


更正の請求で後から適用できないリスク

研究開発税制は、適用できれば法人税額を直接減額できる制度です。

そのため、申告後に適用漏れに気づくと、更正の請求で取り戻したいと考えるのが自然です。


しかし、当初申告要件がある制度では、当初申告で必要な明細書を添付していない場合、後から新たに適用を受けることは原則としてできません。


たとえば、申告期限後に次のような事実が判明した場合でも、当初申告で必要書類を添付していなければ、税額控除を追加適用できない可能性があります。

  • 試験研究費の集計漏れがあった

  • 研究開発税制の適用を失念していた

  • 別表六(七)を添付していなかった

  • 不適用措置の判定を行なっていなかった

  • 控除額計算明細書を添付していなかった


これは非常に大きなリスクです。

研究開発税制は金額が大きくなりやすいため、当初申告での添付漏れは、税額に大きな影響を与える可能性があります。


大企業の申告で特に注意したい理由

中小企業者等であれば、不適用措置の対象外となる場合があります。

一方、資本金1億円超の大企業では、研究開発税制を適用する際に、不適用措置の判定が重要になります。


大企業では、研究開発部門、経理部門、人事部門、固定資産管理部門がそれぞれ別々にデータを持っていることが多く、申告に必要な情報を集めるのに時間がかかります。


たとえば、研究開発税制の適用には、試験研究費の集計が必要です。

不適用措置の判定には、継続雇用者給与等支給額や国内設備投資額が必要です。

別表六(七)の作成には、これらの情報をまとめる必要があります。


つまり、研究開発税制の申告は、経理部門だけでは完結しにくい制度です。

申告期限直前に確認を始めると、明細書作成が間に合わないリスクがあります。


継続雇用者給与等支給額の集計は早めに行なう

不適用措置の判定で特に手間がかかるのが、継続雇用者給与等支給額です。

継続雇用者の判定には、給与データだけでなく、雇用保険の一般被保険者であるかどうか、入退社の有無、継続雇用制度の対象者かどうかなど、人事・労務情報が必要です。


単に給与台帳の総額を使うだけでは正しい判定になりません。

実務上は、次のような情報を確認する必要があります。

  • 対象年度と前事業年度の給与等支給額

  • 対象者が国内雇用者かどうか

  • 雇用保険の一般被保険者かどうか

  • 対象年度と前事業年度を通じて継続雇用されているか

  • 高年齢者継続雇用制度の対象者でないか

  • 給与等に充てるための補填額があるか


賃上げ促進税制でも似たような集計が必要になるため、制度ごとの対象者の範囲を混同しないよう注意しましょう。


国内設備投資額と当期償却費総額の確認

国内設備投資要件を判定するには、国内設備投資額と当期償却費総額を確認します。


国内設備投資額は、対象年度に取得等をした国内事業用資産で、対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額です。


そのため、期中に取得したものの期末までに売却・除却した資産は、判定対象から外れる可能性があります。


また、国内にある事業用資産であることも重要です。

海外拠点で使用する資産や、国内事業の用に供していない資産は、対象にならない可能性があります。


一方、当期償却費総額は、対象年度に損金経理した減価償却費の合計額です。

固定資産台帳、減価償却計算書、会計上の減価償却費、税務上の損金算入額を確認しながら、正しく集計する必要があります。


所得金額要件も見落とさない

所得金額が前年度以下である場合には、不適用措置の対象外となる可能性があります。


そのため、賃上げ要件や設備投資要件を満たしていないように見える場合でも、所得金額要件を確認することで適用可能となるケースがあります。


ただし、所得金額は会計上の当期純利益ではなく、法人税法上の所得金額です。

申告調整後の所得金額を基に判定する必要があります。


また、前事業年度との比較が必要になるため、前期の申告書や別表四などを確認する必要があります。合併、分割、事業譲渡、設立初年度など、通常の前期比較が難しい場合には、制度上の取扱いを個別に確認しましょう。


研究開発税制の適用可否は決算前から確認する

研究開発税制は、決算後に慌てて検討する制度ではありません。


試験研究費の範囲、不適用措置の判定、明細書の作成、税額控除限度額の確認など、多くの作業が必要です。


特に大企業では、次のような部門横断の連携が必要になります。

  • 研究開発部門:試験研究費の内容確認

  • 経理部門:会計処理、申告書作成、税額控除額の計算

  • 人事部門:継続雇用者給与等支給額の集計

  • 固定資産管理部門:国内設備投資額、償却費総額の確認

  • 税務担当:不適用措置、当初申告要件、別表添付の確認


申告期限直前に資料収集を始めると、研究開発費の内容確認や賃上げ要件の判定に時間が足りなくなることがあります。


決算前から適用可能性を確認し、申告に必要な別表をリストアップしておくことが重要です。


申告書作成時のチェックポイント

研究開発税制を適用する大企業では、申告書作成時に次の点を確認しましょう。

  • 中小企業者等に該当するか、大企業に該当するか

  • 不適用措置の対象法人かどうか

  • 所得金額要件を満たすか

  • 継続雇用者給与等支給額要件を満たすか

  • 国内設備投資額要件を満たすか

  • 大規模企業の上乗せ要件の対象か

  • 研究開発税制の控除額計算明細書を添付しているか

  • 別表六(七)を添付しているか

  • 別表六(七)の記載事項が埋まっているか

  • 当初申告要件の対象となる明細書をすべて添付しているか


特に、電子申告を行なう場合には、別表の添付漏れがないかを送信前に確認することが大切です。


税務ソフト上で別表を作成していても、電子申告データに含まれていない、添付対象から外れている、といったミスが起こることがあります。


税務調査で確認されやすいポイント

研究開発税制は税額控除額が大きくなりやすいため、税務調査でも確認されやすい項目です。

特に、大企業では不適用措置の判定資料や当初申告要件の充足状況が確認される可能性があります。


税務調査で確認されやすいポイントは次のとおりです。

  • 試験研究費の範囲が適切か

  • 研究開発税制の対象外費用が含まれていないか

  • 控除額計算明細書の金額と帳簿が一致しているか

  • 別表六(七)が当初申告で添付されているか

  • 不適用措置の3要件の判定資料があるか

  • 継続雇用者給与等支給額の対象者抽出が適切か

  • 国内設備投資額の集計が適切か

  • 大規模企業の上乗せ要件を正しく判定しているか


研究開発税制を適用する場合には、申告書だけでなく、根拠資料を保存しておくことが重要です。


実務上よくあるミス

研究開発税制と不適用措置について、実務上よくあるミスを整理します。


  • 研究開発税制の控除額計算明細書だけを添付し、別表六(七)の添付を忘れる

別表六(七)も当初申告要件の対象となる明細書に含まれるため、添付漏れは大きなリスクになります。


  • 給与総額だけで賃上げ要件を判定してしまう

不適用措置の判定で使うのは、継続雇用者給与等支給額です。

全従業員の給与総額とは異なるため、対象者の抽出が必要です。


  • 国内設備投資額を取得年度中の投資総額だけで判断してしまう

国内設備投資額は、対象年度終了の日において有する国内事業用資産が対象になります。

さらに、大規模企業の上乗せ要件を見落とすケースもあります。


資本金10億円以上、常時使用従業員数1,000人以上、または常時使用従業員数2,000人超など、年度に応じた最新要件を確認しましょう。


実務上のチェックポイント

研究開発税制を適用する大企業は、次の点を確認しましょう。

  • 適用対象となる研究開発費を集計しているか

  • 研究開発税制の控除額を試算しているか

  • 中小企業者等に該当しない法人かどうかを確認しているか

  • 不適用措置の対象外となる3要件を確認しているか

  • 所得金額の前年度比較を行っているか

  • 継続雇用者給与等支給額を正しく集計しているか

  • 国内設備投資額と当期償却費総額を確認しているか

  • 大規模企業の上乗せ要件を確認しているか

  • 別表六(七)を作成しているか

  • 控除額計算明細書と別表六(七)の両方を当初申告で添付しているか

  • 電子申告データに必要な別表が含まれているか

  • 判定資料を保存しているか


研究開発税制は、適用額が大きくなる一方で、要件確認や添付書類のミスが致命的になりやすい制度です。


決算前から確認を始め、申告書提出前に複数人でチェックする体制を整えておきましょう。


まとめ

研究開発税制は、試験研究費を支出している法人にとって重要な税額控除制度です。

しかし、資本金1億円超の大企業など、中小企業者等以外の法人が適用を受ける場合には、特定税額控除規定の不適用措置に注意が必要です。


不適用措置では、所得金額が前年度以下であること、継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えること、国内設備投資額が当期償却費総額の一定割合を超えること、という3つの要件のうち、いずれか1つ以上に該当するかを確認します。


いずれにも該当しない場合には、研究開発税制などの特定税額控除規定を適用できない可能性があります。


また、研究開発税制には当初申告要件があります。

控除額計算に関する明細書だけでなく、不適用措置の対象外であることを示す「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書」、別表六(七)も、当初申告で添付すべき明細書に含まれます。


申告期限後に添付漏れに気づいても、後から新たに研究開発税制の適用を受けられないリスクがあります。


大企業が研究開発税制を適用する場合は、試験研究費の集計だけでなく、賃上げ要件、国内設備投資要件、所得金額要件、大規模企業の上乗せ要件、当初申告での別表添付を一体で確認することが重要です。


研究開発税制の適用判断や別表六(七)の作成で不安がある場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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