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輸入取引の消費税と関税はどう決まる?「税理士業務の範囲外」と言われたときの注意点

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
23 時間前
読了時間: 12分

こんばんは!代表の安田です。


海外から商品を仕入れて国内で販売する事業者にとって、輸入時の消費税や関税は避けて通れない論点です。


しかし、実務では次のような相談を受けることがあります。

  • 海外の親会社から商品を輸入しているが、輸入申告の内容が正しいかわからない

  • 税関から調査の連絡が来たが、税理士に全部任せてよいのか

  • 輸入時の課税価格に、仲介手数料やロイヤリティを含める必要があるのか

  • 関税は税理士業務の範囲外と言われたが、消費税とは関係ないのか


輸入取引では、法人税や消費税の申告だけでなく、関税・通関手続き・輸入消費税が絡みます。そのため、通常の国内取引とは違う視点で確認する必要があります。


本日は、輸入取引における消費税・関税の基本、輸入貨物の課税価格、税理士と通関業者の役割分担、実務上の注意点について、税理士の視点からわかりやすく解説します。


輸入取引では「関税」と「消費税」がかかる

海外から商品を輸入する場合、まず理解しておきたいのは、輸入時には関税だけでなく消費税も課されるという点です。


国税庁は、保税地域から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には、原則として消費税がかかると説明しています。また、外国貨物を保税地域から引き取る者は、原則として引取りの時までに輸入申告書を提出し、消費税を納付する必要があります。


ここでいう消費税は、国内で商品を販売したときに預かる消費税とは少し性質が異なります。


国内取引の消費税は、事業者が国内で行う資産の譲渡や役務提供などに課されます。一方、輸入消費税は、外国貨物を保税地域から引き取るときに課されるものです。

つまり、輸入取引では、

  • 海外の仕入先に支払う商品代金

  • 輸入時に税関で納付する関税

  • 輸入時に税関で納付する消費税・地方消費税

  • 通関業者やフォワーダーに支払う手数料

などが関係します。


これらを混同すると、原価計算、消費税申告、法人税申告のいずれにも影響が出る可能性があります。


輸入消費税の納税義務者は誰か

輸入消費税の納税義務者は、原則として輸入品を保税地域から引き取る者です。

国税庁は、免税事業者や個人事業者でない給与所得者等であっても、輸入品を引き取るときには消費税の納税義務者になると説明しています。つまり、国内売上が1,000万円以下の免税事業者であっても、輸入時の消費税が免除されるわけではありません。


ここは実務上、誤解が多いところです。

  • うちは免税事業者だから、消費税は関係ない

  • 国内売上が少ないから、輸入時も消費税はかからない

という理解は正しくありません。


免税事業者であっても、商品を輸入して保税地域から引き取る場合には、輸入消費税の納付が必要になります。


一方で、課税事業者であれば、一定の要件のもと、輸入時に支払った消費税を仕入税額控除の対象にできる場合があります。輸入許可通知書などの保存も重要になりますので、書類管理をきちんとしておく必要があります。


輸入貨物の消費税は何に対してかかるのか

輸入消費税の計算で重要なのが、「課税標準」です。


国税庁は、外国貨物の課税標準について、関税課税価格、いわゆるCIF価格に、消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額であると説明しています。


簡単にいうと、輸入消費税は、単純な商品代金だけにかかるわけではありません。

一般的には、次のようなイメージです。


輸入消費税の課税標準= 関税課税価格、いわゆるCIF価格+ 関税+ その他一定の個別消費税等


CIF価格とは、貨物の価格に運賃と保険料を加えた価格です。国税庁も、CIF価格は本船渡し条件価額であるFOB価格に、仕向け地までの運賃と保険料を加えた価格であると説明しています。


つまり、輸入時の消費税は、海外仕入先への請求書金額だけを見ればよいわけではありません。


運賃、保険料、関税、場合によっては加算すべき手数料やロイヤリティなども含めて確認する必要があります。


「輸入申告は税理士業務の範囲外」と言われる理由

輸入取引で税関調査や通関手続きが問題になると、税理士に相談されることがあります。

もちろん、輸入取引に関する会計処理、法人税申告、消費税申告については、税理士が関与する重要な領域です。


一方で、輸入申告そのもの、関税評価、品目分類、関税率の判断、税関との通関実務などは、税理士業務だけで完結するものではありません。


税理士法上の税理士業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談などを業として行なうことをいいます。国税庁の税理士法基本通達でも、税理士業務は税理士法第2条第1項各号に掲げる事務を行うことを業とする場合の事務と整理されています。


一方、輸入通関手続きや関税評価の実務は、通関業者や通関士の専門領域です。

そのため、税理士が「これは税理士業務の範囲外です」と説明することがあります。

ただし、ここで重要なのは、「税理士業務の範囲外だから関係ない」という意味ではないことです。


輸入申告の内容は、会社の仕入原価、在庫評価、売上総利益、法人税、消費税申告に影響します。したがって、税理士・通関業者・会社が連携して確認する必要があります。


輸入貨物の課税価格に含めるもの

輸入時の課税価格は、単純に海外仕入先からのインボイス金額だけで決まるとは限りません。


実務上、次のようなものが関係することがあります。


  1. 輸入港までの運賃、保険料、その他輸送に関連する費用。

  2. 買手により負担される仲介料その他の手数料。ただし、買付手数料を除くなど、内容によって取扱いが変わるため注意が必要です。

  3. 輸入貨物の容器や包装に要する費用

  4. 輸入貨物の生産や輸入取引に関連して、買手により無償または値引きして提供された材料、部品、工具、金型、生産に必要な技術、設計、考案、工芸。

  5. 輸入貨物に係るロイヤリティやライセンス料で、輸入取引の条件として買手により直接または間接に支払われるもの

  6. 輸入貨物の処分や使用による収益で、直接または間接に売手へ帰属するもの


これらは、会計上は別の費用科目で処理されていても、関税評価上は輸入貨物の課税価格に加算すべき場合があります。


たとえば、海外親会社から商品を輸入している子会社が、別途ロイヤリティを支払っている場合、そのロイヤリティが輸入取引の条件といえるかどうかを確認する必要があります。


また、親会社から図面や金型、技術資料を提供されている場合も、輸入貨物の課税価格に影響する可能性があります。


親子会社間取引では価格の妥当性にも注意

海外親会社から日本子会社が商品を輸入する場合、親子会社間取引としての注意も必要です。


親会社と子会社は、通常の第三者間取引と異なり、価格を自由に設定しやすい関係にあります。


そのため、輸入時の課税価格が適正かどうか、税関調査で確認されることがあります。

たとえば、海外親会社が日本子会社に商品を低い価格で販売している場合、関税や輸入消費税の課税価格が過少になっていないかが問題になる可能性があります。


一方、法人税や移転価格税制の観点では、親会社から高すぎる価格で仕入れていないか、日本子会社の利益が不当に圧縮されていないかが問題になります。


つまり、輸入取引では、関税評価と法人税・移転価格の視点が同時に関係することがあります。税関対応だけでなく、法人税申告や移転価格文書化の観点からも、親子会社間の価格設定を確認しておくことが重要です。


税関調査で確認されやすい資料

税関調査では、輸入申告書やインボイスだけでなく、取引全体の実態を確認する資料が求められることがあります。たとえば、次のような資料です。

  • 海外仕入先との契約書

  • 価格表

  • 請求書

  • 輸入許可通知書

  • 船積書類

  • 運賃・保険料の明細

  • ロイヤリティ契約書

  • ライセンス契約書

  • 金型・工具・技術資料の提供に関する契約書

  • 親子会社間の取引条件を説明する資料

  • 支払明細

  • 送金記録

  • 会計帳簿

  • 在庫管理資料


これらの資料から、実際に何を輸入しているのか、誰にいくら支払っているのか、輸入取引の条件として何が含まれているのかを確認されます。


特に、海外親会社や関連会社との取引では、通常の仕入価格とは別に、ロイヤリティ、技術支援料、マネジメントフィー、金型代、開発費負担金などを支払っているケースがあります。


これらが輸入貨物の課税価格に影響するかどうかは、契約内容と実態を見て判断する必要があります。


輸入消費税の仕入税額控除にも注意

課税事業者が輸入時に支払った消費税は、原則として消費税申告で仕入税額控除の対象になります。


ただし、仕入税額控除を受けるためには、輸入許可通知書など、輸入消費税を納付したことがわかる書類の保存が必要です。


国内仕入れであれば、インボイスを保存することが重要になりますが、輸入取引では輸入許可通知書などの通関関係書類が重要です。


また、輸入者が誰になっているかも確認が必要です。

自社が実質的に商品を使用・販売していても、輸入申告上の輸入者が別会社になっている場合、仕入税額控除の可否や証憑の整合性に問題が生じる可能性があります。


海外取引では、フォワーダー、通関業者、親会社、商社、国内販売会社など複数の関係者が関与することがあります。


そのため、輸入許可通知書上の輸入者、会計上の仕入先、代金支払先、商品の所有権移転時期を整理しておくことが大切です。


CIF価格とFOB価格の違い

輸入取引では、CIF価格やFOB価格という言葉がよく出てきます。


CIF価格は、運賃・保険料込みの価格です。国税庁は、CIF価格について、FOB価格に仕向け地までの運賃と保険料を加えた価格と説明しています。


一方、FOB価格は、輸出港で本船に貨物を積み込むまでの費用やリスクを売手が負担する条件です。FOB価格には、積込み後から輸入地までの運賃や保険料が含まれていません。


そのため、FOB条件の取引では、課税価格を計算する際に、運賃や保険料などを加算する必要があります。


会計上は「商品代金」「国際運賃」「保険料」「通関費用」などに分けて処理されていても、輸入時の課税価格計算では、それぞれの費用がどの段階までの費用なのかを確認する必要があります。


税理士・通関業者・会社の役割分担

輸入取引では、関係者ごとの役割分担を明確にしておくことが大切です。


通関業者は、輸入申告、品目分類、関税率、関税評価、税関への申告実務などを担当します。


税理士は、会計処理、法人税申告、消費税申告、輸入消費税の仕入税額控除、原価計算、税務上の取扱いなどを確認します。


会社は、契約内容、取引実態、価格設定、支払条件、親子会社間の関係、輸入後の販売方法などを説明できるようにしておく必要があります。


特に、税関調査が入った場合、通関業者だけに任せきりにするのではなく、税理士にも情報共有しておくことをおすすめします。


なぜなら、税関調査で輸入時の課税価格が修正されると、関税や輸入消費税だけでなく、会計処理や法人税・消費税申告にも影響する可能性があるためです。


輸入取引で確認すべきチェックポイント

輸入取引を行なう会社は、次の点を確認しておきましょう。

  • 輸入申告上の輸入者が誰になっているか。

  • 海外仕入先との契約条件がCIFなのかFOBなのか、その他のインコタームズなのか。

  • 海外仕入先へのインボイス金額以外に、運賃、保険料、仲介手数料、ロイヤリティ、ライセンス料、金型代、技術提供料などを支払っていないか。

  • これらの支払いが輸入貨物の課税価格に加算される可能性がないか。

  • 親子会社間取引であれば、価格設定の根拠や移転価格税制との整合性も確認が必要です。


輸入消費税については、輸入許可通知書などの保存、消費税申告での仕入税額控除、会計処理との整合性を確認しましょう。


そして、税関調査の連絡があった場合には、通関業者・税理士・社内担当者が早めに連携することが重要です。


まとめ:輸入申告は税理士業務の範囲外でも、税務申告に大きく関係する

輸入取引では、関税、輸入消費税、通関手続き、会計処理、法人税、消費税申告が複雑に絡みます。


輸入申告や関税評価そのものは、通常、通関業者や通関士の専門領域であり、税理士業務の範囲外となる部分があります。


しかし、輸入申告の内容は、会社の仕入原価、在庫評価、売上総利益、法人税申告、消費税申告に大きく影響します。


特に、海外親会社や関連会社から商品を輸入している場合には、インボイス金額だけでなく、運賃、保険料、仲介手数料、ロイヤリティ、ライセンス料、金型代、技術提供料などが課税価格に含まれるかどうかを確認する必要があります。


また、輸入時に支払った消費税について仕入税額控除を受けるためには、輸入許可通知書などの証憑管理も重要です。


税関調査が入ってから慌てるのではなく、日頃から契約書、請求書、輸入許可通知書、支払資料を整理し、通関業者と税理士が連携できる体制を整えておきましょう。


輸入取引がある会社は、「関税は専門外だから関係ない」と考えるのではなく、税務申告にも影響する重要な論点として、早めに確認しておくことをおすすめします。


神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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