日本の平均年収は487万円に|令和7年分「民間給与実態統計調査」を税理士が解説
おはようございます!代表の安田です。
国税庁は2026年9月29日、令和7年分(2025年分)の民間給与実態統計調査を公表しました。
調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、487万円となりました。前年から1.9%増加し、5年連続の増加で過去最高額を更新しています。
一方、男女別、正社員・非正規社員別、年齢別などで見ると、給与水準には大きな違いがあります。
本記事では、国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査から、日本の給与水準の現状を分かりやすく整理します。
令和7年分の平均給与は487万円
まず、今回の調査の主要数値を確認しましょう。
1年を通じて勤務した給与所得者は5,163万人で、前年より0.5%増加しました。
給与総額も251兆2,570億円となり、前年比2.4%増加しています。
<主な調査結果>
項目 | 令和6年分 | 令和7年分 |
給与所得者数 | 5,137万人 | 5,163万人 |
給与総額 | 245兆2,894億円 | 251兆2,570億円 |
1人当たり平均給与 | 478万円 | 487万円 |
平均給料・手当 | 403万円 | 412万円 |
平均賞与 | 約75万円 | 約75万円 |
給与所得者数そのものも増えていますが、1人当たりの平均給与についても上昇しています。
平均給与は5年連続で増加
令和7年分の平均給与487万円は、前年の478万円を上回りました。
前年比では1.9%増です。
国税庁の資料では、平均給与は5年連続で増加しており、前年に続いて過去最高額を更新したとされています。
給与の内訳を見ると、
平均給料・手当:412万円
平均賞与:約75万円
となっています。
特に給料・手当は前年比2.2%増となっており、賞与よりも月例給与部分の伸びが平均給与の増加に寄与しているとみられます。
男性の平均給与は597万円、女性は342万円
男女別では大きな差があります。
性別 | 令和6年分 | 令和7年分 | 前年比 |
男性 | 587万円 | 597万円 | 1.7%増 |
女性 | 333万円 | 342万円 | 2.6%増 |
全体 | 478万円 | 487万円 | 1.9%増 |
男女とも前年より増加しています。
女性の伸び率は2.6%と男性の1.7%を上回っていますが、平均給与の絶対額では依然として差があります。
ただし、この差については、
正社員・非正規社員の割合
勤続年数
職種
業種
労働時間
など複数の要因が関係するため、この統計だけから男女間の賃金差の原因を特定することはできません。
正社員の平均給与は559万円
雇用形態別に見ると、さらに大きな差があります。
令和7年分では、正社員:559万円、正社員以外:210万円となりました。
<雇用形態別の平均給与>
雇用形態 | 令和6年分 | 令和7年分 |
正社員 | 545万円 | 559万円 |
正社員以外 | 206万円 | 210万円 |
正社員は前年比2.6%増、正社員以外も1.6%増となり、いずれも給与水準は上昇しています。
正社員は減少、正社員以外は増加
人数を見ると興味深い動きがあります。
1年を通じて勤務した給与所得者のうち、
正社員:3,422万人
正社員以外:1,305万人
となりました。
正社員は前年比0.2%減だった一方、パート・アルバイトなどの正社員以外は3.9%増となっています。平均給与が上がっている一方で、雇用構成については正社員以外の割合が増えている点にも注目できます。
男性の平均給与は55~59歳で734万円が最高
年齢別に見ると、男女で傾向が異なります。
男性は、60歳未満までは年齢が高くなるにつれて平均給与も上昇し、55~59歳では734万円で最も高くなっています。
一方、女性については、資料では年齢による給与差が男性ほど顕著ではないとされています。
<年齢別給与の特徴>
区分 | 傾向 |
男性 | 60歳未満までは年齢とともに上昇 |
男性の最高 | 55~59歳・734万円 |
女性 | 年齢による差は男性ほど大きくない |
年功的な賃金体系や役職への昇進などが男性の年齢別給与に表れている可能性はありますが、今回の資料自体はその原因まで分析していません。
会社規模によって給与水準にも差
資料では、企業の資本金規模別・事業所規模別の平均給与も掲載されています。
全体として見ると、規模の大きい会社・事業所ほど給与や賞与が高くなる傾向が確認できます。
採用市場を考える中小企業にとっては、単純に全国平均487万円だけを見るより、自社と近い規模の企業の給与水準を見ることの方が実務上は有用です。
賞与が最も高い業種は「金融業、保険業」
業種別の平均賞与についても調査されています。
最も高かったのは、金融業・保険業の173万円で、前年比4.0%増となりました。
また、前年比で最も大きく増えたのは、学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業で、平均賞与は100万円、前年比6.3%増となっています。
<業種別賞与で注目された項目>
項目 | 業種 | 金額・伸び |
平均賞与が最高 | 金融業、保険業 | 173万円 |
伸び率が最高 | 学術研究・専門技術サービス・教育等 | 100万円、6.3%増 |
業種によってボーナスへの依存度が大きく異なることが分かります。
源泉所得税額は17%増の12兆9,141億円
給与から源泉徴収された所得税額も大きく増加しています。
令和7年分は、12兆9,141億円となり、前年より1兆8,778億円増加しました。
前年比では17.0%増です。
ただし、この大幅な増加は単純に給与が大きく伸びたことだけが理由ではありません。
資料では、令和6年に実施された所得税の定額減税が令和7年には実施されなかった反動が影響したと考えられています。
したがって、源泉所得税が17%増えた=給与水準が17%上がったという意味ではありません。
所得税を納めている給与所得者は4,175万人
1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人のうち、源泉徴収によって所得税を納税している人は、4,175万人でした。納税者割合は80.9%です。
前年と比べると納税者数・割合が大幅に増えていますが、これについても令和6年の定額減税の反動が影響していると考える必要があります。
令和7年度税制改正を受け調査項目も変更
今回の民間給与実態統計調査では、税制改正を受けて調査項目にも変更があります。
令和7年度税制改正に伴い、「特定親族特別控除」に関する項目が追加され、基礎控除の改正にも対応しています。
民間給与実態統計調査は給与水準を把握するだけでなく、所得税制度の改正に伴って調査内容も更新されていることが分かります。
「平均487万円=一般的な会社員の年収」とは限らない
この統計を見る際には、「平均」の意味にも注意が必要です。
平均給与487万円は、1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均値です。
しかし実際には、
男性:597万円
女性:342万円
正社員:559万円
正社員以外:210万円
と大きな差があります。
したがって、「日本人会社員の標準的な年収は487万円」と単純に解釈するよりも、性別・雇用形態・年齢・会社規模・業種などに分けて見ることが重要です。
中小企業の給与設定では「全国平均」だけを見ない
経営者が採用条件や昇給額を決める場合にも、全国平均487万円だけを基準にするのは適切とは限りません。
給与水準を検討する際には、
業種
地域
企業規模
職種
年齢
経験年数
などを考慮する必要があります。
今回の資料には企業規模別・事業所規模別・年齢別・業種別の数値が掲載されているため、自社と条件の近い層を見る方が採用・賃金設計には参考になるでしょう。
今回の調査結果まとめ
項目 | 令和7年分 |
給与所得者数 | 5,163万人 |
給与総額 | 251兆2,570億円 |
平均給与 | 487万円 |
男性平均給与 | 597万円 |
女性平均給与 | 342万円 |
正社員平均給与 | 559万円 |
正社員以外平均給与 | 210万円 |
平均給料・手当 | 412万円 |
平均賞与 | 75万円 |
55~59歳男性 | 734万円 |
源泉所得税額 | 12兆9,141億円 |
所得税納税者割合 | 80.9% |
よくある疑問
Q. 2025年の会社員の平均年収はいくらですか?
A. 国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円です。前年比1.9%増で、過去最高を更新しました。
Q.男性と女性の平均年収はいくらですか?
A. 男性は597万円、女性は342万円です。いずれも前年より増加しています。
Q.正社員の平均年収はいくらですか?
A. 正社員は559万円です。一方、正社員以外は210万円となっています。
Q. 最も給与が高い年齢層は?
A. 男性では55~59歳が734万円で最も高くなっています。女性は男性ほど年齢による差が顕著ではありません。
Q. 源泉所得税が17%も増えたのは給与が急増したからですか?
A. それだけではありません。資料では、令和6年に実施された所得税の定額減税が令和7年には実施されなかった反動が、大幅増加の要因と考えられています。
まとめ
国税庁が公表した令和7年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、487万円となりました。
前年から1.9%増加し、5年連続で増加、過去最高を更新しています。
特に押さえておきたいのは、
給与所得者は5,163万人
平均給与は487万円
男性597万円、女性342万円
正社員559万円、正社員以外210万円
男性では55~59歳の734万円が最高
平均給料・手当は412万円
平均賞与は75万円
源泉所得税額は12兆9,141億円
源泉所得税増加には定額減税終了の反動もある
という点です。
「平均年収487万円」という数字だけを見るのではなく、雇用形態・年齢・性別・会社規模・業種によって給与水準が大きく異なることを踏まえて見ることが重要です。
企業側では、採用条件や昇給・賞与制度を検討する際に、自社と近い属性の統計を参考にするとよいでしょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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